【連載小説】はつこひ 第十三話
顔を上げると、飯村さんは両目から涙を流していた。
「……私のために泣いてくれるの?」
彼の頬に触れて涙を拭う。
彼の左手を取り、私の頬に添えると、私の涙も彼に捧げた。
「私たち、同じね」
「……同、じ……」
「クリスマス・イブに一緒に見た映画を覚えてる? 私、メアリーの気持ちがやっとわかった気がするの。メアリーはエイデンに愛されたかったけれど、それだけじゃなかったの。メアリーは誰よりも、エイデンのことを純粋に愛していたのよ。当たり前のことなのに、私、ちゃんと分かって