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【無料】基礎から分かる水産用語<146> 海洋プラスチックごみとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


海洋プラスチックごみとは

 海に流出する廃プラスチック類のこと。海洋生物による誤食や魚体への付着など海洋生態系に悪影響を与える。主な発生源は陸域とされるが、漁業で使用するプラスチック製漁網など海域で発生するごみも一定数ある。また、近年長さ5ミリを下回るプラスチック片「マイクロプラスチック」は魚介類を通じた食物連鎖で人体への害が懸念されている。

 環境省によると、世界の海洋プラスチックごみ流出量は2010年推計値で年間478万~1275万トンで、うち日本は2万~6万トン。1位の中国は132万~353万トンと全体の28%を占めており、その他東南アジアからの流出が多いとされる。

 ごみは海洋生物への影響だけでなく、漁獲物への混入や漁船のスクリューへの絡まりによる航行の支障など漁業においても被害をもたらす。対策として海洋漂流物の発生を抑制する「海岸漂着物処理推進法」に基づく基本方針の改正案には、漁業者の協力を得ながらごみの回収を進めることが盛り込まれた。

 海上で発生したごみは、海洋汚染防止法などで海洋投棄が禁止されており、すべて陸上に持ち帰り地方公共団体が指定する方法で処理する。また耐用年数を超えた発泡スチロール製フロートの防舷材としての使用防止など、プラ製漁具の適切な使用が求められている。

みなと新聞本紙2023年9月12日付の記事を掲載