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暗くなった心の奥を照らしてくれた、スペイン・セビリア

スペインに行く。

大好きだった彼と別れてから、毎日死んだような気持ちになっていた。将来を考えていた人だったから、彼も彼の家族も、自分の将来像も無くしてしまって、どこに向かっていいかわからない時だった。毎日気がつくと涙が出てくる、そんな日々が1ヶ月ほどたった時、

「自分のためだけにできることをしよう」

「今までやってみたかったけど、怖かったことって何?」

そう自分に問いかけた時、ふと浮かんだのは、一人旅だった。

私は観光学部だったのに、一人旅をしたことがなかった。(周りは夏休みに一人でバルト3国に行ったり南米一周とかしちゃうような人たちばかりだったのに)

直感で、「スペインだ」と思った。

彼の母国語がスペイン語だったのもあり、ショック療法だ、と思った。笑

生活の中で彼にまつわるあらゆることに反応して涙を流していたから、スペインへ行って、スペイン語まみれになったら何か吹っ切れるだろうと。

大学の時からスペイン語を勉強していて、自分のスペイン語がどれだけ伝わるのかも、試してみたかった。

思い立ち、夏休みを取り、セビリアへ。

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ぴかぴかの青空の中、私は不安でどんよりしていた。

ひとりぼっちでいると、たとえご飯が美味しくても景色が美しくても、誰と共有すれば良いのだろう。

気がつくと彼を思い出し、涙がにじむ。

「こんな遠いところまで来てまだ泣いちゃうのか、私は」

そんな自分に呆れながらも、涙は止まらなかった。

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でも、美しすぎるこの町と、一人で歩いていると気軽に声をかけてくれる明るい町の人たちのおかげで、私の心のどんより感は次第に晴れていった。

気がつけば、心からこの町を綺麗だ、と思えるようになっていた。

道の途中であった人たちとご飯へ行ったり、ホステルでできた各国の友達と観光したり。

彼のことを考えずに心からこの町を楽しめている自分がいて、そんな自分が、嬉しかった。 


スペイン広場では、キラキラひかるタイルに包まれた荘厳な建物と、道端でスペインギターを奏で、フラメンコを踊る人々。

スペインの太陽のようにギラギラとした真剣で人間らしいダンスに、私の胸もぐっと熱くなる。  

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息を飲むほど細やかなイスラム模様が至るところに施されている、アルカサル。まるで違う星に来たかのような気分になった。

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お昼を食べて道を歩いていた時、ふと目に入ったレストランで仲良くなった、ラピュタのドーラみたいに笑う元気な女店主さん。

セビリアの夕日を見たいと話すと、

「夕日を見て夜になったらまたおいで。待ってるからね」

そんな風に気軽に言ってくれる人がこの町に出来て、嬉しかった。

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夕方。

待っていたセビリアの夕日。すごく美しくて、涙が出た。

もう悲しい涙ではない。

行きたいと思っていた場所に一人で行けた、一人で電車に乗れた、スペイン語が通じた、新しい土地で新しい人と仲良くなった、またおいで、待ってるからねと言ってくれる人が出来た。

この旅で起きた小さな一つ一つの出来事が、私を少しずつ強くさせてくれていた。

もう大丈夫、と思った。

悲しくなったらまた泣けば良い、スペインで出会った人たちのように、心に従って生きる。

いつだって私は私のそばにいるから。新しい場所で新しい人に会えるから。


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今はまだ再び行くことは出来ないけれど、この旅で感じた気持ちは今も覚えている。

次はまたあのお店でご飯を食べて、旅で起こったことをたくさん話したい。

また行くからね。待っててね。


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