本が好き。
無職になった時、何にもしたくないけれど、何かしないと押しつぶされそうで到底生きていけそうにない
誰か、何をすればいいのか教えてください、そんな気分になった。
私はいったいここからどうやって立ち直ればいいのか。考えることさえパワーを使うほど、弱りきっていても、自分のことは自分で考えなきゃいけなくて。
誰も導いてくれない。誰も助けてくれない。
そんな絶望は高校生の時に思い知ってた。
みんなにとって当たり前に過ぎる1日が、私にとっては3日に感じるほど、時間の流れをゆっくりに感じていた。
そんな時、どこかで読んだ言葉を思い出して、本を読んだ。
「どこにも居場所がない時は、ただひたすらに本を読みなさい。」
初めは全く集中力が続かなかった。
だんだん昔の自分を思い出した。
そういえば私は小学生の頃、物語を読むのが大好きだった。
塾では国語が得意で、成績上位にランクインして人生で唯一の賞状をもらったことがあった。
家では話しかけられているのに気づかないほど、のめり込んで読んでいた。
中高生になると本が好き、と言いにくくなった。
図書室は暗くて近寄らなかった。
大学生なんてもってのほかで、真面目と思われたくなくて、本なんて読めないと言っていた。
でも今は、胸を張って本が好き、と言いたい。
本を読むという一つの行為をすることで、自分は安心できた。
誰にも理解されない自分の苦しみを消化してくれた。
自分の中で燻っていた感情を言葉で表現してくれていた。
何をすればいいか教えてくれた。
自分の知らない感情を知った。
なんでこんな苦しみが存在するのか、少しは理解できた。納得できるような考え方を教わった。
明日を気にせず、分厚い本一冊読み切ることに幸福を感じられるようになっていた。
そして今では夢がある。
将来は自分の部屋にお気に入りの本が詰まった本棚を置きたい。
背が高い本棚ではなくて、背が低くて横に広い本棚。
子どもが生まれた時、本に触れることができるように。
苦しい時、そっと手を差し伸ばしてくれるような存在となるように。
本があってよかった。
誰かにこれ読んでみて、とおすすめしたい。
胸を張って本が好き、と言える今の自分を少しだけ好きになれた。
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