見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<210> ホンダワラとは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


ホンダワラとは

 褐藻類ホンダワラ科の海藻。アカモクやノコギリモク、イソモク、マメダワラ、ウミトラノオなどのこと。種子で繁殖する海草とは異なり、胞子によって繁殖する。波が穏やかで太陽光が届く浅い沿岸海域で育つ。

 ホンダワラの形態は、海藻の中では最も複雑と言える。付着器や茎、主枝、葉、気胞などに分化。海底から海面に向かってまっすぐに生え、3メートル以上に成長するものもある。日本では三陸沿岸を除く本州、四国北部、九州北部を中心に生息している。

 ホンダワラの気胞には、浮袋としての役割があるため、海水中で浮力を得て移動することもある。これはいわゆる「流れ藻」で、魚類の産卵場や隠れ家としても利用されている。また、サラダや酢の物、白あえ、お吸い物の具材など食用としても利用されるが、うま味成分は少なく、その一方で、海藻特有の香りが強いという特徴がある。ヒジキもホンダワラに分類されている。

 光合成をする過程で海中に固定化される炭素「ブルーカーボン」を吸収・蓄積することから、「ブルーカーボン生態系」の一つとして分類される。成長速度が速く藻場造成の成果を得られやすいため、近年では、ブルーカーボンを算定・数値化して取引・売買する「ブルーカーボンクレジット制度」での注目度も高まっている

みなと新聞本紙2024年6月25日付の記事を掲載