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【経済本100冊】Vol.21:『経済ってそういうことだったのか会議』(著:佐藤雅彦、竹中平蔵)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、佐藤雅彦、竹中平蔵さんの『経済ってそういうことだったのか会議』です。

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基本情報

タイトル: 経済ってそういうことだったのか会議
著者名:佐藤雅彦、竹中平蔵
初版発行年月:2000年4月
ページ数(大体):約350pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

小泉政権下で経済政策担当の大臣だった竹中平蔵さんによる、経済とはそもそも何なのかを対談形式で解説してくれた本


全体の感想

竹中平蔵さんは賛否両論ある経済学者であり、金融政策を担当する大臣だった人ですが、この本ではその考え方や思想の一端が垣間見えます。基本的には積極的に価値を生み出している高所得層には余り税金をかけるべきでは無いと言う、アメリカ的な自由主義的・競争主義的な考えの人だと思いました。

但しこの本では、余り政策ベースでどうすべきかについては抑え気味で、経済の様々な概念や歴史的経緯について、分かりやすく解説してくれています。ほんとに基本的な所から解説してくれているのがありがたいですし、実業家ならではの穿った見解も随所にあって、参考になります。また、対談相手の佐藤雅彦さんが、概念の注釈とか竹中さんの名言をポップにまとめてくれてるので、固くなり過ぎないで丁度良い塩梅です。

唯、それでも色んな経済学の話がぽんぽん出るので、多少読み手に経済学の様々な知識が無いと、ピンと来ない所も多いかと思います。あと色んな話が出て興味深いものの、やや話題があちこちに飛び過ぎてまとまりがないかなとも思いました。普通に雑談し過ぎてると言う感じですね(笑)


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★日本の株主総会はだれも来ないことが前提
★産業は川下から始めた方が上手く行きやすい
★戦後の香港の経済発展の経緯
★労働需給のミスマッチ解消には学び直しが一番
★終身雇用が長らく構造的失業を隠して来た
★民主主義の原点は租税民主主義
★アメリカには「産業」と言う概念が無い
★アメリカで競争力を付けさせるとは、ひたすら競争させることである
★ハードカレンシーとは
★通貨統合までの5つのステップ


< 各詳細 >

★日本の株主総会はだれも来ないことが前提
・・・竹中さん曰く、日本の企業の株主は大抵、別の企業であり、企業同士が株式の持ち合いをしている為、コーポレート・ガバナンスが働かない。本来であれば株主は色々なことが言える筈だが、「おたくには口出ししないから、うちのことも言わないでくれよな」と言う談合が暗黙の裡に成立してしまう。だから株主総会には誰も行かないことを前提にしており、前以て委任状を取っておけばいいと言うことになる。「安定株主」がいることで、腰を据えたいい経営ができると言われる一方、実際には健全な投資家を全部排除してしまう結果になってしまった

★産業は川下から始めた方が上手く行きやすい
・・・産業は川上から前に展開させたいと言う「前方展開」と、川下から始めて行く「後方展開」があり、後方展開の方が上手く行きやすい。例えば、確実に需要があって儲かる消費財から作って、そこから、消費財を作る為の需要が発生して、どんどん川上に上ると言うやり方がそうである。特に、消費財の中でも輸入しているものを作り、競争力を付けたら今度はそれを輸出する。これを輸入代替から輸出代替と言う。逆にソ連が経済政策で失敗したのは、先ず材料となる鉄を作ってから、その後で何か消費財を作ると言う前方展開をした為である

★戦後の香港の経済発展の経緯
・・・香港は戦前、中継貿易をしていたが、中華人民共和国が成立して後ろ盾が無くなると、今度は繊維や雑貨の加工貿易にシフトし、その次は機械にシフトした。しかし国土が狭い為に工場が余り増やせないので、ある程度発展したら、当時イギリス連邦の国で英米法をマスターした弁護士が沢山いたことから、金融センターに形を変えた。香港はポンド圏だったが、1973年に変動為替相場制になったことから、ドルに切り替えた。そうして、中国が再びバックに戻ると、今度は深圳(しんせん)に対する投資基地となってしたたかに発展して行ったのである

★労働需給のミスマッチ解消には学び直しが一番
・・・今まで一つの会社で一生懸命やって来たが、気が付いたらITも英語にも対応できていないと言う中高年が多い。失業者が多数いても、英語やITができる人なら雇いたいと言う需要自体はある。しかしその労働需要に見合った労働供給になっていないのが問題であり、これを「労働の需要と供給のミスマッチ」と言う。このミスマッチを解消するには、その中高年ができるような仕事を作るのでは無く、中高年に教育投資をして勉強し直してもらって、人的資源を高めれば良い。これを「積極的労働市場政策」と言う。

★終身雇用が長らく構造的失業を隠して来た
・・・失業には「循環的失業」と「構造的失業」の2種類がある。景気の波で偶々不況の時に起きる失業のことを「循環的失業」と言う。対して、労働需給のミスマッチの為に起きるような失業は「構造的失業」である。構造的失業は日本ではかなり前から潜在的に存在していたが、企業内失業とか終身雇用の陰に隠れて、表には出て来なかった。それが近年、終身雇用が崩壊して来たことで、構造的失業が表に出て来ているのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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