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Durable Skillsを意識する次世代型人材育成計画について

この記事は、2022年11月のニュースレターで配信されたコラムになります。

臨時国会で岸田首相がリスキリングの支援へ5年間1兆円の投資を発表しました。「成長分野に移動する」ための学び直しがキーメッセージですが、成長分野に移動するためのスキルとは具体的に何を指すのでしょうか。みなさんは思い浮かびますか?

注目されるキーワードとして、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXの4分野が挙げられています。この分野からもわかる通り、必要なスキルは間違いなく「テクノロジー」です。このハードスキルに重点を置くのはわかりやすく、成長産業で勝負するには不可欠でしょう。

しかし、別の視点を追加するならば、「イノベーション」はテクノロジーのハードスキルを装着すれば必ずしも生まれる訳ではありません。一度立ち止まって、「イノベーション人材は学び直しによって育成可能かどうか」を考える必要があります。例えば、スティーブ・ジョブズがITスキル研修に参加し、黙って授業を最後まで受け、イノベーションにつながるか?そもそも当日参加するかが心配ですよね。

では、ジョブズのようなカリスマ的なリーダーは育成不可能なのでしょうか?答えは・・我々にもわかりません。しかし、カリスマ的なリーダーが単独でイノベーションを起こせないのは確かです。

経営者が必要なイノベーション人材像を説く際に「猛獣」と「猛獣使い」の例え話を持ち出すことが多々あります。ジョブズのような「猛獣」だけではイノベーションは成功しません。猛獣によって、組織が食い荒らされ、紡いできた文化・風土も水泡に帰する可能性があります。

採用・育成すべきは、「猛獣」の本来の力を発揮できる環境を整える「猛獣使い」が先。猛獣は育成できずとも、猛獣使いは育成ができます。高い解像度で組織に起こる現象を捉え、チーミングを行い、メンタルケア、目標の設定方法(猛獣は目標を嫌う)、時にはメンバーと猛獣の間に立って翻訳家としても動けるリーダーです。

この猛獣使いが持つスキルとは、資格認定できるスキルでもテクノロジーのハードスキルでもなく、Durable Skills(長持ちするスキル)だと言われています。Collaboration, Negotiation, Critical thinking, Initiative, Risk-taking, Creativity, Adaptability, Leadership, Cognitive flexibility and Problem-solvingなどの普遍的なスキルを指します。ソフトかハードかではなく、Durable(長持ちする)かPerishable(廃れやすい)かでスキルを整理するのが時代の要請なのでしょう。NPO団体AmericanSucseedのリサーチによると、8200万件の求人広告のデータを活用し、求人広告に求められるスキルを分析したところ、およそ7割がDurable Skillsに分類されることがわかりました。


そのため、今後は採用手法、育成計画においてDurableを測定可能な形でモニタリングすることが、大学でも、企業でも求められます。これが猛獣使いを育てるリスキリングにつながってくることは間違いありません。

Managing Complexityでは「知っている」と「使える」には大きな違いがあり、どこかで耳にしたビジネス用語「バイアス」や「パーパス」を改めて自分の言葉で他人に説明でき、それを自由自在に引き出せるカリキュラムを設計しています。まさしく取り扱っているテーマはDurable Skillsと呼べるスキルばかりです。機会があれば、ぜひその一端を覗きにきてください。
(文:大谷直樹)

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