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【経済本100冊】Vol.29:『もう銀行はいらない』(著:上念司)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、上念司さんの『もう銀行はいらない』です。

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基本情報

タイトル:もう銀行はいらない
著者名:上念司
初版発行年月:2019年7月
ページ数(大体):約240pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい

大和の適当あらすじ

上念司さんが、これまでの銀行の旧態依然としたビジネスモデルを糞味噌に叩き斬って、「最早銀行は要らないよね★」と言うことに気付かせてくれる本。


全体の感想

上念司さんも中々切れ味鋭いエコノミストで、しかも独創的で大胆な提案もする人なので、非常に面白い人だなと僕は思っています。経済政策に関しては貨幣数量説に基づいたリフレ派なので、倉山満さんと考えが近いです。実際二人は仲もいいみたいですしね。

この本の8割方は、銀行経営の杜撰さと時代遅れ感の指摘、裏社会と結びついた非常識さを、時代の流れを追って列挙して行くと言う内容です。そして巻末の方で、大胆な金融改革案として、「銀行から人を排除したAI任せの金融業」が提示されます。その中にはベーシックインカムも入っていますが、凄く急進的なアイデアだなと思いました。このアイデア自体は賛否両論別れると思いますが、それまでの銀行絡みの様々な問題を分析・指摘する所は、多くの方の留飲を下げるものであり、思わずそうだそうだと肯定できるものだと思います。

僕自身も、パソコンやスマホでネット銀行のやり取りが手軽にできる今、一々印鑑を持っていかなければならない地方銀行の時代遅れ感にはもやもやしたものを感じていたので、この本の問題提起には物凄く納得ができました!


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★貸し渋りをする銀行の経済的存在意義は無い
★銀行のビジネスモデルは最早時代遅れ
★銀行は高金利を当てにできなくなった。
★ゆとりローンを組ませた銀行の大罪
★日本版サブプライムローン、住専問題
★銀行は住専問題のリスクを農協に押し付けた
★銀行とヤクザとの闇の繋がり
★大蔵省解体の理由はノーパンしゃぶしゃぶ事件
★銀行から人を徹底的に排除すべし
★銀行は金融商品のマッチングサイトとして生き残る
★100%準備銀行で取り付け騒ぎリスクを解消
★円コイン発行とベーシックインカムによる究極の金融政策


< 各詳細 >

★貸し渋りをする銀行の経済的存在意義は無い
・・・銀行の社会的な役割は「預金」「貸付」「清算」であるが、マクロ経済全体の中で本当に果たすべき役割は「信用創造」である。「信用創造」とはお金を増やすことであり、中央銀行に限らず民間銀行でも、企業や個人への融資を増やすことで、世の中全体のお金の量(マネーストック)を増やすことができ、延いては経済を良くすることができるのである。しかし、銀行がリスクを恐れて融資を渋っていれば、日本経済にとって存在意義が無い。担保や個人保証を差し出せる人にしか融資をしないのでは質屋と同じである。


★銀行のビジネスモデルは最早時代遅れ
・・・ここ最近、銀行が儲からなくなって来ている。理由は、現行のビジネスモデルが古過ぎるのである。九州のある地方銀行ではEメールが使えずにファックスに通信を頼っている。コンビニが24時間営業なのに、銀行は法律で営業時間が9時~15時までとなっている。そこで一部のネット銀行は窓口を持たずに、全ての取引を画面上でできるようになっているが、実行している銀行はまだ少数派である。2018年10月に、全国の銀行を繋ぐ全銀システムは24時間対応になったが、それにしても対応が遅すぎると言える。


★銀行は高金利を当てにできなくなった。
・・・銀行のビジネスモデルが非効率でも、長いこと生きながらえて来た理由は、金利が恐ろしく高かったからである。高度成長期の頃は、銀行が高金利を要求しても、借り手の事業がそれ以上に成長したので、余り問題にならなかったのである。ところが1998年からデフレに陥り、銀行が金利収入を増やそうにも企業が中々借りないので、金利を安くして負担を軽減し、結果として儲からなくなると言う悪循環に陥っている。また、金融自由化の流れでREIT(不動産投資信託)等、今まで金融機関でしか使えなかった様々な資金調達のスキームが開放されたことも、銀行離れが進んだ要因となっている。


★ゆとりローンを組ませた銀行の大罪
・・・バブル崩壊直後も、銀行が能天気にゆとりローン(ステップローン)を組んだのも、銀行経営悪化の一因である。ゆとりローンとは、最初金利を安くして月々の返済額を抑え、景気が回復しているだろう6年後とか11年後から金利が上がって返済額が大幅に増える住宅ローンのことであり、92年に政府が景気対策として導入したものである。しかしその見通しは甘く、未曽有のデフレ不況に陥った為に住宅ローン破産者を量産する結果となってしまった。政府も罪深いが、安易にこの制度に乗った銀行もまた罪深いと言える。


★日本版サブプライムローン、住専問題
・・・1995年には住宅金融専門会社(住専)問題が起きた。当時8社あった住専は、銀行の審査に落ちた人を対象に日本版のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)を提供していた。これは不動産価格が下落すれば確実に破綻するモデルであり、1995年には住専8社中7社の経営が行き詰まり、総融資残高11兆円の内70%の8兆円が不良債権となった。


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