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【経済本100冊】Vol.66:『商店街はなぜ滅びるのか』(著:新雅史)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、新雅史さんの『商店街はなぜ滅びるのか』です。

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基本情報

タイトル:商店街はなぜ滅びるのか
著者名:新雅史
初版発行年月:2012年5月
ページ数(大体):約210pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい

大和の適当あらすじ

商店街は何故滅びゆくのかを歴史的な流れを追って解説してくれる本。


全体の感想

商店街が衰退する理由を、時代における産業構造の変化から解説してくれています。この本で驚いたのが、実は商店街は言う程伝統的な存在では無く、百貨店との対抗や戦時の総力戦体制から近代になって組織化されたものと言うことでした。あと、最近はコンビニがスーパーや百貨店を凌ぐ勢いになってますが、そのコンビニは実は商店街から鞍替えした小売商がオーナーになってるパターンが多いと言うのも驚きでした。言わばコンビニがスーパーを中抜き状態にしてると言うことですね。

この本では商店街を「零細小売商」と言う言葉で一括りにしてましたが、お店のジャンル自体は各お店毎に違う筈なので、「商店街」と言う枠に依存し過ぎることなく、結局の所、各お店が時代に合わせて試行錯誤するしか無いと思うんですよね。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★第一次大戦後に零細小売商が急増
★百貨店が零細小売商を追い詰める
★商店街になることで個々のお店の品質が向上
★商店街は伝統的な存在ではない
★商店街保護制作とスーパーによる小売業の合理化
★商店街を否定するスーパーのバリュー主義
★弱体化する商店街にコンビニがトドメを刺す
★コンビニが零細小売商にとって魅力だったこと
★商店街の規制が流動性を低下させ、衰退に繋がった
★大規模化し過ぎた消費システムは災害時のモノ不足を加速させる

< 各詳細 >

★第一次大戦後に零細小売商が急増
・・・第一次大戦後の農村の長引く不況から、この時期に離農者の多くが都市部に流れ零細小売商として働き始めた。日本の近代産業の採用システムは親方請負制によるものが中心だったが、これが直接雇用に置き換わったことで学歴重視となり、離農者が企業で働くことが困難になったので、自営業者になったのである。当時、物価の乱高下や粗悪品の流通が経済上の問題になっていたが、これを都市住民は、小売業者の秩序なき増加に原因があると考えていた。そこで、都市住民は自衛策として協同組合と言う実践を進めて行くことになる。協同組合とは、品物を安く買う等、共通する目的の為の個人・零細事業者による非営利の組織である。


★百貨店が零細小売商を追い詰める
・・・第一次大戦後の物価の乱高下は、協同組合や公設市場の設置を誘発したが、こうした動きを一言でまとめるならば、暴利を貪る小売商人への対抗であった。唯、協同組合や公設市場と言う考えは、当初、消費者保護として用いられたが、それが零細小売商の組織化へと転用され、「商店街」の理念形成に繋がって行くことになる。やがて、百貨店と言う新しい小売り業態が登場し、零細小売商の立場を追い詰める。百貨店は最初は中・上流層向けだったが、関東大震災を境に一般大衆向けの日常必需品の販売も行い、一定の成功を収めたことで大衆化へと舵を切ったのである。

★商店街になることで個々のお店の品質が向上
・・・第一次大戦後の零細小売商は消費者や百貨店等、様々な層と対立していたが、流動化による小売商増加の解決策として「商店街」と言う理念が作られる。当時、商品は単に購入するだけでなく、眺めて楽しむものになりつつあった。そうしたニーズに応える為にも、ばらばらに散らばったお店が一つの地域でまとまる必要があったのである。また、商店街として組織化されることで、それぞれのお店が自分の専門分野に特化できるので、品質の向上も促進され、全体としての品数の多さと品質で百貨店に対抗し得るようになったのである。

★商店街は伝統的な存在ではない
・・・1930年代以降、商店街が広がった。切っ掛けは、満州事変を切っ掛けとした戦線の拡大で、物資を戦地に送る為に計画経済体制の確立が必要になったのである。そこで総力戦体制の中での経済統制の一環として、生活インフラとしての商店街が必要になったのである。そして、第二次大戦後に、商店街関係の法整備が矢継ぎ早に進んだことで、商店街が急速に整備・形成されたのである。なので、実は商店街は伝統的な存在では無い。スーパーやショッピングモールと比較して、相対的に古い存在であるだけで、二十世紀の社会変動に合わせて作られた新しい存在なのである。


★商店街保護政策とスーパーによる小売業の合理化

・・・零細小売商が政治に保護を求めて圧力をかけたことで、1960年代に商店街振興組合法が成立した。これは商店街に法人格を与え、政府が必要と認めた場合に補助金を交付することを明記したものである。この他にも、戦後、零細小売商に対する保護政策は矢継ぎ早に実現したが、それは零細小売商への批判をも招くこととなった。一方で、新たにスーパーマーケットが登場し、小売業の合理化が進んで行った。特に中内功は「価格破壊」をキャッチフレーズに、流通革命を起こしてスーパー「ダイエー」を全国的に広げて行った。


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