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【経済本100冊】Vol.89:『反「デフレ不況」論』(著:日下公人、長谷川慶太郎)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、日下公人、長谷川慶太郎さんの『反「デフレ不況」論』です。

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基本情報

タイトル:反「デフレ不況」論
著者名:日下公人、長谷川慶太郎
初版発行年月:2010年7月
ページ数(大体):約180pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

デフレでも日本企業は世界に勝てると言うことを教えてくれる本。


全体の感想

結構コンパクトな本ですが、中身は割と濃厚です。日本経済は意外と大丈夫だと言うことを教えてくれるので、日本経済の先行きに不安を抱いている人は、これを読むとほっとするかも知れません。特に、リーマン・ショックの負の影響が日本では少なかったと言うのは意外です。但し、日本経済において全業種が安泰と言う訳では無くて、重厚長大産業が安泰と言うことであって、軽薄短小とか薄利多売の外食チェーン何かは苦戦を強いられると言っています。対談形式で進み、ボリューム的にも少ないので読みやすいですが、やや専門的な内容も多いので、そこは若干小難しく感じました。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★日本の輸出の8割は資本財なので円高でも強い
★日本はやがて特許貿易で十分食べて行けるようになる
★リーマン・ショックによるカードローンの崩壊
★日本の銀行はほとんどCDSを買わなかった
★アメリカの住宅産業の再生スピードは速い
★デフレで吉野家・すき家・松屋はギリギリの戦いを強いられる
★3Hから2H1Lの時代へ
★原発ブームなのに原発技術者がいない
★日本では原発技術者が温存できた
★日本の強みは重厚長大産業
★軽薄短小のトレンドからは逃げるべき


< 各詳細 >

★日本の輸出の8割は資本財なので円高でも強い
・・・円高を問題視する人は多いが、日本の輸出品目の内、消費財は全体のほぼ2割程度しか無く、残りの8割は生産財、即ち素材や部品、および資本財(機械設備)なのである。消費財は個人が買うものだが、生産財と資本財は企業が買うものである。特に企業が商品を購入する時には、「品質」・「信頼性」・「納期」と言う3つのポイントに必ず重点を置き、これを「非価格競争力」と言うが、日本はこれが世界一である。そしてそれを支えているのが日本の技術力である。だから円高が進んでも、ドル建てだと製品価格が値上がりするにも関わらず、日本製の生産財や資本財を求めるユーザーが世界に数多くいるのである


★日本はやがて特許貿易で十分食べて行けるようになる
・・・戦後、日本企業が必死に努力して技術開発を続けた結果、日本の特許の国際貿易が輸出超過に転じた。言わば、日本の技術が特許と言う形で商品化されたのである。アメリカやドイツ等世界中の国々に対し、特許貿易が輸出超過となった。言い換えれば、アメリカもドイツも、最早日本から特許を買わなければ、経済の運営ができなくなったのである。日本の特許貿易の輸出超過は、21世紀に入ってから毎年、ほぼ2000億円のペースで増えて来たから、1兆円を超すのもそう遠くは無い。この傾向が続けば、日本は特許貿易の輸出超過で食べて行くことができるだろう。極端な話、ものを売らずに知恵を売ればいいのだから、製造業はもっと楽になる筈である


★リーマン・ショックによるカードローンの崩壊
・・・リーマン・ショックは、アメリカのみならず世界的な金融危機に発展したが、余り目に付かない形で大きなダメージを受けたのが、アメリカのクレジット会社である。これまで世界経済を牽引して来たアメリカの個人消費は、言わばクレジットカードに支えられて来たとも言える。アメリカの消費者は、残高が足りなくても、カード会社がローンを組んでくれるので、カードで買い物をしていたが、リーマン・ショックを機に、カード会社の経営が苦しくなった為、カードローンが組めなくなった。そうなると貯金して余裕ができてから買うと言うライフスタイルになるので、カードローンの主要な対象である耐久消費財の売れ行きが激減したのである

★日本の銀行はほとんどCDSを買わなかった
・・・日本人の消費生活は元々堅実な為、リーマン・ショックではアメリカ程大きな痛手を負うことは無かったまた金融分野においても、日本はリーマン・ショックの影響をほとんど受けなかった。何故なら、リーマン・ショックでは所謂新種の金融商品の多くが破綻したが、例えばその典型である「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」を、日本の金融機関はほとんど買っていなかったからである。そもそも、銀行に公的資金が入った場合、金融庁は銀行の月次決算を厳しく監視する。それで、アメリカ国債の購入位なら何も文句は言われないが、デリバティブ投資でCDS絡みの金融商品を買うと、金融庁から厳しくチェックが入るのである。

★アメリカの住宅産業の再生スピードは速い
・・・リーマン・ショックが起こったものの、アメリカ経済の再生のスピードとダイナミズムには目覚ましいものがある。その良い例が、アメリカの不動産市場である。サブプライムローンの支払いが滞った為、住宅が裁判所に差し押さえられて競売にかけられるケースが増えている。アメリカの住宅競売参加者数は、2010年には2007年の20倍にもなっており、安い投資物件だと言うので、キャッシュを持って買いに来る連中が沢山いるのである。アメリカでは駄目な所は片っ端から潰すとか、抵当流れになった物件を安値で即刻処分すると言うことを平気で行うから、アメリカは住宅産業をスピーディーに再建することができるのである


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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