マインドフルネス瞑想で呼吸に気づくって?
マインドフルネスとは、今この瞬間に自分が体験していることをあるがままに気づくこと。そのマインドフルネスの練習の基本となるのが「呼吸瞑想」です。今この瞬間の呼吸にあるがままに気づき、呼吸に注意を向けた時に現れる思考や感情、身体の感覚、音、匂い等々も好きとか嫌いとか価値判断することなく、あるがままに気づきます。
ただ、瞑想を始めたばかりの人で、この呼吸に気づくという感覚をなかなかつかめない方もいます。今日はマインドフルネス瞑想を始めたばかりで呼吸に気づく感覚がわからないという方と、マインドフルネスの指導を始めたばかりのインストラクターの方で呼吸への気づきについて上手く説明できないという方に向けて、「呼吸に気づく」ということについて書いてみたいと思います。
なぜ「呼吸」なのか?
呼吸は常に私たちと共にあり、呼吸に意識を向けると、今ここに注意を向けることができます。また、呼吸の感覚に注意を集中しながら思考することは難しく、逆を言えば、呼吸から注意がそれたことで、思考が浮んでいることに気づくことができます。
瞑想中は次から次へと雑念が頭に浮かんできます。ともすると、思考の誘惑に負けて、どこか遠くに流されてしまうこともあります。そんな時に、今ここに私たちの心を繋ぎ止めておいてくれる船の錨のような役割をしてくれるのが呼吸なのです。
おなかが膨らんだりへこんだりする感覚で呼吸に気づく
10年以上前からマインドフルネスを広める活動をされている早稲田大学の熊野先生が「おなかや胸がお腹が膨らんだり縮んだりする感覚で呼吸に気づく」と指導しているので、日本では、呼吸に伴い生じるおなかや胸の感覚で呼吸に気づきましょうとガイドしている方が多いかと思います。
ただ、マインドフルネス瞑想のクラスでガイドしていると、人によっては、「おなかや胸の感覚」が全くわからないという方が時々いらっしゃいます。呼吸とおなかや胸の感覚が結びつかないのかもしれません。また、呼吸に意識を向けるのではなく、呼吸について考えてしまっているのかもしれません。
呼吸に気づく場所の選択肢を広げる
せっかくマインドフルネス瞑想を練習しているのに、「呼吸に気づく」という基本的なことがつかめないまま続けるのは大変もったいないことです。質問してくれる場合は良いのですが、初めての参加で知らない人の前で質問しづらい場合もあるかもしれません。ですので、私は初めからおなかや胸以外の選択肢があることを伝えています。
まずは、鼻の先の感覚です。鼻の先から空気が出たり入ったりする感覚で呼吸に気づきます。空気が鼻先に実際に触れている感覚を感じるので、お腹や胸の感覚よりはるかに分かりやすいかと思います。少し冷たい空気が鼻先から入って、もしかしたら少し温かくなった空気が鼻先から出て行きますとガイドしています。「もしかしたら」というのは、出る息は「温かい」とこちらが限定するのは良くないと思うからです。
もう一箇所は鼻腔から喉の奥の感覚です。鼻腔から喉の奥は呼吸が通ると乾いた感覚を感じることができます。
それでも呼吸に意識を向けられない時は?
先ほど書いたように、呼吸は瞑想中にさまよってしまう心を今ここに戻すための船の錨のような役割をしています。錨がないとどこか遠くへ行ってしまうこともあるので、どうしても呼吸に伴う身体の感覚の変化がわからないという方には、手の平や指先の感覚に注意を集中するようにお伝えしています。
私自身も、お腹の感覚に集中できない時は鼻先で空気を感じたり、仕事のことなど雑念がたくさん浮かんでくる時は、手の感覚にスイッチしたりと、意識を向ける場所を変えて瞑想することもよくあります。
この記事が参考になれば嬉しいです。