【歌舞伎鳩】鳴神ほか(前進座歌舞伎公演 / 東京建物Brillia HALL)【感想】
鳴神が見てみたかったので、行ってきました。劇場に行くと配布されるチラシの、あの冊子のような束の中で見かけて行ってきたわけですが、結構色々なところで歌舞伎って公演をしているんだな〜。歌舞伎を見たことがなかった時は全然知らなかった。やはり己の中で何かの解像度を上げることは、世界を広げることでありますね。
👒は鳩的好きな演目
雪祭五人三番叟
三番叟のめでたい踊りの中で、ラストに雪が降るのが良かった。三階席から見ていたんですが、だんだん降り積もっていく雪に、踊る人たちの軌跡が描かれていく。紙吹雪の動きまで美しく制御されているようでした。
👒歌舞伎十八番の内 鳴神
ざっくりとしたあらすじ:
帝が約束を違えた、ということを恨み、鳴神上人(嵐芳三郎)が竜神を滝壺に封印してしまった。そのため国中が日照りに苦しんでいる。
そんな中、上人の庵に、一人の美女が現れる。亡き夫の衣を濯ぎたいために、庵にある滝の水を求めてきたという。女は道中の様子を、足もあらわに話しだし、その様子に上人も思わず気が惹かれてしまう。
その後、出家したいという女の用意をするため、弟子を使いに出し、上人と女は庵に二人きりに。具合が悪いと訴える女を介抱する中で、上人は女の胸に触れてしまい……。
上人のもとを尋ねてきたこの女は、実は日照りを解消するために、上人の行力を破らんと送り込まれてきた宮廷一の美女・雲の絶間姫(河原崎國太郎)なのであった。
きちんとしたあらすじはこちら。
鳴神上人……おばか……そんな簡単に女の色香にまどっちゃあだめでしょうよ美人ですけれどね……。上人がなかなかピュアというか世間知らずというかなんというかという感じで、簡単に騙されるので見ていて面白くて仕方なかった。まあでもここが表裏一体な部分であって、これほどまでに純粋であるからこそ、約束を反故にされたことを恨んで旱魃まで引き起こしているのでしょう。
上人が、雲の絶間姫の着物の襟からどこまでも手を差し入れるので、もう見ているこっちが……!目を逸らしたくなるというか……!雲の絶間姫の方もあまりに色っぽく、見てはいけないものを見ている感じがすごかった(楽しかったです)。歌舞伎ってたまにこういうことをどこまでもやるのでびっくりしますね……。
またここから、謀られたと知った上人が怒りの中で荒れ狂う場面は、それまでの雰囲気とぴしゃりと変わって、圧倒されるような迫力で迫ってくるのが良かったです。
ともかく鳴神上人もお弟子さんたちも、雲の絶間姫も、それぞれ良いキャラクターで大変面白かった。この場面では難しい話はなく、厳格な僧侶が色香に惑う様子なんかが面白おかしく演じられていて、とても笑わせていただきました。楽しい演目は大好き。
公演概要
前進座 歌舞伎公演
2024年5月11日(土)~20日(月)
雪祭五人三番叟・口上・歌舞伎十八番の内 鳴神
東京建物Brillia HALL
一部で悪名高いブリリアホールに初めて入りました(3階)。これは〜……確かに……手すりが邪魔かも〜…………。ちょうど良い感じに邪魔な部分に手すりがありますね……。見えないことはないのですがこう……視界にどうしても入って気になるというか……。これでも改修されて良くなったという情報も小耳に挟みましたが……。観劇という体験に、初手からマイナスな印象を与えてくるので、興行に対して勿体無い感じがあります。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?