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会社はオーケストラだ。

会社はオーケストラで、社長は指揮者だ。

数日前、フルオーケストラと合唱隊の収録があった。ゼロから生まれた譜面に命を宿らせる作業。フルオーケストラと指揮者。そして合唱隊。各楽器のスペシャリストが指揮者の動きひとつで演奏が始まる。60名以上の演者と、それ相当数のスタッフ。練習に立ち合い、作曲者の意図を伝え、コミュニケーションを取り合う時間。タクトに合わせて揺れるBPM。指揮者の右腕には長年鍛錬し、一つの楽器を極めた人の責任がのっていた。

録音部、撮影部はリアルタイムで変化する音楽に合わせカメラアングルを変えた。

ゼロから作った音楽が世の中に出るまで、こんなに沢山の時間と、エネルギー、そしてなにより良いものを創りたいという気持ちが一つになる瞬間が制作なんだと改めて感じられた。

作曲家、作詞家、編曲家、パート譜面、ホールの反響、残響、各楽器のコンディション、演奏家のコンディション、指揮者との連動。呼吸ひとつで変わる演奏。それに録音部、撮影チーム。すべてが揃ったテイクを作品として世に送り出す。

今回の作品は僕の人生で最も責任の重い仕事のひとつだった。これが失敗すればすべてを失う覚悟で臨んだと言っても過言ではない。

経営者は指揮者だ。各パートのスペシャリストが高いパフォーマンスを出したとしても、指揮者のミスで全部がダメになる。目的やビジョンは経営的な言葉として使われるが、オーケストラと指揮者のやりとりは、まるで同じだった。表現したいこと、伝えたい想いを音にのせる。

言葉にするにはあまりにもチープで、この感覚は一生忘れることはないと思う。たぶん、忘れたくないんだと思う。だから、走り書きのような記事にした。

本当に音楽は尊い。

いまもスタジオワークが続いている。マルチチャネルのマイクと、多数のカメラ、それらを紡いで送り出す時が刻一刻と迫っている。これは、東京都内の私立学校の「校歌」制作プロジェクト。在校時に幾度となく歌い、卒業しても想い出す大切な詩だ。消費されない音楽。クレジットに名を残す時、どんな感情になるのかな。作詞、作曲、指揮まで一貫して重責を担ってくれた、ひとりの人に。そして、関係各位の皆様、本当にありがとうございました。

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