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【経済本100冊】Vol.63:『やさしい行動経済学』(著:依田高典、服部泰宏、近藤隆雄、山田昌弘等)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、依田高典、服部泰宏、近藤隆雄、山田昌弘さん等の『やさしい行動経済学』です。

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基本情報

タイトル:やさしい行動経済学
著者名:依田高典、服部泰宏、近藤隆雄、山田昌弘等
初版発行年月:2017年12月
ページ数(大体):約250pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

人間らしい心を考慮した経済学とは何かを解説・問題提起してくれる本。

全体の感想

一応タイトルが「行動経済学」何ですが、余り戦略的な行動経済学の話と言うよりは、社会的に人間がどうあるべきかと言う話が大半なので、タイトルは「倫理経済学」とか「社会経済学」の方が適切では無いかと思われます。「行動経済学」だと誤解を生じさせると思うんですが、日本経済新聞社が編集した本で、日経新聞は割とタイトルでミスリードさせると言うことをちょこちょこやっているように感じますね。恐らく「行動経済学」の方が一般に耳慣れていて反応がいいと思ったのでしょう。

著者は複数の様々な大学教授で、ここではピックアップした分の著者だけ基本情報に書きました。全体的にまとまりや一貫したテーマ性が薄く、「経済学は人間の心も考慮するべきだ」と言う主張はもっとも何ですが、どれも言いっぱなしで具体的な対案に欠けていて、ふわっとしているのがもやっとポイントです。

とは言え、心や社会の在り方を扱う経済学の入門書としては大変平易で読みやすいもので、恐らく各著者がきちんとした一冊の本を出したらかなり小難しいものになっていただろうものを、ダイジェスト版として軽くサクッと読める本として考えれば、これはこれで大変便利な本何じゃないかなと思います。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★家族やマイホームが期待できない希望格差社会
★モノよりも繋がりを感じられるような幸福を
★モノ・イノベーションとサービス・イノベーション
★「おもてなし」はサービス・イノベーションには含まれない
★異動はキャリアの節目
★人間を合理的な存在と見なす「ホモエコノミカス」
★アダムスミス問題に見る人間像
★予測できない事象における人間の極端な反応
★現在性バイアス+確実性バイアス=現状維持バイアス
★小さな誘導「ナッジ」で社会はより良くできる

< 各詳細 >

★家族やマイホームが期待できない希望格差社会
・・・1992年にバブル経済が崩壊し、日本は長期的な経済停滞に見舞われた。21世紀に入ると、非正規雇用化の波は若者を直撃し、不安定雇用者が増えた。高度成長期には、狭いアパートで家電製品も無い中で結婚生活を始めても、将来収入が増えてマイホームや自家用車を持つと言う生活が期待できた。しかし、経済停滞や非正規雇用化の流れにより、そうした「豊かな家族生活」と言う幸福の物語さえも、将来実現不可能な若者が増えた。この格差について、家族社会学者の山田昌弘氏は「希望格差社会」と言う言葉を作った。若者にとって結婚と言うのは経済的な重石であり、その為に親元に留まって結婚を先送りをする選択が為されているのである


★モノよりも繋がりを感じられるような幸福を
・・・近代社会の幸福のシステムは、経済成長を前提としていた。幸福を約束する商品を買い続ける為には収入の増加が不可欠であり、そして、その商品によって人から評価されると言う社会的承認を得て、幸福を感じていたのである。よく考えれば、人々が本当に求めているのは商品そのものでは無く、社会的承認である。そうであれば、商品を介在させずに、直接、社会的承認を手に入れた方が幸福を感じることができる。仕事にしても何等かのコミュニティにしても、人が繋がりを確認し、お互いを承認し合う。そのようなシステムが広がれば、経済的豊かさとは別次元で幸福を実感することができるだろう。


★モノ・イノベーションとサービス・イノベーション
・・・イノベーションにはモノ製品とサービスのイノベーションがある。「モノ・イノベーション」はモノ製品の構造や構成する部品・原材料を革新することで、それまでにない新しい機能を発揮する現象を指し、「プロダクト・イノベーション」とも呼ばれる。一方、「サービス・イノベーション」は全く異なった活動である。サービスは、それを利用する人にとって、何か役に立つ活動や機能を意味する。電車や教育・金融・飲食等がそうで、サービスを受けることで、自らの状況を変換して望ましい価値を生むので、サービスは価値生産活動である。サービス・イノベーションとは、価値生産活動を提供する新しいサービスの仕組みを考え出すことである


★「おもてなし」はサービス・イノベーションには含まれない
・・・イノベーションの内、モノ製品のイノベーションはどちらかと言うと客観的な技術に影響されるが、一方、サービスのイノベーションは心の動きを組み込んだものが多くある。しかし、最近話題の「おもてなし」が普遍的なサービス・イノベーションの類型になるかと言えば、大いに疑問が残る。と言うのは、「おもてなし」があると言われる日本の老舗旅館や料亭等を分析すると、高度に日本的な背景の中でサービスが提供されている。つまり、お茶の作法みたいに提供者とお客の行為がパターン化され、それを相互に理解することで成立している。また、そうした関係は提供者が一方的に提供するものであり、そのルールを客が理解して吟味・鑑賞すると言うものである。

★異動はキャリアの節目
・・・会社の組織内の異動は、従業員にはストレスになるが、他方で自分と会社との関係を見つめ直し、自らが果たすべき義務を再確認する良い意味でのキャリアの転機なのである。神戸大の金井壽宏教授はこれを「キャリアの節目」と指摘した。会社との心理的契約は、キャリアの節目によって修正・維持されるのである。かつて多くの日本企業が採用していた年功昇進や定期異動等も、キャリアの節目を定期的に創出する機能を果たしたと評価できそうである。90年代以降の成果主義の導入や職種別採用等は、キャリアの節目を減少させ、それが、「自分は会社に一定の義務を負っている」と言う従業員の意識を薄れさせることに繋がったので無いか


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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