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【経済本100冊】Vol.90:『中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕』(著:中原圭介)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、中原圭介さんの『中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕』です。

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基本情報

タイトル:中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕
著者名:中原圭介
初版発行年月:2016年11月
ページ数(大体):約250pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

2017年の主要各国の経済動向を大胆予測する本。

全体の感想

占い師のように、その年の主要各国の経済動向を大胆に予想すると言う本です。通常、経済の流れと言うのは予測できそうで中々予測できないので、ざっくりこの方向に行くだろう位しか予想できないのですが、それを年単位でやろうと言う所に、著者の意気込みが見て取れます。大前研一さんも似たような感じの本を出してますが、それよりもやや細かいですね。アメリカ経済・欧州経済・中国経済・日本経済と章が分かれていますが、ポイントを箇条書きにした上で詳細解説に入るので、論点が明確で分かりやすいです。アメリカ経済編で、大統領選ではトランプでは無くヒラリー・クリントンがなるだろうと予測し、それが外れてしまっているのが致命的ですが、だからと言って本書の価値が無い訳では無く、経済を読み解く為のポイントを色々と提示してくれています。考え方としてはリフレ派の金融緩和政策には懐疑的で、構造改革による成長戦略をひたすらプッシュしているエコノミストですね。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★円安でも実質賃金低下で国内消費が冷え込む
★経済格差が重層的に進んでいる
★円安でも輸出量は増えない
★既に労働分配率の高い中小企業にトリクルダウンは及ばない
★インフレ期待理論は原因と結果を取り違えている
★クルーグマンは自説の誤りを認めている
★今日本に求められているのは構造改革
★有効求人倍率の上昇は少子高齢化によるもの
★消費増税とインフレ税による二重課税
★企業の倒産件数は表面的な数字だけで判断してはいけない


< 各詳細 >

★円安でも実質賃金低下で国内消費が冷え込む
・・・アベノミクスでは、円安を追い風にして企業収益が拡大したにも関わらず、政府が期待していたようにGDPが中々増えていかない原因は、円安で企業収益が増えた分だけ、輸入インフレで家計の可処分所得が減ってしまっているからである。その結果として、実質賃金の持続的な下落が進んでしまい、GDPの6割超を占める個人消費が大幅に落ち込んでしまっているのである。政府は「景気の緩やかな回復基調と言う判断は変わっていない」と言うが、これは国民に対して日本経済の本当の状態を偽っていると言えるだろう。

★経済格差が重層的に進んでいる
・・・様々なシンクタンクの調査によると、円安で大企業の景況感は概ね良好だが、中小零細企業では、「景気が全く良くなっていない」と言う感想が多い。また、大都市圏と地方の労働者の間では、実質賃金に大きな開きが生じてしまった。大都市圏の多くでは実質賃金がプラスになったのに対して、地方の大半では実質賃金が大幅に落ち込んでいる。まさに、大企業と中小零細企業、大都市圏と地方等、格差拡大が重層的に進んでいるのである。また、経済統計には従業員5人未満の事業所等、経済的に最も苦境にある零細企業の実態は反映されていないので、実態はもっと悪いと考える必要がある

★円安でも輸出量は増えない
・・・アベノミクスが始まった当初から、経済学者の多くは円安がもたらす「Jカーブ効果」と言う理論を支持していた。「Jカーブ効果」とは、円安で輸入価格が上昇し、一時的に貿易赤字が拡大するとしても、円安による輸出価格低下で輸出数量が徐々に増加し、最終的に貿易収支も改善すると言う理論のことを言う。しかし、厳しい円高でも日本企業の多くは海外市場でシェアを失わないようにする為に、収益の悪化を覚悟で海外での値上げを行わずに辛抱して来たのである。なので、企業の経営者はたとえ大幅な円安になっても、円安が進んだ割合に応じて値下げはしないのである。なので円安だけでは輸出量は増えないのである。


★既に労働分配率の高い中小企業にトリクルダウンは及ばない
・・・アベノミクスが目指したトリクルダウンの理論では、円安で収益が上がる大企業が賃上げや設備投資に動くことで、中小零細企業や地方にも利益がしたたり落ちて来る筈だった。しかし、中小零細企業では既に労働分配率が非常に高く、賃金を引き上げるのが困難だったことは最初から分かっていたことである。中小零細企業のコストの大部分が人件費なのだから、労働生産性が引き上げられない限り、賃金の引き上げも難しいと言わざるを得ない。トリクルダウンの理論を生み出した本家本元のアメリカでさえそのような事実は無く、寧ろ深刻な格差拡大が進んだ結果として、アメリカ大統領選でトランプやサンダースが旋風を巻き起こしているのである。


★インフレ期待理論は原因と結果を取り違えている
・・・リフレ派の学者から支持される、ポール・クルーグマンの「インフレ期待」なる理論は、原因と結果を完全に取り違えている。物価が上がれば景気が良くなり、生活が豊かになると言うのは経済の本質では無い。経済の本質からすれば、経済が成長する結果として、物価が上がるのでなければならないのである。科学の世界では決して原因と結果がひっくり返ることの無いように、実際の経済も原因と結果はひっくり返らない。「インフレになると人々が信じれば実際にインフレになる」と言うインフレ期待は、まさしく宗教のようなものである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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