見出し画像

【経済本100冊】Vol.59:『経済で読み解く日本史〈江戸時代〉』(著:上念司)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、上念司さんの『経済で読み解く日本史〈江戸時代〉』です。

画像2


基本情報

タイトル:経済で読み解く日本史〈江戸時代〉
著者名:上念司
初版発行年月:2019年6月
ページ数(大体):約270pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

江戸時代の様々な出来事を経済の観点から読み解こうとする、上念司プレゼンツの新たな日本史教科書。

全体の感想

江戸時代と言うと、統制経済で経済的に余裕の無い時代だと思われがちですが、必ずしもそうでは無いんだよと言うことを本書は教えてくれます。実は江戸時代の日本は遅れた農業国では無くて、商業が豊かに発展した時代何だと言うことが理解できると、後の明治維新の飛躍が突発的に起こったものでは無いんだと言うことが理解でき、時代時代の繋がりを感じることができます。

この本はシリーズもので3作目ですが、上念さんの歴史観は常識を覆す発見ばかりで目からウロコの連続です。また、経済が分かると、各政権での政策がどれだけ良かったかもシンプルに評価できるようになるので、頭の中が非常にスッキリします。複雑且つ退屈に見える各政策や事象の意味が連環して分かるようになるのは正にアハ体験です♪

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★江戸時代に対する貧農史観は誤り
★江戸幕府は中央集権では無かった
★家光の浪費は金融緩和と財政政策の効果があった
★貨幣の改鋳による財源の拡充
★新井白石の逆噴射政策
★リフレ政策と揺り戻しの繰り返しの江戸時代
★江戸時代の奢侈禁止令は金銀の流出を防ぐ為の政策
★石高制の限界
★日米通商条約における為替レートの失敗
★生糸輸入国から生糸輸出大国へ


< 各詳細 >

★江戸時代に対する貧農史観は誤り
・・・日本人の多くが江戸時代に対して持っているイメージは「貧農史観」である。つまり、農民は厳しい年貢と差別に苦しみ、大半の人々が貧しい暮らしをしていたと言う時代観である。しかしこれは誤りで、実際には江戸時代には経済が発展して、庶民の暮らしにも余裕ができた時代である。また、「百姓=農民」と言う見方も誤りである。百姓とは農民と非農業民を含む庶民の総称であり、実は江戸時代の百姓の過半数は非農業従事者だったのである。よって、江戸時代は極めて商業の発達した、先進的な経済の時代だったのである。


★江戸幕府は中央集権では無かった
・・・江戸幕府は実は中央集権では無かった。そもそも江戸幕府の時代以前に、豊臣秀吉が中央集権的な政策をやり過ぎてしまって、諸侯の不満が溜まっていた所へ、家康が各地の大名の利権を保証しつつ、大名との連合政権で打ち立てたのが江戸幕府なのである。なので、将軍は横並びの大名の中でのトップにいると言うだけなのである。しかし外交や国防・災害復興等、中央政府の支出は大きいので、家康は最初に全国の金山・銀山を手中に収め、本格的な自国通貨を鋳造・流通させた


★家光の浪費は金融緩和と財政政策の効果があった
・・・家康から家光までの徳川三大の将軍は、兎に角幕藩体制を安定させる為に、全国の諸侯の人気取りを行い、溢れ出る金銀を使って、徹底したばらまき政策を行った。特に家光のド派手な浪費は有名で、日光東照宮の造営や参拝だけで157万両も浪費した。浪費は普通はマイナス面が強調されるが、これは金融緩和と財政政策と同じ効果があり、日本経済の発展にとっては大正解だった。江戸時代初期には、安土桃山時代に起きた物流革命と、戦国時代から続く新田開発の恩恵があり、生産性が向上していたが、それに見合うだけの金銀が流通した為、デフレにならずに順調に発展できたのである。

★貨幣の改鋳による財源の拡充
・・・江戸幕府は中央政府を代表していながら、徴税権は自分の領地にしか及んでいないと言う、財政的には極めて非効率な体制だった。4代将軍・家綱以降は金銀が枯渇し、大規模な火事も相次いだ為、財政事情が厳しくなった。そこで、5代将軍・綱吉の時代に貨幣の改鋳を行い、金銀の含有量を減らしてより多くの貨幣を作り、増加した枚数(出目)を幕府の財源に組み入れた。これは経済的には「通貨発行益(シニョレッジ)」と呼ばれるもので、一見インチキに見えるが、通貨の本質は信用なので、これにより一時的に財源を拡充できると共に、デフレからも脱却できたのである。


★新井白石の逆噴射政策
・・・貨幣の改鋳を繰り返すことで、物価の高騰を招いたと歴史教科書には書かれるが、実際はマイルドインフレであり、経済成長には望ましいものであった。しかし、そもそも全国的な徴税権を持たない江戸幕府には、貨幣量を調節するのは難しく、しばしば財政が不安定化した。そこで、寧ろ歳入に見合った歳出に抑えるべきと言う緊縮路線の人が政権に表れた。その代表が新井白石で、白石は貨幣の金銀の含有量を慶長時代以前に戻す逆噴射政策を行い、デフレ不況になってしまった。その後に表れた徳川吉宗もこの緊縮路線を引き継ぐが、一向に景気が回復しないので、大岡忠相の進言を受け入れ、元文の改鋳を行い、財政再建を果たした。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。


↓↓↓その他の経済関連の書評は下記リンク先をご参照下さい↓↓↓
【経済本書評】超ネタバレ!経済本100冊読破&書評まとめ


ここから先は

1,431字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?