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【経済本100冊】Vol.81:『「病院」がトヨタを超える日』(著:北原茂実)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、北原茂実さんの『「病院」がトヨタを超える日』です。

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基本情報

タイトル:「病院」がトヨタを超える日
著者名:北原茂実
初版発行年月:2011年1月
ページ数(大体):約190pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

医療は産業であり、普通の会社と同じようにもっと自由化するべきだと言うことを説く本。

全体の感想

僕の前職は総合病院に勤める臨床工学技士でしたが、この本を読んで、今まで病院と言う組織に対して持っていたもやもやがかなり解消された気がしました。この本では、日本の医療は輸入超過であり、また、病院に経営者的な感覚が無いと言うことが説かれていますが、全てその通りだなと思いました。これだけ自由化・効率化が進んでいる現代で、医療を産業から切り離して特別視するのは確かにおかしいですし、医療が国際化して来ている昨今では、大胆な舵取りも求められて来るのだと思います。この本の著者の考えには非常に共感しますし、感覚も似ている気がするので、そう言う意味でこの本に出会えたのは良かったなと思います。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★何もしない病院が儲かる診療報酬制度
★中高年層を金を引き出せるのは医療しかない
★日本に求められるのは経営者としての医師
★日本の医療産業は輸入超過
★日本の医療機器メーカーが海外進出できない理由
★サブプライムローンと医療崩壊は関係している
★タイはメディカルツーリズムを国策にしている
★韓国では病院に葬儀部門がある
★メディカルツーリズムは門戸さえ開けば成功すると言うものでは無い
★日本の皆保険制度は発展途上国を前提にしている
★医療崩壊問題の本質は医師不足では無くカネ不足


< 各詳細 >


★何もしない病院が儲かる診療報酬制度
・・・日本の医療は診療報酬制度の為に歪んでいる。例えば、現行制度で一番儲かる病院はどんな病院かと言うと、何もしない病院である。老朽化した建物で、職員の数も少なく、何の設備投資もしない病院が儲かるのである。何故なら、20年前の機械で検査しようと最新の機械で検査しようと、検査の名目が同じならもらえる診療報酬が同じだからである。これでは医療の質が向上する筈も無いだろう。病院も、これからは一般企業のように「顧客満足度を高めてリピーターを増やそう」と言う発想が必要である。しかし現行制度の下では医療法人は存続できないので、この制度は改革して行く必要がある。


★中高年層の金を引き出せるのは医療しかない
・・・総務省の調査(2007年)によると、日本の個人金融資産1500兆円の8割を50代以降の中高年層が押さえている。なので、もしこれから日本で内需拡大を考えるとするなら、50代以降の中高年層を狙わなければいけない。ところが概して中高年層の財布の紐は固い。投資はギャンブルだとみなして敬遠するし、新しい車や家電製品に対する購買意欲も減退している。そんな彼らの資産を引き出せるのは医療しかない。医療を自由化して産業として自立させれば、経営努力で「いい医療」が提供できるし、そこを突破口にお金の流れが出て来るだろう。


★日本に求められるのは経営者としての医師
・・・日本の医師は大きく三つのタイプに分けられる。一つは真面目で正義感が強く、我武者羅に働く猪突猛進型の医師。二つ目がゴッドハンドを目指す技術者タイプの医師。三つ目はまともに働こうとしないお役人タイプの医師。公立病院はお役人タイプが一番多い。しかし、今の日本で望まれる医師は「経営者としての医師」である。象徴的な話をするなら、日本の医療法人には「社長」がいない。医療法人を経営する人間を「社長」と呼ぶことを禁止して「理事長」と呼ぶことになっている。民間の医療法人では人件費率が売上の50%を占め、一方国立・公立は70%を占める。公立はほとんど赤字経営だが、税金による補助があるのでやって行けているのである


★日本の医療産業は輸入超過
・・・日本ではこれまで、医療を「経済の足を引っ張る存在」だと見なし、懸命な総医療費抑制政策を続けて来たが、そもそも医療産業に構造的な欠陥がある。それは、医療が圧倒的な輸入産業だと言うことである。例えば国が公共事業に多額の税金を投じる場合、そこには建設業や関連産業の振興と言う意味合いも込められる。一方医療にお金を投じても、中々国内産業は潤わない。何故なら、大体の医療機器や医薬品等は輸入超過になっており、資本が海外に流出するだけだからである。何故日本で医療機器産業が栄えないかと言うと、国民皆保険と診療報酬制度の為、モノの価格を自由に決められない上、事故発生時の訴訟リスクもあるからである


★日本の医療機器メーカーが海外進出できない理由
・・・日本の医療機器メーカーが、国内市場を見限って海外に打って出れないのにも理由がある。精密医療機器の分野では、専門技術者による定期メンテナンスが不可欠になる。つまり、世界を相手にするには、業者や技術者を雇って派遣する等、それなりの人員確保が必要なのである。国内でしっかりと利益を確保できる基盤があれば別だが、国内でさえ稼げる保証が無いのに、わざわざ巨額の投資をして海外進出するメーカーは少ないだろう。しかし、元々日本の製造業には確かな技術力があるので、医療の自由化が実現すれば、関連産業も一気に活性化し、医療産業も輸出産業として独り立ちして行けるだろう


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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