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【経済本100冊】Vol.54:『日本経済ここだけの話』(著:山口正洋)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、山口正洋さんの『日本経済ここだけの話』です。

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基本情報

タイトル:日本経済ここだけの話
著者名:山口正洋
初版発行年月:2013年7月
ページ数(大体):約290pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい

大和の適当あらすじ

ぐっちーさんが、日本の円高は日本がハイステータスである証拠で、様々な日本財政破綻論・日本経済崩壊論はまやかしであると喝破してくれる本。

全体の感想

円高悪玉論に対する批判の調子が強い本書では、新たな価値観として、「円高=日本ブランドの高さ」と言う発想の転換を謳っています。ぐっちーさんの経済学講義は表面的な経済学の概念に囚われない、より本質的な所を説こうとするものであるので、そこらの経済ニュースや解説とは一味違って面白いなと思うと同時に、結構人間的だなと感じさせられます。最早単なるエコノミストと言うよりは一思想家と言ってもいいかも知れません。

本書では東日本大震災から少し経ってからの本なので、震災をネタにした経済解説が多く、巻末の方では東北復興・活性化プロジェクトに触れています。池上彰さんや押切もえさんとの特別対談を挟む等、本が売れるように配慮したマーケティング色もぷんぷん漂う本です(笑)

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★日本国債は格付けしようが無い
★「日本=製造業の輸出立国」は嘘
★GDP比は財政破綻論の根拠としてはおかしい
★「貿易赤字=輸出大国からの転落」と言う訳では無い
★日本は工業製品のほぼ全てを自前で賄えてしまう国
★近代経済学は、仕事もせず毎日ビールを飲む人を「想定外」とする
★通貨の価値はその国の価値の表れ
★円高は産業構造転換のチャンス
★技術を売るだけでは無く、コンセプトも売らないといけない
★洗練された消費者に大企業は必要ない


< 各詳細 >

★日本国債は格付けしようが無い
・・・2011年1月、S&P社が日本国債の格付けを引き下げたと話題になったが、それは嘘である。正確には、日本と言う国に彼らなりの判定基準で「ソブリン格付け」と言うものを行っており、それを勝手に格下げしたと言うことである。先進国の自国通貨建て国債は、ユーロを除いてその通貨での最高格付けとなるので、そもそも格付けのしようが無い。更にS&P社の実力も疑わしく、アイスランド、アイルランド、ギリシャ等の問題が起きる前には格下げしておらず、混乱が起きてから慌てて下げている始末である。AAAと言う最高格付けを付けていた証券化商品が一夜で紙切れになった時も、AAAのまま放置していた。

★「日本=製造業の輸出立国」は嘘
・・・「日本は製造業の国で輸出立国である」と主張する人がいるが、これは嘘である。日本のGDPに対する輸出依存度は製造業全てを合わせても17%(2009年)しか無く、残りは内需頼りの非製造業で成り立っている。「それは大企業の話で、中小企業では町工場等製造業が圧倒的に多く、円高のせいで倒産寸前である」と反論する人もいるが、11年版の中小企業白書で中小事業所の内訳を見ると、製造業53万社に対してサービス業等の非製造業が530万社もあり、10倍も非製造業が多いのである。


★GDP比は財政破綻論の根拠としてはおかしい
・・・政府債務がGDP比で190%もある(2011年)ことを指摘して、「このままでは日本財政が破綻する」と言うことを主張する人がいるが、これは根拠になっているGDP比がおかしい。これを根拠にするのであれば、政府債務がGDP比で大きくなる程その国の破綻が近くなると言う事実がある筈である。しかしイギリスはGDP比270%まで政府債務が増えても破綻しなかったし、逆に通貨危機で破綻した韓国やタイの政府債務はGDPの20~30%程度だった。つまりGDPに対する債務比率と国の財政破綻の間には統計的相関性が無いのである


★「貿易赤字=輸出大国からの転落」と言う訳では無い
・・・2012年1月に財務省が発表した11年の貿易統計では、31年ぶりに貿易赤字になっていた。このことを指摘して、「日本は最早輸出大国では無くなった」と報道したメディアがあるが、これは間違いである。11年に貿易赤字になった最大の理由は、東日本大震災による原発停止で、化石燃料の輸入額が増えたからである。しかも、未曽有と言える東日本大震災の最中でも65兆円もの輸出を日本は行っており、リーマン・ショック後(2009年)の輸出額が54兆円であることと比較すると、日本の輸出競争力は全く落ちていないのである。


★日本は工業製品のほぼ全てを自前で賄えてしまう国
・・・東日本大震災の影響で、経済専門家の人達は「日本の製造業が壊滅的打撃を受ける」と予測したが、実際はGDPこそマイナスになったものの、鉱工業生産はプラスになった。これは山口氏はじめ現場を見ている金融マンからすると驚くことでは無い。日本のGDPは約60%が個人消費なので、花見までやめてしまえば下がるが、日本のように全て自前で作っている国(海外生産も含む)の製造業の製品は、震災で製造が中止されていた一部の部品さえ揃えば、即販売可能なのである。また、日本の高付加価値製品に対するアジアの膨大な需要そのものが失われた訳では無いので、その将来的需要を見込んだ生産活動が活発だったのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。


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