クリスマスツリーを片付けたら

 1月も終わりになって、やっとクリスマスツリーを片付けたら、窓から鳥やリスたちがよく見えるようになった。
 
クリスマスツリーをこんなに遅くに片付けるのは、半分は怠けているのもある。でも半分は日の短い北国の冬を彩るためで、一般にめずらしいことではない。きれいでいいのだが、我が家では庭に面した大きな窓のまえに陣取っているので、ちょっとじゃまといえばじゃまだ。
 
もともと歯を磨きながら窓の前に座って外を眺める習慣があった。ただの共有地の庭なのだが、これがけっこう楽しいのだ。人間が窓に近づくと一瞬動きが止まるが、そのまま歯を磨いていると、二十秒もすると鳥たちが動き出す。2分後には、人間がいないときの動物たちの世界が展開している。
 
毎日見ていると、あるときはコガラのつがいが軒下に巣をつくり始めた。巣材を集める前の基礎工事のときは、こんこんこんこんと建設の音が聞こえていた。軒下の素材が弱くて途中で引っ越してしまったが。春になるとスズメの家族に子雀がまじって、10羽ほどの群れで出入りする。初夏には近所に巣があるらしい幼鳥の三羽ガラスが早朝からにぎやかで起こされるが、夏の盛りにはもう行動範囲が広がって訪れなくなる。
 
路地の向かいのメープルの巨木に巣をつくっているリスは、地面をくるときもあるが、電線も渡りのための通路にしている。ときどきふらりとやってくる白猫と、赤い首輪をつけた白黒猫も、コミュニティーの仲間だ。ついでにいうと、ときどき散歩してもらっている猫もいる。その猫があらわれると、じきに飼い主もやってくるのがわかる。もちろん人間だ。
 
植物も元気だ。毎年冬に散髪のようにバッサリ切られるススキに似た草は、昨年はあまりに短く切られて心配したが、ちゃんと伸びて、秋には立派な穂をつけた。一昨年の記録的猛暑と日照りで枯れかけたアジサイも、なんとか遅れて花が咲いた。リスが巣をつくっている向かいのメープルの木は、コンクリートから生えているように見えて、どこからあれだけのものをつくるのか、夏に濃緑に繁って、秋には鮮やか紅葉した葉を大量に落とす。そうして冬がくると、高い枝にいるリスも鳥たちもよく見えるようになる。
 
クリスマスツリーを片付けたら、歯磨きのときに窓の外がまた良く見えるようになった。今年もサイクルが始まる。
 
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