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【無料】基礎から分かる水産用語<69> アメリカオオアカイカとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

アメリカオオアカイカとは 

 米国のカリフォルニア沖から南米のチリ沖に分布するアカイカ科の大型イカ。アメアカや南米アカイカなどと呼ばれる。主にフライ製品や冷凍のロールイカ、寿司種に使われる。本体(胴)や耳、ゲソの部位のうち、全国いか加工業協同組合(全いか)は「安価で使いやすい耳の需要が多い。塩辛などに用いられる」と説明する。

 魚体が1キロ以下の小さな個体は同種独特の酸味が比較的薄く、唐揚げや焼き物の原料として使いやすい。近年は国産スルメイカ水揚量が不足する中、代替の加工原料として注目が高まる。

 主にペルーやチリ、中国などが漁獲する。国連食糧農業機関(FAO)によると、2020年の漁獲量は前年比4%減の87万7351トンだった。うち、ペルーが7%減の49万2362トン、中国が3%増の31万5000トン。チリは5%減の5万5006トンとなった。

 水産庁と水産研究・教育機構によると、日本のイカ釣漁船は1989年ころから操業を始めた。また、全いかによると、1993年の国連決議で公海での流網漁が禁止になると「流網漁で太平洋ムラサキイカを漁獲できない中、アメアカで不足分を補った」。

 だが、2012年以降はペルーの排他的経済水域(EEZ)内での操業許可が下りず、日本船の操業はなくなった。

みなと新聞本紙2022年11月22日付の記事を掲載