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左利きのエレンとロンドン屈指のコマーシャルギャラリー

引き続き左利きのエレンにハマりつつ、思い出したことを。

大学のアートクラスで「Hauser & Wirth」というギャラリーを見学したとき。

Hauser & Wirthは、先生曰くWhiteCubeと並んでロンドンでは大成功している2大コマーシャルギャラリーらしい。

ちなみに、アートの闇の部分というのか。

実は海外からのマネーロンダリングやタックスヘイブンが行われているらしい云々と、ごにょごにょと教えてくれたのだが、この私なので詳細は聞き取れなかった。

偉そうにもう一度言う。英語が聞き取れなかったので都市伝説程度にとどめて欲しい。

アート初心者、インスタレーションに必死

リージェントストリートを一本入ったロンドンのど真ん中にあるHauser & Wirth。

オフィスのような雰囲気でとてつもなく入りづらく、授業がなければ一生足を踏み入れることはなかったと思う。

見学したのは、Marcel Broodthaers の Un Jardin d’Hiver (A Winter Garden) という作品。

インスタレーションという、空間全体が作品である現代アート。

さて、その空間に何があったのか?

・観葉植物のパームツリー
・標本のような図鑑のような動物の絵
・ケースに入ったアンティーク小物
・パイプ椅子
・監視カメラとその映像を写すテレビ

何を言っているのだ?

と思った方。こちらをご覧ください。

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複雑怪奇さこそが楽しさなのか

資料を読み、先生の解説を聞き、たどり着いた私なりの解釈。

この作品「Un Jardin d’Hiver」のメッセージとは博物館・美術館への批判

南国の観葉植物パームツリーは古くは上流階級の邸宅に飾られるような権力の象徴だったが、今では飲食店にも置かれるような存在になってしまった。

標本のような絵(ラクダやゾウなどの動物が多かった)やアンティークは、ヨーロッパから見たエキゾチックなもの。

植民地支配し世界各地から珍しいと思うものを集めてきては、自分たちの価値観でカテゴライズして展示する博物館。

監視カメラやパイプ椅子(監視員が座る用?)は、美術館のアートな空間に水を差している。

そして、この作品においては、

エキゾチック(物珍しさ)=コンセプチュアルアート

前衛的であったコンセプチュアルアートも、次第に美術館が勝手な価値観で展示するようになってしまい、パームツリーのように価値が失われてしまうよ。という問題提起。

そういう理解に行き着いた。

脱出ゲーム・・・?!

と思うほどの難解さ。

これでも一応、納得の境地に至ったので、現代アートのなかでは見やすい方なのだろうか。

ちなみに、この回の授業のテーマは「現代アートから感じ取ること&読み解き」という感じ。

先生のオススメ鑑賞法。

・事前情報なしで見たときの第一印象を大切に
・意図を読み取ろうとしてみる(出来る範囲&自己解釈で終わらせない)
・作者の意図を読み込んで改めて鑑賞

現代アートが苦手という人の意見も分かるし、意味不明さが理解できた時のすっきり感(まさに脱出ゲーム!)も実感できた、そんな授業であった。

誰も見ちゃいない!

なぜ左利きのエレンで、この授業を思い出したのか。

「誰も絵なんか見ちゃいない!」

というシーンである。

「Un Jardin d’Hiver」の空間には監視カメラがあり、映像がテレビに映し出されていると書いた。

最後に先生が「自分もカメラの映像に映っていたでしょ?あなた達もインスタレーションの一部だよ。」と言ったのだ。

深読みかもしれないが、美術館への批判、ひいてはアートの見識なく訳も分からず見ている、私のような愚民への批判なのでは?!

奥深き、現代アートの世界。

ギャラリーを出て時間があったので、Savaile Rowという高級オーダーメイド紳士服のお店が並ぶ通り(皇族や政治家はみんなここでスーツを作るらしい。ステラマッカートニーも修行をしたのだとか。)を歩き、

Lucio Fontanaを覗き見し、金額を聞いて震え、解散となった。

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