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マインドフルネスは生きていく力 -part2- 1年半の講師養成トレーニングを経験して

当センターでは、ドイツのthe Institute of Mindfulness Based Approaches(IMA)と連携し、2021年4月からマインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師養成講座を開催しています。

その2期生として2023年6月にトレーニングを終え、MBSR講師となった内田さんにインタビューをさせていただきました。

内田さんには、今年11月から、当センターの井上と一緒にMBSRコースを開講していただくことになっています。マインドフルネスが初めての方でも丁寧に体感していただけるようなクラスになります。

2023年11月8日(水)から水曜夜のMBSR8週間コースを開講予定です。
>>詳細こちら

インタビュアー:宮本賢也

第1回は、「マインドフルネスとの出会い」についてお話しいただきました。

ーーー内田さんはMBSR8週間コースを、数回教えられていると伺っています。1年半のMBSR講師トレーニングは、どのような点が、いま講師として活動しているうえでサポートになっていますか。

内田さん
まず一点目は、IMCJのサポートが手厚くて安心感があったことです。トレーニングに参加した頃は、まだマインドフルネスの経験も浅かったのですが、個別セッションを受講したり、不安な気持ちもサポートしていただきました。

清子さん(井上)と以下のような話をしたことを覚えています。
同期の皆さんの多くが医療や心理の専門家という環境下で、自分がマインドフルネスを学び、教えることができるのか、という心配や不安がありました。そのとき、清子さんがおっしゃったのは、講師としての経験の元になるのは、医療的、心理的知識だけでなく、それぞれの人がこれまで歩んできた道、人生経験の一つ一つが土台となるので大丈夫ですよ、ということでした。それを聞いたときに、自分なりの人生経験に自信を持ってやっていけばいいのだと安心することができました。

ーーー参加者の中には様々なバックグラウンドを持つ方がいらっしゃって、その皆さんが講師になった後は、それぞれの方の人生経験を活かしてMBSRのコースを提供されることになります。カリキュラムがあるという点では同じMBSRを提供しているとも言えますし、先生によってそこからにじみ出てくるものが違う意味で、それぞれが唯一無二のMBSRコースとも言えます。私自身、様々な先生のMBSRを受講したことがありますが、受ける度に先生から受けるものも違いますし、自分自身の学びのステージによっても気づくことが異なります。

内田さん
次に二点目として、ピアグループの存在が挙げられます。私たちのグループ1年半の間にほぼ毎週オンラインで集まっていました。自分の生活が忙しいときは、参加するのも難しく、疲れすぎて寝過ごして出られないことがあったりということもありましたが、モジュールで学んだことを一緒に話したり、ガイドを練習し合ったり、それに対してのお互いのフィードバックをする貴重な場になりました。ずっと同じメンバーで1年半組んだ仲間なので、そこには繋がりと信頼関係も生まれ、失敗してもここではみんな受け止めてくれるという安心感のなかで、練習をすることができました。卒業した今でも、月1でお互いの進捗状況や質問をやり取りするので集まっています。

ーーーIMA/IMCJのトレーニングは、スタートから卒業まで、一貫して同じメンバーで行うということが特徴の一つです。そうすることで、モジュール間も学びを深め続けることができますし、自然と安全な場、お互いをサポートするコミュニティができていくことを念頭においています。

内田さん
講師トレーニングの1年半は、正直簡単なものではありませんでした。自分がマインドフルネスに取り組みたい、というしっかりした意志がないと続けていくのは難しいかもしれません。各モジュールの復習や、練習、ピアグループの集まりや修了課題、海外のトレーナーの先生とのスーパービジョンなどやることはたくさんあります。けれどもしっかりと学び、アウトプットするという場がたくさんあったからこそ、実際に一人で8週間コースを教えるときに、これだけやってきたのだ、という自信をもって行うことができました。

このトレーニングでは、ただ資格がもらえます、というものでありません。IMAやIMCJによって、質の高さをキープするために様々な課題が設定されているので、しっかりと教えるスキルを身につけることができると思います。資格取得後に旅立っていくための準備やフォローもしっかりと含まれていると感じました。

ーーーこのMBSR講師養成トレーニングは、卒業の要件としてスーパービジョンを受けながら実際にMBSR8週間コースを教えることが組み込まれています。皆さん不安を抱えながら、ピアグループやスーパーバイザーの先生の励ましを受けながら、どうにかこうにか参加いただける方を見つけ、コースを提供していかれます。教え方を知っていることと、実際にコースを教える切ることは一段ハードルが違うので、一人立ちできる状態で卒業いただくというのは、大事にしているところです。

ーーー井上さんはどう感じましたか。井上さんはMBSRやMBCT他、海外を中心にさまざまなトレーニングを受講されているかと思いますが如何でしょうか。IMAプログラムでは1期生の立場も経験されています。

井上
私は、教えることを学ぶだけでなく、自分自身の生き方を見つめる機会になったと思います。IMAの講師トレーニングでは、講師としてどのように教えるかだけでなく、1人の人間として自分自身を深く見つめる時間が組み込まれています。これまで私が海外の様々なトレーニングで何年もかけて学んできたこと、数年かけてたどり着いてきたことが、この1年半の中に上手に組み込まれデザインされていることが素晴らしいと感じました。それは、1人の人間としてどのように人生の様々なことと関わるのか、どのように人生と触れていくかという在り方を見つめ直す機会でもあり、それ自体が結果的に講師として活動していく中での、マインドフルネスの体現という深いところにも繋がっていることでもあります。

また、自分自身はこれまでは、海外に1人で行って1人で帰ってきて、共有する仲間があまりいなかったのですが、同じ言語や文化の仲間と一緒に学びを共有できるというのもとても有り難い環境でしたし、そんな場を作りたいと思っていたので、仲間が増えて嬉しいなと思っています。

私から内田さんにもお伺いしたいことがあります。このトレーニングが、教えるという観点以外に、ご自身の人生に与えた影響はありますか。

内田さん
まず、マインドフルネスを通じ、今までとは違った幅広い考え方ができるようになったと感じています。

それまで、自分が知っていた、こういう価値観をもっている自分、がいい意味で崩れていきました。職業柄、人から特定のイメージを持って見られる事が多く、それに応えなければならない、と自動的に感じていたように思います。その人の思う私のイメージを壊してはいけないと。そのうち、それが仕事上のものなのか、自分自身のことなのか、あいまいになるような感じがありました。本当の顔を出せるのは、家族や古くからの友人、職場の信頼できる近い人だけ、というような状態でした。

それが、マインドフルネスの実践を通じて、先入観をもたずに物事をそのまま見る、ということを知識としてだけでなく実感としてわかるようになりました。前々から頭でわかってはいたことですが、自分らしくそのままででいいのだな、と体験的にわかりました。すとんと何かが腑に落ちる感じです。そうすると、自分を守るために作っていた壁が必要でなくなりました。

(次回へ続く)
次回、MBSR、マインドフルネスを通じて伝えていきたいこととは。
Part3「人生をかけて伝え続けていきたいこと」です。

MBSRコースへの参加をご希望される方は:
井上清子/内田恭子

最後までご覧いただきありがとうございます。一緒にマインドフルネスを深めていきましょう。お気軽にご連絡下さい!