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【経済本100冊】Vol.42:『キャッシュレス覇権戦争』(著:岩田昭男)のあらすじ


こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、岩田昭男さんの『キャッシュレス覇権戦争』です。

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基本情報

タイトル:キャッシュレス覇権戦争
著者名:岩田昭男
初版発行年月:2019年2月
ページ数(大体):約200pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

世界を巡るキャッシュレス化の潮流と、今後キャッシュレス化で起こり得る恩恵やリスクを解説してくれる本。


全体の感想

この本では昨今話題のキャッシュレスサービスについて、それがどのようにして普及・拡大して行ったかの、歴史的な流れまで追って解説してくれているので、時代の流れを読み解くのに凄く適した本と言えます。

特にキャッシュレスの中でも、カードの利用状況を元に個人の信用度をスコア化した「信用スコアリング」の是非について、縷々述べられています。信用格差社会の恐怖をかなり煽ってはいるのですが、基本的に著者はキャッシュレス化については肯定派なので、リスクも十分考慮して吟味した上で、日本でも日本版のキャッシュレス化を図れば良いと言うスタンスです。

前半は、実際に日本でのキャッシュレスのキャンペーンを取材したドキュメンタリーになっているので、報道番組でも見るような感じで読み進めることができます。どちらかと言うと、深く突っ込んで、今後どうすべきかを著者が積極的に提言する本と言うよりは、池上彰さんみたいにニュートラルな立ち位置で、情報の整理をしてくれていると言う本でしたので、キャッシュレスの基礎知識を補完したいビギナーさんにオススメですね☆彡 

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★クレジットヒストリーとクレジットレポートとは
★クレジットスコアとは
★アメリカのクレジットスコアは収入よりも返済能力を重視している
★中国がキャッシュレス大国になれた理由
★中国のキャッシュレス化の道を開いた銀聯カード
★アメリカのクレジットスコアを進化させたゴマ信用
★ゴマ信用のスコアリング対象の中身
★QRコードを開発したのは日本のメーカー
★韓国のキャッシュレス推進政策
★キャッシュレス化による様々なリスク


< 各詳細 >

★クレジットヒストリーとクレジットレポートとは
・・・アメリカでは、ほとんどの支払いがクレジットカードを通して行われる為、返済履歴が信用情報機関に集められ、一本化されるシステムが確立されている。その際に利用するのが「クレジットヒストリー」で、過去一定期間の返済履歴、所有枚数、借入残高と言った情報が記載されている。そのヒストリーを個人用に見やすくカスタマイズしたものを「クレジットレポート」と言い、カード会社や銀行だけでなく、利用者本人にもそのレポートを提供してくれる。利用者はそのレポートを見て、履歴の記載に間違いが無いか、カード会社の審査が正しいかどうかを検証できる。


★クレジットスコアとは
・・・アメリカの暮らしには「クレジットスコア」と言うものが大事であり、それは、クレジットヒストリーを元にその人の信用度を3桁の数値に換算したものである。最も普及しているのは、FICO(ファイコ)社が作成する「FICOスコア」である。スコアの算出方法は非公開だが、特に5つの要素に注目しているらしいことが分かった。それは、①返済履歴②与信総額に対する利用総額の比率③クレジット履歴(期間)の長さ④ローン利用の実態⑤新しいクレジットカードを作ったか・・・である。


★アメリカのクレジットスコアは収入よりも返済能力を重視している
・・・アメリカのクレジットスコアでは何より、借金をきちんと返しているかと言う返済能力を見ている。日本では、500万円借りている人と1000万円借りている人とでは、1000万円借りる人の方がリスクが高いとして警戒されるが、アメリカではどんなに多額の借金でも、その人が返済できているなら、信用度が高いと評価する視点が確立されている。なので、年収が高いか、勤務先が大企業や公職であるか、勤続年数が長いか、持ち家か等は二の次であり、何より、お金を有効に回しているかと言うキャッシュフローが大原則なのである。そして、カードを使わないことが一番良くないことであり、バランス良く毎月使うことで、確実にスコアを上げて行くことができる。

★中国がキャッシュレス大国になれた理由
・・・中国はキャッシュレス大国だが、そうなれた要因として、クレジットカードが普及していなかったことが挙げられる。クレジットカードを持つには、与信審査を通る為の経済力が必要だが、中国では貧富の格差が大きい為、クレジットカードは一握りの富裕層しか持てず、国民のほとんどは審査を通らず、持つことができなかった。また、VISA、マスターカード、アメックスと言った国際ブランドを中国政府が排斥したこともあって、中国ではクレジットカード事業は満足に展開できなかった。しかし、90年代より急成長した中国にとって、金融のインフラ向上は重要な課題であり、中国政府は先ずデビットカードを普及させることで金融システムを整え、キャッシュレス化を強力に押し進めることに成功した

★中国のキャッシュレス化の道を開いた銀聯カード
・・・90年代から急成長した中国にとって、銀行毎に決済システムが異なることで、送金システムがスムーズに行かないことが問題視されるようになった。そこで2002年に、中国の中央銀行である中国人民銀行が中心となって、中国・香港・マカオ等の金融機関が参加する銀行間決済ネットワーク、中国銀聯が設立された。銀聯は中国初のクレカ、「銀聯カード」を発行するが、実質は銀行のキャッシュカードであると同時に、デビットカードだった。デビットカードは預金残高の範囲内で即時払いすると言うものであり、信用の有無は関係が無い。これが貧困層の多い中国の事情にもマッチし、キャッシュレス大国の足掛かりとなったのである


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