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【経済本100冊】Vol.35:『誰が「地球経済」を殺すのか』(著:浜矩子)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、浜矩子さんの『誰が「地球経済」を殺すのか』です。

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基本情報

タイトル:誰が「地球経済」を殺すのか
著者名:浜矩子
初版発行年月:2011年9月
ページ数(大体):約230pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい

大和の適当あらすじ

経済の用語や統計に潜む様々な勘違いやトリックを読み解く為のポイントを、名探偵風に教えてくれる本。


全体の感想

初版が10年前とやや古いですが、今日でも物凄く使える本でした。表題が若干分かりにくいですが、要するに探偵小説風に、何か経済の本質を推理する為の見方・考え方を教えてくれる本です。

全体的に教え方が上手いと言うか、本質を噛み砕いて説明してくれていて、痒い所によく手が届く感じです。また、経済の用語と言うと独特のニュアンスがあって、そこが経済素人からすると取っ付き辛く感じる所ですが、そう言った素朴な疑問の一つ一つをきちんと拾って、著者独自の見解に持って行けてる所に、エコノミストとしての力量を感じます。

単なる経済解説本に留まらずに、経済を考える為に、頭で何を手掛かりに論理的思考を働かせればいいのかと言う、考え方のロジック自体が学べる良書です♪

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★経済における「期待」にはいいも悪いも無い
★「ファンダメンタルズ」の中身は曖昧
★「ハードカレンシー」は何がハードなのか?
★「インフレ・ターゲット」は元々インフレ抑制策だった
★「○○資本主義」は最早「資本主義」ではない
★EUのインフレターゲット政策はどんぶり勘定
★「GDP>GNP国家」は他人のふんどし経済
★GDPとGNPの一致度は開国度合いの尺度
★「GNP>GDP国家」は成熟経済
★失業率が高くて物価も高い理由は原油高
★成長率が高いのに失業率が高いのはグローバル経済だから
★貿易収支赤字化と所得収支黒字化は成熟経済の証


< 各詳細 >

★経済における「期待」にはいいも悪いも無い
・・・経済用語における「期待」は、一般における「期待」の語感とは異なることに注意。一般における「期待」は、「実現して欲しいことを当てにして待つ」と言うポジティブな意味合いがあるが、経済用語の場合には、良し悪しの価値判断は含まれておらず、単に「予想」・「見込み」と言う意味合いである。その為、「期待インフレ率」も「将来それが実現しそうだと人々が広く予想しているインフレ率」のことであり、頭の中で「予想インフレ率」と言い換えた方が理解がしやすくなる。


★「ファンダメンタルズ」の中身は曖昧
・・・経済でよく「ファンダメンタルズ」と言う言葉が使われるが、その言葉の中身は曖昧である。日本語訳として「基礎的経済条件」と言う言葉が使われるが、基礎的経済条件とは、経済成長率や経常収支、雇用、金利等、いわゆる主要経済指標として取り扱われる数値を指すものだと人々に理解されている。しかし、これは別段誰かが定義したものでは無い為、二人の人が同じ「ファンダメンタルズ」と言う言葉を使っていても、その意味内容が異なる可能性があることに注意である


★「ハードカレンシー」は何がハードなのか?
・・・「ハードカレンシー」と言う経済用語も、掴み所の無い言葉である。金と交換可能な通貨と言うことで「ハード」と言うのか、人々からの信頼が「ハード=強固」だからそう言うのか、通用度が高い通貨と言うことなのか、実に曖昧である。また、似た言葉に「ハード・キャッシュ」があるが、これは「現金」を意味する言葉である。稀にこの意味と混同されることもある為、注意である。

★「インフレ・ターゲット」は元々インフレ抑制策だった
・・・「インフレ・ターゲット」と言う言葉は、かなり人口に膾炙しているが、そもそもこの言葉は、インフレがどんどん加速して行く中で、物価上昇率を一定の目標以上に上がることの無いよう、抑え込もうとする中で生まれたものである。つまり元々のニュアンスは「インフレと言う現象に照準を合わせた政策体系」と言う感じである。しかしデフレの今では、デフレ克服策としての位置付けでこのこ言葉が用いられている。そして、そもそもインフレ抑制を狙う政策とデフレ脱却を狙う政策が同じ手法でいいのか、と言う問題がある。その辺をしっかり考える為にも、こう言った言葉のニュアンスの曖昧さには注意が必要である。


★「○○資本主義」は最早「資本主義」ではない
・・・昨今、「○○資本主義」と言う言葉が沢山出て来ている。広辞苑によると、「資本主義」とは「商品生産が支配的な生産形態」となっているが、今の時代は寧ろ、金融活動が商品生産を支配してしまっている面がある。沢山のお金は持っていても、生産手段を持たない人は大勢いるのである。また本来資本主義における「労働者階級」とは、「自己の労働力以外に売るものを持たない階級」であったが、今やすっかり多様化が進んでいる。そこで資本主義の頭に○○を付ける現象が起きているのだろうが、もはやそのこと自体が、資本主義の終焉を意味している可能性がある。なのでネーミングよりもその背景に想いを馳せた方が本質を捉えやすい。

★EUのインフレターゲット政策はどんぶり勘定
・・・EUは欧州中央銀行がインフレ・ターゲット的な金融政策を行っており、ユーロ圏全体におけるインフレ率を2%以下に抑える、と言う政策目標を持っている。しかし、そもそもこのインフレ率の設定の仕方が問題である。何故なら2%と言う数字は、単にユーロ圏に所属している17ヵ国のインフレ率の平均値の目標を表しているだけだから。一方に20%と言う超インフレの国があり、他方にマイナス18%と言う超デフレの国があっても、どんぶり勘定的インフレ率は1%である。平均値さえ目標圏内に収まっていれば、個別事情はどうでもいいのかと言う問題があるのである


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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