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【経済本100冊】Vol.32:『「原因と結果」の経済学』(著:中室牧子、津川友介)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、中室牧子さん、津川友介さんの『「原因と結果」の経済学』です。

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基本情報

タイトル:「原因と結果」の経済学
著者名:中室牧子、津川友介
初版発行年月:2017年2月
ページ数(大体):約180pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい

大和の適当あらすじ

データから因果関係を分析する、統計学・計量経済学の基礎が学べる本。


全体の感想

統計学・計量経済学の基礎がじっくり学べる本と言うことで、大分学術的な感じの本です。実験データの例として経済に触れるものもありますが、医学的なものも多めで、全体としては余り経済の本と言う感じはしませんでした。でも、この本で紹介される様々な統計手法の知識は、普通に経済動向を分析した本を読む時の前提になっていたりしますので、知っておくと経済本を読む時の前提ベースの視野を広げることができます。

また、僕らはともすると、数値が連動していさえすれば「因果関係がある」と錯覚してしまいがちなので、本物の因果関係と偽物の因果関係(見せかけの相関)を見抜く為の、科学的な考え方も身に付きますので、統計を活用した詐欺まがいの広告に騙されたくない!・・・と思う人には非常にオススメの本です(^-^)

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★因果関係と相関関係は異なる
★因果推論の3つのポイント
★反事実はもっともらしい値で埋める
★ランダム化比較試験で因果関係を証明する
★医療費の自己負担割合と健康には、貧困層以外は因果関係がない
★効果を比較するマーケティング手法「A/Bテスト」
★内的妥当性と外的妥当性
★ランダム化比較試験の5つの限界
★偶然実験を行ったかのような状況「自然実験」
★新聞社の広告料割引キャンペーンに見る操作変数法


< 各詳細 >


★因果関係と相関関係は異なる
・・・「因果関係」と「相関関係」は異なる。「因果関係」は2つの事柄において、片方が原因となって、もう片方はその結果となっている関係にある場合をいう。一方、片方が変化すると、それにつられてもう片方が変化しているように見えるが、原因と結果の関係では無い場合を「相関関係」と言う。そして、ここで言う事柄のように、様々な値を取るデータのことを「変数」と呼ぶ。また、2つの変数が本当に因果関係かを明確にする為の考え方が「因果推論」である。


★因果推論の3つのポイント
・・・因果推論のポイントは大きく3つある。①全くの偶然ではないか②第三の変数は存在していないか③逆の因果関係は存在していないか・・・である。そして、①②③の内一つでもYESがあれば因果関係は成り立たない。
ちなみに第3の変数のことを専門用語で「交絡因子」と言う。これら①②③が存在しないことを証明するには、「仮に○○をしなかったらどうなっていたか」と言う「反事実」を現実と比較する必要がある。


★反事実はもっともらしい値で埋める
・・・データの因果関係を考察するには、事実と反事実を比較するしか無いが、反事実は現実に起きていないものであり、観察できないものなので、代わりにもっともらしい値で埋める必要がある。そしてこの値の前提は、事実の値と比較可能であることが前提になる。この比較可能とは、事実と反事実のグループの特徴がほぼ同じことを意味し、少しでも異なる重要な特徴があれば、前提が崩れてしまう。

★ランダム化比較試験で因果関係を証明する
・・・「ランダム化比較試験」は、2つの変数に因果関係があるか確認する為の実験の一つである。例えばネズミを用いた治験では、病気のネズミをランダムに①投薬したネズミ②投薬しなかったネズミ・・・の2つに分けて比較する。①は「介入群」と呼び、②は「対照群」と呼ぶ。ランダムに分けると言うのは、全てのネズミが①に振り分けられる確率が同じと言うことである。そして観察された結果が、統計的に偶然である確率が5%以下の状態を「統計的に有意である」と呼び、意味のある差とみなす。


★医療費の自己負担割合と健康には、貧困層以外は因果関係がない
・・・「医療費の自己負担割合」と「健康」の間に因果関係があるかに答えを出した実験に、「ランド医療保険実験」がある。アメリカのランド医療研究所が300億円もかけたランダム化比較試験であり、その結果、医療費の自己負担割合を高くすると、人々は病院を受診したり入院したりする回数を減らすことが分かった。更に、自己負担割合と健康状態に因果関係が無いことも明らかにした。寧ろ、医療費の自己負担割合の増加はコンビニ受診を防ぎ、国全体の医療費の抑制に繋がるのである。但し、低所得の貧困層の健康状態は悪化することも分かったので、貧困層に限って言えば因果関係はあると言える。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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