学校の青空 角田光代
子供の頃に異性に恋をしても好きってだけで前に進まない。
何をすればいいのか分からないし、
性的衝動の前に精神的に好意と言うものが来るのだ。
角田光代は怖い。鋭い。
文章が重たい。しかし決して足を取られるような徒労は無く、さらっと読めてしまう。
作家性とはこういうところなのだろう。
本作は小学生~高校生の主人公たちを追いかける4篇かな。
子供の頃はみんなあったはずだから追体験をしやすいだろう。
思い出すことは沢山ある。
いじめをテーマにした一篇がとてつもなく良い。
動物性なのか社会性なのか
人は集まるといじめが起こるのだ。ヒエラルキー別になり
加害衝動を抑えられなくなる。
不快ながらも分かるなぁ。と思ってしまう。
精神性が育ってないからこそ、残酷なことに躊躇がなかったり
気持ちのエスカレートや空気感で回りまで巻き込んでしまう。
良い悪いではなく子供たちはあらゆる状況を経験して考えて大人になっていく。
人を好きになる様に溢れる苛立ちや焦りなども思春期のあの頃を思い出す。
しかし、だ。大人を食ってしまう事も多々あるのだ。
私は小学校6年生の時に担任が3回変わっている。
完全なる学級崩壊を起こしていた。
若い女の先生は学校に来なくなり、次の若いはつらつとした男の先生も2ヶ月くらいで副担任になり最終的にバチ糞怖いおじさん学年主任クラスが誕生した。
生徒たちは単独とおもいきや小学生の頃って精神が未熟ゆえにひとつの個になろうとする空気感てなかった?
うまく例えられないが、あの時はクラスが一致団結して先生を追いやった。
そういう『空気』だったのだ。
本著では俺の体験した絵に描いたような学級崩壊ではなく
今の時代のある一種、学級崩壊と言えなくもない。くらいの話。
この話はすごい。今の時代感を感じる。
しかし決して想像がつかない世界にならないのは
僕たちが過ごしたあの時の気持ちの現れ方が違うだけなのだ。
そして思春期最終章。
高校生。いやーーーーーーーーわかる。
なんであの時はセックスの経験の有無や人数で騒いではいたが、
違うんだよね。
他者への好意が体の性的衝動と自己嫌悪を超えた瞬間『なんてくだらないんだろう。』
と思うあの時期。海ばかり行っていたあの時。
友達と競い合いながら、嫉妬したり、要らないと思いながら、でも全てを受け入れて仲良くできるほど大人でもなくて
でも確実に私たちは仲間だ。という感じ。
でも出来るなら自分が一番に出し抜きたいのだ。
振り返るとめっちゃ眩しく輝くが決して俺は戻りたくはない。
苦しかった。精神的に同期の言語化もできなかったし。
きっと今を生きている子たちも溺れないように必死に泳いでいるのだろう。
思ったより死ぬことが近い。しかしながら死ぬほどの事なんて起こらない。
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