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【無料】基礎から分かる水産用語<181> フィレオフィッシュとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


フィレオフィッシュとは

 マクドナルドが販売する魚肉バーガー。1960年代、宗教上の理由から金曜日に肉を食べない米国の特定地域の店がヒラメ類で試作しタイセイヨウダラで商品化した。

 日本マクドナルドでは94年までマダラを使っていたが現在はスケソウダラ。2019年のリニューアルを機に、全店で海洋管理協議会(MSC)の加工流通段階(CoC)認証付き同魚種を使用している。産地は米ベーリング海などで、加工はHACCP対応のタイ国などの工場。国によりマダラやホキも使う。19年の刷新では生産工程での凍結を2回から1回に減らし魚の味を強め、電力消費量も削減した。通常のハンバーガーとは異なる四角形も、ブロック状の原材料を生かすフードロス対策の意味を持つ。

 世界最大のハンバーガーチェーンである同社はサプライチェーン全体への影響力が大きい。現ニッスイの日東捕鯨は商業捕鯨モラトリアム下で生き残りを図り、同商品用のタラを獲る水産加工会社に転換して経営を安定させた。

 一方、近年はウクライナ侵攻を受けたロシアの850店舗閉鎖が、欧州など42カ国の同店へ白身魚フライを供給するエスペルザ社へ影響するのではないかと懸念された。

 グローバルに原材料を調達する同社が世界経済から受ける影響も大。国内ではコスト増や円安を受け、24年1月24日に同商品を30円値上げした。

みなと新聞本紙2024年1月30日付の記事を掲載