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【経済本100冊】Vol.36:『銀行ゼロ時代』(著:高橋克英)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、高橋克英さんの『銀行ゼロ時代』です。

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基本情報

タイトル:銀行ゼロ時代
著者名:高橋克英
初版発行年月:2019年9月
ページ数(大体):約200pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

銀行で働いたこともある高橋克英さんが、銀行が現在陥っている苦境の分析とデジタル化の流れについて、具体例を一つ一つ出しながら教えてくれる本。


全体の感想

大まかな主張は、上念司さんの『もう銀行はいらない』と同じで、要するにデジタル化の流れが進んでいる中で、銀行の様々な業務及び仕事の姿勢が最早時代遅れになって来ていることへの痛烈な批判です。また、大手は自ら金融業のAI化・アプリ化に取り組んではいても、それ自体が既存事業への侵食そのものであって、共食いであることは否めないと指摘しています。

そもそもメインビジネスである貸出業に旨味が無くなった今、銀行の仕事にどう付加価値を付けて行くかと言うのは確かに大変なことだと思います。銀行と言うと安定したイメージから、大卒の人の就職先としてメインバンクは人気があったりしますが、それも永遠に安定では無いんだなと言う諸行無常をこの本によって感じさせられました。

一応著者は色々生き残り策を提示してくれていますが、それすら最早銀行業自体の否定でしか無い所に、皮肉な時代の流れを感じますね。。。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★銀行ゼロ時代到来の流れ
★日本はクレカで見ればキャッシュレス先進国
★給与の電子マネー払いによる銀行外し
★銀行の送金業務独占が崩れる
★AIレンディングの拡大
★銀行都合の平日休業・昼休み制導入
★銀行がゼロになっても、信金・JAバンク・ゆうちょ銀行は生き残る
★銀行は好待遇でデジタル人材を確保すべし
★人材紹介業を活用して、銀行員を中小企業に供給すべし
★銀行ゼロ時代の銀行員の3つの生き残り策


< 各詳細 >

★銀行ゼロ時代到来の流れ
・・・現在、銀行業の根幹が、①人口減少、②低金利、③デジタル化・・・と言う3重苦で激しく揺らいでいる。①は市場そのものの縮小を意味し、②は本業の貸出ビジネスの収益の低下を意味する。それにGAFAをはじめとするデジタル・プラットフォーマーやスマホアプリ等のAI化がトドメを刺す。LINE銀行の誕生がその象徴である。今後、スマホアプリとコンビニATMで銀行取引が完結するようになって行くことは必至で、店舗としての銀行は減って行き、ネットに移行しても、スピード感のあるデジタル・プラットフォーマーと熾烈な競争をしなければならないので、最悪銀行が全滅する「銀行ゼロ時代」が到来する恐れが大いに有り得るのである。


★日本はクレカで見ればキャッシュレス先進国
・・・経産省のデータによると、日本のキャッシュレス比率は18%とキャッシュレス後進国であるので、政府はQRコード決済とインバウンド需要で、それを40%に高める目標を掲げている。一方、総合研究開発機構によるデータでは、口座引き落としを含む日本のキャッシュレス決済比率は52%と言う。なので既に日本はキャッシュレス先進国とも言える。既にこれだけ普及しているクレカが電子マネーに取って代わることは無いだろう。今後は高額の買い物はクレカ、公共料金は口座振替、コンビニでは現金や電子マネーと言った形で使い分けて行くのでは無いだろうか。


★給与の電子マネー払いによる銀行外し
・・・現在、政府は電子マネーでの給与支払いを解禁する方針を固めている(2019年時点)。それまでの労働基準法では、賃金は現金支払いと定められ、省令で銀行口座または証券口座での支払いも認められていた。それが、給与の電子マネー払いが実現すれば、スマホアプリで電子マネーを受け取り、即座にスマホ決済できるようになる。まさに銀行口座の中抜きとなる銀行外しが始まることになる。そこで、こうした規制緩和の動きに対抗する為に、銀行はスマホ決済と銀行決済の紐付けに躍起になっており、「銀行Pay」「バンクPay」「JコインPay」等の防衛策が取られている所である。


★銀行の送金業務独占が崩れる
・・・かつて送金業務は銀行が独占して来たが、2010年施行の資金決済法により、少額の送金(1回当り上限100万円)を資金移動業者に解禁した。スマホ決済での送金もこの範疇になり、個人利用が中心である。政府は更に、100万を超す送金を認める新たな業態も規制緩和の対象として検討しており、実現すれば、商品仕入れや企業間の決済・送金業務にもスマホ決済の活用が広がるだろう。そうなるとスマホ決済業者等は振込や送金手数料引き下げでシェアを奪いに来ると考えられ、銀行もそれに巻き込まれるだろう。

★AIレンディングの拡大
・・・銀行員による対面での貸出業務が苦戦する中、AIレンディング(オンライン融資)が広がって来ている。AIレンディングとは、企業や個人の財務・信用に関する情報をAIが分析し、貸出金利や期間等の融資条件を設定するものである。まだ発展途上ではあるものの、対面での貸出に比べ、提出書類が少なくて済み、審査スピードも早く、スマホで完結できる。この動きに対抗して、みずほFGや三菱UFJ銀行もAIレンディングを始めている。しかし既存の銀行によるAIレンディングは、銀行自身が、既存の貸出業務の領域を侵食すると言う、銀行のカニバリゼーション(共食い)にもなっている


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