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【無料】基礎から分かる水産用語<213> 漁村とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


漁村とは

 主に漁業で生計を立てている村のこと。うち、漁港の背後に位置する人口5000人以下かつ漁家が2戸以上ある集落のことを漁港背後集落と呼ぶ。水産庁によると、多くの漁村や同集落は半島地域や離島に立地している。このため、漁業活動には有利だが自然災害に対しては脆弱(ぜいじゃく)とされる。

 漁村や集落は漁業活動を行い、水産物を提供する以外にもさまざまな役割を持つ。オニヒトデといった食害生物を駆除しサンゴ礁など海洋生態系を保全する活動、地元で漁獲する水産物を使った伝統料理の創作など地域文化の形成と維持、潮干狩りや乗船体験など人々が交流する場の提供、漂流者の救助などの役割を担っている。

 しかし近年、漁港背後集落では集落数や人口の減少が進んでいる。水産庁の調査によると、2023年の集落数は4384集落で、22年の4402集落に比べて18集落が減少。23年の集落人口は189万人で、10年前の13年と比べると17万人減っている。高齢化率も年々増しており、23年は全人口の約4割を65歳以上が占めている。

 こうした中、経済活性化に向けて漁港用地を活用した陸上養殖、地元水産物の直売や漁業体験の開催による観光客の誘致、宿泊施設の整備などに取り組む漁村や集落がある。

みなと新聞本紙2024年7月16日付の記事を掲載