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第95回アカデミー賞予想【2023】※9部門中7部門的中

ギリギリのタイミングですが、明日の朝(日本時間)に開催される、第95回アカデミー賞の主要部門の予想をしてみようと思います。
作品をどこで鑑賞できるかも明記していますので、参考にしてください。(3/12現在)
※アカデミー賞終了後に、結果とコメントを追加しました。

作品賞 BEST Picture

『西部戦線異状なし』Netflixにて配信中。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』上映中

『イニシェリン島の精霊』上映中

『エルヴィス』Netflix定額見放題

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』上映中
2023年3月3日(金)公開

『フェイブルマンズ』上映中
2023年3月3日(金)公開

『TAR/ター』
2023年5月12日(金)公開

『トップガン マーヴェリック』Netflix定額見放題

『逆転のトライアングル』上映中
2023年2月23日(木)公開

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
2023年6月2日(金)公開予定

10作品がノミネートされた作品賞。個人的にはダントツでスピルバーグ監督の自伝的映画『フェイブルマンズ』なのですが、アカデミー賞の前哨戦では、かなりの確率で『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下エブエブ)が受賞しています。

とにかく『エブエブ』の評価は高いですね。マルチバーストラベル(この言い方良いでしょ?考えました^^)のシチュエーションでどんどんハチャメチャなかんじになりつつ、家族愛を描くのですが、脚本の複雑さに加えて、今までハリウッドでスポットがあたって来なかったアジア系俳優たちへの讃歌になっている部分が高い評価の理由です。
アジア系俳優讃歌で、作品賞を獲得できるかな…….。

女性初のベルリン・フィル主席指揮者に任命されたリディア・ターの物語『TAR』とサラ・ポーリー監督で隔離された宗教集団での性的暴行事件を描く『ウーマン・トーキング』はまだ日本で公開されていないので、鑑賞できていないのが痛いですね。
どちらも、自分の好みの映画なので、できれば鑑賞してから作品賞を予想したかったです。

作品賞の可能性としては、『エブエブ』『西部戦線異状なし』『イニシェリン島の精霊』『フェイブルマンズ』の4作品かなと思うのですが、ここはあえて『フェイブルマンズ』に賭けてみます。

予想:『フェイブルマンズ』
結果:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
今回『エブエブ』は、7部門受賞しています。昨年も作品賞を外してしまったので、作品賞だけはどうしても自分好みの映画を選んでしまう傾向にあるようです。来年からは、もう少し分析して、好みを入れたい気持ちを抑えてみます。

【主演男優賞】


オースティン・バトラー『エルヴィス』

コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』

ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』
2023年4月7日(金)公開

ポール・メスカル『aftersun/アフターサン』
2023年5月26日公開予定

ビル・ナイ『生きる LIVING』
2023年3月31日(金)公開

主演男優賞部門で鑑賞できていないのは、『ザ・ホエール』とポール・メスカル主演の『aftersun/アフターサン』。『生きる LIVING』は、昨年の東京国際映画祭で鑑賞しました。

このまだ見ていない『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーですが、体重272kgになってしまった男が、疎遠になった娘との絆を取り戻そうとする話なのですが、ブレンダンの演技は前哨戦でも評判が高かったです。
最近の傾向でいくと、『ボヘミアン・ラプソディ』のように音楽&伝記映画での主演俳優の演技の評価は高いので『エルヴィス』のオースティンの可能性もあります。
個人的には、『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレルも良かったのですが、ここは鑑賞できていないのですが、ブレンダンの復活受賞に期待したいと思います。

予想:ブレンダン・フレイザー
結果:ブレンダン・フレイザー
ハムナプトラ』で主演を務めるなど活躍していたブレンダンですが、うつ病になったりして、役者業から離れていた時期がありました。その経験もすべて『ザ・ホエール』の演技に活かされたということでしょうか。復活受賞おめでとうございます!

【主演女優賞】


ケイト・ブランシェット『TAR/ター』

アナ・デ・アルマス『ブロンド』Netflixにて配信中。

アンドレア・ライズボロー『To Leslie(原題)』

ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』

ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『To Leslie』と『TAR/ター』は、まだ日本未公開なので鑑賞できていません。
前哨戦では、ミシェル・ヨーとケイト・ブランシェットの評価が高いですね。ミシェル・ウィリアムズは、主演というより助演だったので、この部門今回獲得できるかどうか疑問です。
大好きなアナちゃんですが、マリリン・モンロー役はとてもハマっていただけに、もっと映画の内容がマシだったら良かったのにと思います。マリリンの人生の切り取り方が、性的な部分に焦点を当てすぎていて、内面の葛藤を描き切れていないのが残念。

ミシェル・ヨーに取らせてあげたいですが、ケイトの可能性も捨てがたいなぁ。うーん、『TAR』を鑑賞できていないから、予想が難しい。ここはロジックは建てられず、一か八かになってしまいます。

予想:ミシェル・ヨー
結果:ミシェル・ヨー
『エブエブ』旋風の中で、受賞は確実と思われていましたが、実際にオスカーを獲得して嬉しいですね。
ミシェルは若い頃はアジア系の美女という役柄が多かっただけに、今回の「くたびれたおばさん役」に違和感を感じるファンもいたかもしれませんが、女優の仕事というのは美女を演じるだけではないということを自ら証明しました。

【助演男優賞】


ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』

ブライアン・タイリー・ヘンリー『その道の向こうに』Apple TV+配信中。

ジャド・ハーシュ『フェイブルマンズ』

バリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』

キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

今回、助演男優賞が一番むずかしい。そのくらい、みんないい。この部門の映画は、全て鑑賞できています。
『その道の向こうに』のブライアンは、傷を追って故郷に帰ってきた戦争帰還兵の役。『ブレッド・トレイン』のレモンとは全然違う役柄で、いろんな面を見せられる俳優さんですね。
『フェイブルマンズ』のジャドは、最後タクシーにのり去っていくところで、「見せ方うま!」と思わず拍手したくなっちゃいました。
『イニシェリン島』のブレンダンとバリーは、ほんと素晴らしいし、この映画はふたりの個性が反映されてこその空気感になっていると思う。

ですが、やはり、キーホイに取らせてあげたい。
彼のようなステキな雰囲気をもった俳優が、アジア系だからという理由でいままで主演級のチャンスが無かったのは、やはりおかしい。
登場するだけでコメディの雰囲気があるし、スーツ姿になればバリッとしたイケメンだし、「ハリウッドさんよ、彼に役を与えないなんて、何やってたんだい?」という感じ。
『グーニーズ』のあと、約35年、キー・ホイなんで映画でないんだろう?と思ってきたけど、まさか仕事がもらえなかったなんて!
ここは、助演男優賞を獲得して、完全復活といきたいですが、正直だれが獲得してもおかしくないとも思ってます。

予想:キー・ホイ・クァン
結果:キー・ホイ・クァン
子役として80年代に『インディー・ジョーンズ魔宮の伝説』や『グーニーズ』に出演してインパクトを残しながらも、役者として仕事がなく、役者業をやめていた時期が長ったキー・ホイ。彼も復活受賞ですね。うれしいです。

【助演女優賞】


アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

ホン・チャウ『ザ・ホエール』

ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』

ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

唯一鑑賞できていない『ザ・ホエール』のホンさんも予告編を見る限りでは良さそうですし、『イニシェリン』のケリーも男だらけの画面のアクセントになっていてホント良かった。
だけどここは、アンジェラ・バセットにオスカーが渡るんじゃないかな。
93年の『TINA』以来2度めのノミネートだし、長年の貢献度を考えてもオスカーにふさわしい。

予想:アンジェラ・バセット
結果:
ジェイミー・リー・カーティス
予想を外してしまったのが悔しい。でも、ジェイミーのスピーチに感動しました。若い頃は、ホラーやコメディ作に出演してきて、キャリアを築いてきただけに、オスカーには初ノミネート。
「私が出演してきたジャンルの映画のみんな、ついにオスカーとったよ」

【脚本賞】


マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』

ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

トニー・クシュナー、スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』

トッド・フィールド『TAR/ター』

リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

脚本賞も混戦ですね。
前哨戦では『エブエブ』のWダニエルの評判が高いのですが、『イニシェリン』のマーティン・マクドナー監督の脚本執筆力は、さすが演劇出身という骨太さ。人間の暴力性を、単純な暴力シーンを使用せずに描いていて、島の閉鎖的な暮らし方と、人間関係の残酷性を描き出す力はやっぱりすごい。

『逆転…….』のリューベン・オストルンド監督は、あいかわらず性格の悪い脚本を書きますよね。それがほんと面白いのですが、毎回長いんですよね。
でも、今回も笑いました。「えーヤダ、何してるの?もう」という笑いですが、人間の本質をイヤラシく描かせたら右にでる人いないですね。

『フェイブルマンズ』は最後の終わらせ方がとっても良かった!映画への愛と、映画ファンへの愛、これから映画製作を目指す人への愛がたっぷり詰まった終わらせ方。◯◯監督役の配役も最高!

そして、『TAR』は鑑賞できてない。うん、ここは前哨戦の結果を踏まえて…….

予想:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
結果:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
予想通りの結果で嬉しいです。マルチバースの複雑な世界観を、アクションと家族愛を交えて表現するクリエイター力は圧巻でした。

【監督賞】

マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』

ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』

トッド・フィールド『TAR/ター』

リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

ここは、前哨戦の強さを考慮して、作品賞ではあえて選ばなかったダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にします。

予想:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
結果:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
こちらも下馬評通りの受賞ですが、監督賞を二人の人物が受賞するのも珍しいことですね。ハリウッドでは、監督は一人というのが常識だったので、これからは、そういった制作体制も古いものになっていくかもしれません。

その他の注目部門。脚色賞も名作ぞろいで接戦です。

【脚色賞】


エドワード・ベルガー、レスリー・パターソン、イアン・ストーケル『西部戦線異状なし』

ライアン・ジョンソン『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』※Netflixにて配信中。

カズオ・イシグロ『生きる LIVING』

アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー/(原案)ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス『トップガン マーヴェリック』

サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

前哨戦の結果を踏まえてと、女性クリエイターに票が集まるんじゃないかという予想から。あと紆余曲折ありながら俳優を続けて、監督脚本も勤めたサラ・ポーリーに賞を取ってもらいたいという個人的理由。
予想:サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
結果:サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
実は子役時代の彼女を知っています。カナダのドラマ『アボンリーへの道』の主人公セーラを演じていたのがサラです。大好きなドラマでした。ですが、当時から意見を言う女優で、ドラマの制作体制に不満を感じて途中降板してしまったのです。サラの降板に伴い私も鑑賞をやめてしまいました。
そのころは、降板を残念に思っていたのですが、こうして時代背景も変化して、監督&脚本として評価されてとても心強いし、応援したい気持ちでいっぱいです。

【国際長編映画賞】


『西部戦線異状なし』

『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』Amazon Prime Videoにて配信中。

『CLOSE/クロース』2023年夏公開予定。

『EO イーオー』2023年5月5日(金)公開予定

『The Quiet Girl(英題)』

予想:『西部戦線異状なし』本物の名作なので、ぜひ鑑賞してください。Netflixで見れます。第1次世界大戦のドイツ対連合国のフランス北西部での塹壕線の不毛さを味わうと、絶対に戦争になんか行きたくないと確信できます。
結果:『西部戦線異状なし』
今回4部門(国際長編映画賞・撮影賞・美術賞・作曲賞)を受賞しました。
ストーリーはもちろん素晴らしいのですが、ぬかるんだ戦地をリアルに表現している撮影・美術力、死体などの造形もリアルでした。また、音楽も印象的で、定期的に流れる不協和音のミュージックが、今でも頭にこびりついてはなれません。トータルで素晴らしい名作なので、みなさんにもぜひ鑑賞して欲しいです。


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