ヒーローが悪人という逆転の発想Amazonプライムドラマ『ザ・ボーイズ』
【海外ドラマファンのためのマガジン第108回】
「逆転の発想」がこれほど成功しているドラマがほかにあるでしょうか?
善人が悪人だったら?ヒーローがヒーローじゃなかったら?
『ザ・ボーイズ』に登場するヒーローたちは、アメコミ系のスーパーヒーローたちとはまったく違います。
「最近の映画とか、正統派ヒーローが多すぎる!」と苦手意識を感じている人にこそ見てもらいたい、アンチヒーロードラマなのです。
Amazon Prime オリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』の世界では、空を飛んだり、目からビームを出せる超能力を持った複数のヒーローが存在します。
特に、ヒーローの中のエリート集団「セブン」に選出されたメンバーは、ヴォート・インターナショナルという民間会社に所属し、映画スターのようにプロデュースされ、宣伝活動をして収益を上げていく、いわばセレブのような存在なのです。
その中でも、「セブン」のリーダーであるホームランダー(アントニー・スター)は、絶対的な人気を誇っています。
ハンサムで、たくましい肉体を持ち、空を飛べ、破壊力のあるビームを出せる頼れるヒーロー……なのですが、それは表向きのはなし。
素顔のホームランダーは、自分の名声だけしか考えていない自己中心的な性格で、高慢なサディストでもあり、冷酷無比に人を殺せるサイコパスなのです。
しかも、人の話を盗み聞きするのが趣味で、ちょっと変態的な性癖もあるし……。
ヒーローの裏の顔を知ってしまうと、ドン引きですよ。
ですが、このホームランダーは、知性も高いので、かなり手強い相手。
ヒーローの本当の顔を知った人間たちが、ザ・ボーイズと名乗り、ヴォート社に対抗しようとするのですが、ホームランダーが強すぎてなかなか厳しい戦いです。
シーズン2では、ストームフロント( アヤ・キャッシュ)という悪の魅力が強いキャラクターがセブンに加わります。
強い悪役というのは、ヒーローモノとしておもしろさの絶対条件だと思うのですが、ヒーローの中に悪いヤツがいるというのも逆転の発想でおもしろいです。
世の中、白と黒、善と悪の両極端に片付けられることってそんなに多くなくて、見る角度が変われば、違う側面が見えてくるものです。
視点が変われば、だれもが善にも悪にも変わる可能性があるというのが現実です。
ヒーローモノだからといって、善悪がハッキリしているだけのドラマは、もう作られないかもしれませんね。
ちなみにこのドラマは、R18+なので子供は鑑賞できません。
セックスシーンもあれば、殺人シーンもあり、「超能力ビーム!バシャ!」っていう感じで血も肉も飛びます。
苦手な人はお気をつけください。
第73回エミー賞 5ノミネート『ザ・ボーイズ』シーズン2 Amazon Prime
【ノミネート主要部門】
作品賞
脚本賞 第8話「知ってること」レベッカ・ソンネンシャイン
今回で、ドラマ部門作品賞にノミネートされた8作品の紹介が終わりました。次回から、コメディ部門に突入したいと思います。
【エミー賞ー作品賞コンプリート紹介を実施中。#8】
This Is Us #7
POSE#6
ブリジャートン家#5
ラヴクラフト・カントリー#4
ハンドメイズ・テイル#3
マンダロリアン#2
ザ・クラウン#1
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