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【経済本100冊】Vol.11:『経済は地理から学べ!』(著:宮路秀作)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、宮路秀作さんの『経済は地理から学べ!』です。

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基本情報

タイトル: 経済は地理から学べ!
著者名:宮路秀作
初版発行年月:2017年2月
ページ数(大体):約270pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

地理から世界の経済を読み解いて行く本。


全体の感想


地理と言うと地味な印象がありましたが、寧ろ地理の視点で見ると世界各国の産業構造とか思惑がよく分かって、非常にいい本だなと思いました。単に経済だけでなくて、所謂地政学って奴も分かって来ます。あと民族の文化的な側面とかが産業構造とどう絡んで来ているのかも分かって来ます。図が分かりやすいのと、大事な所は太字にしてあるんで、非常にビギナーさん向けの親切設計です。著者が代ゼミ講師だけあって、専門用語を交えながらも、非常に分かりやすく解説してありました♪


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★土地も資源も無い日本が経済成長できた理由
★日本は水資源大国
★中国vsブラジル・オーストラリアの鉄鉱石資源戦争
★アルミニウムの生産量で資源大国が分かる
★オーストラリアに見る、資源を自国利用しない生き方
★人間を資源にしたシンガポールの戦略
★インドのシリコンバレーを支える時差
★地理から見た、東京に人が集まる理由
★EUに加盟しないノルウェーの実力
★人口小国を逆手にIT立国したスウェーデン


< 各詳細 >

★土地も資源も無い日本が経済成長できた理由
・・・土地も資源も無い日本が経済大国になれた要因は2つある。それは教育水準の高さと人口の多さである。江戸時代の寺子屋のお陰で、国民の識字率が50%超と高かったことが、明治以後の企業間競争(技術競争)に繋がった。そして実は日本の貿易依存度は15%と、貿易立国と言うより内需依存型の国だった為、国内需要の大きさを背景に経済成長することができた。日本を含むモンスーンアジアは人口大国が多いが、これは米の生産が深く関連していると思われる。水田は水を張った状態の為、連作障害(様々な要因で農作物が生育不良になる)が起こらない。対してヨーロッパは連作障害が起きやすい畑作が中心の為、人口支持力は高く無いのである。


★日本は水資源大国
・・・よく、日本は資源が少ないと言われるが、水資源に関して言えば資源大国である。国土全体において水道水が安全に飲める国は世界に15か国しか無く、フィンランド、スウェーデン、アイスランド、アイルランド、ドイツ、オーストリア、スイス、クロアチア、スロベニア、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、モザンビーク、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本である。対して最大級の産油国であるサウジアラビアは、年降水量59mmの砂漠気候で、砂漠の遥か下にある「帯水層」と呼ばれる地層まで掘り抜くことで、水を利用している。しかし近年、帯水層の水は枯渇しつつあり、穀物が生産できないので穀物を海外からの輸入に依存しているのである。

★中国vsブラジル・オーストラリアの鉄鉱石資源戦争
・・・中国は世界4位の国土面積を持ち、鉱山資源の埋蔵量も豊富な国である。しかし中国は、国内に豊富な鉄鉱石産出があるにも関わらず、その多くをブラジルやオーストラリアからの輸入に頼っている。その理由は、そもそも中国の鉄鉱石の鉄含有量が30%と低いからである。なので中国は膨大な鉄鉱石を採掘しなければならず、採掘コストが高いのである。逆にブラジルやオーストラリアの鉄鉱石は鉄含有量が60%と高く、採掘コストが安い。世界的には鉄鉱石余りであり、価格は下落傾向にあるが、それでもブラジル・オーストラリアは世界市場の寡占化及び中国の鉄鋼業潰しを狙って、価格下落のリスクを取ってでも増産を続けているのである。


★アルミニウムの生産量で資源大国が分かる
・・・アルミニウムは「電気の缶詰」と呼ばれる程、生産工程において大量の電気が必要である。アルミニウム1トン生産に1300軒以上(約1万3000kWh)の電力が必要となる。その為、なるべく安価な電力を必要とする。安価な電力の代表例は水力発電であり、特に国土面積の大きい国では国内の水資源量も多くなるので、水力発電が強い。また、産油国・産炭国のように国内資源が豊富に得られる国も発電コストを安価に抑えることができる。その為、世界のアルミニウムの生産量(2015年)は中国、ロシア、カナダ、アラブ首長国連邦、インド、オーストラリア、アメリカ、ノルウェーの順に多い。共通点は皆、国土面積が大きいか、産油・産炭国であることである。

★オーストラリアに見る、資源を自国利用しない生き方
・・・オーストラリアはよく先進国として扱われるが、オーストラリアの主要産業は鉱業(鉱物の採掘)と農牧業であり、意外と余り工業・製造業は発達していない。何故資源は豊富なのに工業が発展しないかと言うと、1つ目はオーストラリアの人口が2400万人と、国内市場が小さいことが挙げられる。2つ目は資源産地と大都市が離れていることが挙げられる。資源産地である鉱山は主に北部・北西部に集中しており、対してシドニーやブリスベン等の大都市は東部・南東部に集中している。そして中央部は広大な砂漠地帯である為、人が住めない。豊富な資源を自国利用するにも、陸上輸送コストが高く付く為、寧ろ海外に輸出しているのである。

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 【図:オーストラリアの砂漠  ※引用元:Wikipediaより。 著:Lencer】


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