見出し画像

12週間のマインドフル・セルフ・コンパッション講師養成講座を終えて

今年の8月から3ヶ月間、米国CMSCのマインドフル・セルフ・コンパッション講師養成講座を受講し、本日無事に修了したので、その気づきや感想を記しておこうと思う。

プログラムの構成

画像1

まず、週に2回(3時間・2時間)のクラスを12週に渡って受講する(約60時間)。講師養成講座に参加するためにも前提条件があり、当然マインドフル・セルフ・コンパッション(以下MSC)を事前に受講し、半年以上たっていること、5泊6日以上のサイレントリトリートに参加していること・・などがあげられる。私の場合はサイレントリトリートは、事後に時間を開けずに参加することで今回は免除してもらった。今回はコロナ禍のため、オンラインでの開催となった。費用は約20万円である。

3時間のクラスは、MSCのコースをもう一度オンラインで受講する。1度のリトリートを含む計9回のセッションを受けることになる。そのクラスの次の日に、2時間のクラスを受講する。こちらは、「いかにMSCを教えるか?」に焦点をあてたクラスである。

全部英語&オンラインが厳しい〜

画像2


週2回計5時間×12週をオンラインで、しかも英語でというのが本当に厳しかった。8割位は先生たちが何を言っているかはわかるが、1〜2割は見失うこともある。そして、ブレイクアウトルーム(zoomの機能で、小グループに分かれてのみティング)も、びしばし使われるため、英語漬け・・という感が満載。高校時代をアメリカで過ごしたときのトラウマ(よくわからない英語にさらされ続ける)が惹起されて、解離状態(ぼんやりしてしまう)になることもしばしば・・(汗)しかし、とにかくオープンに話すということをモットーに心を開いていったら、なんだかコミュニケーションとしてはとれた感じがある。

ずっとzoomというのも、便利なのだが独特のしんどさがある。ずっと画面の前に座りっぱなしなので、足がムズムズしてくる・・。 ヨガのポーズを取りながら受講したり、ちょっと歩いたり動いたりして気分転換していた。

思いやりに溢れた先生やクラスメートに恵まれる

画像3

先生、クラスメートが大変優しいので癒やされる。先生は全員で4名、クラスメメートは25名くらいいたのだが、たびたびブレイクアウトルームで顔を合わせ結構深い話をするので、気心が知れた感じになる。それに、コンパッションを習いたい人教えている人だけあって、実に思いやりにあふれている方々が多く、英語なのに人と心から繋がれるんだ・・という貴重な体験となった。

そして、MSCの講師用のSNSプラットフォームが利用されており、そこで個人メッセージや、必要な情報などを受け取ることができる。ここで、先生やメンバーに個人的に質問したり、感想を言い合ったりできる。バックドラフトで辛いときは、先生にも相談したりして、お世話になった。

MSC2回め受講の感想

画像4

いや〜これが実に厳しかった。なぜなら、バックドラフトというか、フラッシュバックが多発したからである。1回目の受講時より、衝撃が大きかった気がする。

自分に思いやりを向けることで、未解決のアタッチント・トラウマが惹起されたからではないか、と自己考察している。

ただ、何回もバックドラフトの体験をしているうちに、自分のインナーチャイルドの存在を意識するようになった。どうやって、インナーチャイルドが傷ついてきたか、なぜ他者のニーズに答えることを自分のニーズに答えるよりも優先させてきたか?自分に思いやりを向けるとなぜ、罪悪感があるのか?など、少しずつ理解できた。

そして、瞑想することで繋がることが出来る自分自身の内側の智慧(12ステップで言うところのハイヤーパワー)、あるいは内的な自己、にアクセスすることで、ありのままの自分を受容することができる点に気づいたことが一番の恵みであった。

アタッチメントトラウマが起きたのは過去のことである。今現在、安心を脅かさす人間関係はもうない。そして、自分に優しくしてももう大丈夫なのだ・・ということを心から理解できたのが、今回のMSCでの一番の収穫であろう。

「恥」の感情を見つめたり、人間関係でのつまづきを乗り越えていくようなタフな瞑想やワークも結構あった。

MSCは、基本的に一般人口を対象としたプログラムである。クリニカルなケースに関しては、かなり病状が安定した人であれば可能とされている。

自分はその狭間の人(汗)なのだろうから、きついのかしら・・・と理解した。自分の体験は教えるときにも、大変役立つと思うので、苦労してよかったのかもしれない。

助けになったのが、先生方との個別的な関わりである。先生二人が同時に面接を短時間だがしてくれたり?「今、あなたには、何が必要か?」を繰り返し問いかけてくれたのは助けになった。

その他、グラウンディング、ヨガ、瞑想などその他のスキルも大変役に立った。いつも教えているスキルが、自分自身のセルフケアとして活用できた。

講師養成プログラムの感想

画像5

こんなに緻密に構造化された講師養成講座を受けたことがなく、配布される分厚い教科書をはじめとして、先生たちの教えもかゆいところに手が届くきめ細かい講座だった。教えるときに使う、引用から詩から、先生方が使う画像や、スライドやと、そういうところからも、内容はもちろんのこと、インスピレーションを多大に受けることができた。

具体的に何を講師養成クラスの方では行うかというと、瞑想をお互いに実施する、インクアイアリー(瞑想後の質問)を実施しあう。ここでもまた英語問題が出てきて、ただ教科書に載っている瞑想をそのままガイドするなら良いのだが、インクアイアリーとなると生徒役のクラスメートの話を理解した上で質問を返し会話しなければならないので第二言語の壁は感じたが、いい勉強になった。

というわけで、こちらも刺激を受け、英語で130%位燃焼するので、そのあとはぐったり、そのままバタンキューと寝てしまう回もたびたびあった・・(笑)

講師養成講座というのを、日本語では受けたことがなく、またこのようなきめ細かく丁寧でかつ知識や智慧のつまった講座は受けたことがない。MSCは、心理等の専門家向けではなく、一般の方でも先生になれるもなので余計に丁寧なのかもしれないが、そのきめ細やかさカバーする範囲の広さに感銘を受けた。専門家向け講座であれば、「そこはわかってるでしょ」と割愛される部分が、より丁寧に説明されているのかもしれない。

これは、高校時代にアメリカに住んでいたときから感じていることなのだが、米国も教育は、「やるときはやる」の感じがすごい。日本の教育だと、比較的のんびりと全体を通して通年で開催するような内容を、短期集中的にものすごく詰め込むのである。なんというのだろう、主観としては、「めっちゃ勉強させられる」のである。そんなところ、結構好きなのだが・・。特定分野の専門性が、高い・・・そういうことかもしれない。

これからの流れ

画像6

これで、MSCの講師になれたのね?と思うだろう・・・甘いのだ。私はやっと「MSC teacher in training」になれたのだが、このあと、10週に渡る実習を経て、サイレントリトリートを終えて、やっと8週間のMSCプログラムを教えることができる。びっくりだ。本当に、大変じゃないか・・(笑)そしてもちろん、その後教える際にも、zoomでコンサルテーションを受けながら、教えることになる。そのあたりのきめ細やかさは助かるところであると同時に、時間もかかり成長が必要という意味で厳しいのである。次に目指すは、「trained teacher」である。

マインドフルネス講師仲間に「MSCより、MBSRのがもっと厳しいんだって」と聞いた。マインドフルネスプログラムの主に8週間講座の認定講師になるのは、本当に険しい道程だ・・日本での一般的なマインドフルネス講師養成講座の実情にはあまり詳しくないが、そこまで厳しくはなさそうに見受けられる。

とはいえ、teacher in trainingに無事になれたことで、ワークショップ等は開催することができるようになった。準備して、当センターでも少しずつMSCに関するものも増やして行きたいと思っているし、ベーシック講座などの今現在実施しているプログラムにもMSCの要素を取り入れて展開していきたいと思っている。

10月末からは、下記のワークブックの監訳者の富田先生にお願いして、6週間のマインドフル・セルフ・コンパッションのオンラインコース(短期コース)を開催予定である。

汗水たらして、時間をかけて登った登山の方が見える景色も素晴らしいように、今回のMSCの講師養成講座が終わり目の前に広がる風景は以前のものとは、随分違うような気がしている。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?