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第79回ゴールデン・グローブ賞ノミネート発表、でもテレビ中継されません

2022年1月9日に開催される第79回ゴールデン・グローブ賞のノミネート
が発表されました。でも、今回は、とても【特別】な開催になってしまいそうです。

【海外ドラマファンのためのマガジン第128回】

実は、今回のゴールデン・グローブ賞はテレビ中継されません。
今年の2月にロサンゼルス・タイムズに掲載された記事が波紋を呼んだ結果です。
ゴールデン・グローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)には、黒人の会員が一人もいないこと、一部の会員が、人種やジェンダー差別を行ってきたこと、などの問題が噴出して、Netflix、Amazon スタジオ、ワーナーメディアなどが「改革が行われるまでHFPAとの協力関係を解消する」と発表しています。
また、俳優のトム・クルーズも過去に受賞したトロフィーを返却したり、スカーレット・ヨハンソンも、「性差別的な質問をされたため、インタビューを拒否してきた」と発言していました。

これを受けて、毎年TVで式典を放送してきたNBCが、今回は、ゴールデン・グローブ賞のテレビ放送をしない決定を下したことを発表しています。
ただし、組織の改善が現れた場合、2023年には放送する可能性があるとしています。

ゴールデン・グローブ賞は、2022年1月9日(現地時間)に開催されるのですが、場所や出席者などはまだ発表されていません。
ノミネートされた俳優や関係者などが出席しない可能性もあります。
そして、テレビ中継されないとなれば、どうやって授賞式の内容を発表するのか、(ストリーミングするのか?)など、開催まで一ヶ月を切った現在でも、未だに発表されていません。

先日行われたノミネート発表でHFPAは、アフリカ系やアジア系を含む新たな21人のメンバーを加えて、多様性を深めたことを主張していました。

このゴールデン・グローブ賞の問題は、エンタメ界だけではなく、私達の一般の社会にもつながってくる問題を含んでいると感じています。
アメリカのエンタメ界は、多様性を重視するための改革に力をいれています。ゴールデン・グローブ賞がスタートした1944年と比べたら、もはや別の世界かというくらい社会は変化しています。
変化の中にいるのは、なにも映画界やテレビ局だけではなくて、わたしたち視聴者も変化の中で暮らしていることになります。
変化の中にいるのに、頭の中だけは1944年のままアップデートされていないというワケにはいかないでしょう。
私達も、既存の考えにとらわれずに、時代の変化を的確にとらえて、思考をアップデートしていかなければいけないですよね。

映画やドラマ、小説のようなエンタメというのは、新しい考え方を芸術の手法をつかって大衆に広めていくという意義をもっています。
だからこそ、世界のエンタメ界をひっぱっていく存在のハリウッドが、多様性を強化した社会のシステムを作ろうとしているのでしょう。

一方で、今までの固定概念的な考え方、たとえばルッキズムとか、男らしさとか女らしさとか、そういうものを広めてきたのもエンタメの世界です。
これからは、「男らしさ」という一つの定義を扱うときにも、多種多様な考え方を紹介していくことになるでしょう。
ただ、すべてを網羅することはかなり難しく、エンタメの世界でも表現していくことに慎重さがもとめられることになると思います。
そこが、規制的にになりすぎてもエンタメとしてどうなんだという問題もあるでしょうし、難しい判断になりそうです。
とはいえ、社会の変化はもう始まっています。
まだまだ改革の第一歩なので、これから何段も階段を登っていくことになります。
わたしたち視聴者も、社会の一員であることは間違いないので、自分の考えをもっているのであれば、それを発信していくということが、今まで以上に必要になってくるかもしれません。

今回はこのような前提の開催となってしまいますが、ノミネートされた映画は、2022年になってから日本で公開されるものも多く、ドラマもぜひ見ていただきたい名作揃いです。
なのでノミネート一覧を作りました。こちらです↓

ゴールデン・グローブ賞についてとノミネート作品については、別記事でも触れていきたいと思っております。

TVドラマ部門のノミネート一覧

〈TV部門〉ノミネート

ドラマ部門、ミュージカル/コメディ部門、リミテッド・シリーズ/テレビ映画部門の3つの部門に別れています。

【ドラマ部門】

■作品賞■
『Lupin/ルパン』
『ザ・モーニングショー』
『POSE』
『イカゲーム』
『サクセション(メディア王華麗なる一族)』
 
■主演女優賞■
ウゾ・アドゥーバ『イン・トリートメント』
ジェニファー・アニストン『ザ・モーニングショー』
クリスティーン・バランスキー『グッドファイト』
エリザベス・モス『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
MJ・ロドリゲス『POSE』

■主演男優賞■
ブライアン・コックス『サクセション(メディア王華麗なる一族)』
イ・ジョンジェ『イカゲーム』
ビリー・ポーター『POSE』
ジェレミー・ストロング『サクセション(メディア王華麗なる一族)』
オマール・シー『Lupin/ルパン』

【ミュージカル/コメディ部門】

■作品賞■
『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
『Hacks』
『マーダーズ・イン・ビルディング』
『リザベーション・ドッグス(原題)』
『テッド・ラッソ破天荒コーチがいく』

■主演女優賞■
ハンナ・エインビンデル『Hacks』
エル・ファニング『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
イッサ・レイ『インセキュア』
トレイシー・エリス・ロス『ブラキッシュ』
ジーン・スマート『Hacks』

■主演男優賞■
アンソニー・アンダーソン『ブラキッシュ』
ニコラス・ホルト『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
スティーブ・マーティン『マーダーズ・イン・ビルディング』
マーティン・ショート『マーダーズ・イン・ビルディング』
ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ破天荒コーチがいく』

【リミテッド・シリーズ/テレビ映画部門】

■作品賞■
『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機 』
『Impeachment:アメリカン・クライム・ストーリー』
『メイドの手帖』
『メア・オブ・イーストタウン』
『地下鉄道~自由への旅路~』

■主演女優賞■
ジェシカ・チャスティン『ある結婚の風景』
シンシア・エリヴォ『ジーニアス:アレサ』
エリザベス・オルセン『ワンダヴィジョン』
マーガレット・クアリー『メイドの手帖』
ケイト・ウィンスレット『メア・オブ・イーストタウン』

■主演男優賞■
ボール・ベタニー『ワンダヴィジョン』
オスカー・アイザック『ある結婚の風景』
マイケル・キートン『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機 』
ユアン・マクレガー『HALSTON/ホルストン』
タハール・ラヒム『ザ・サーペント』

【テレビ部門共通】

■助演女優賞■ 
ジェニファー・クーリッジ『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』
ケイトリン・デヴァー『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機 』
アンディ・マクダウェル『メイドの手帖』
サラ・スヌーク『サクセション(メディア王華麗なる一族)』
ハンナ・ワディンガム『テッド・ラッソ破天荒コーチがいく』

■助演男優賞■
ビリー・クダラップ『ザ・モーニングショー』
キーラン・カルキン『サクセション(メディア王華麗なる一族)』
マーク・デュプラス『ザ・モーニングショー』
ブレット・ゴールドスタイン『テッド・ラッソ破天荒コーチがいく』
オ・ヨンス『イカゲーム』


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