山本太郎に「あなたを許さない」と直接言う(予定だった)
最近、山本太郎が街頭演説に来ていた。
僕は山本太郎が許せなかった。
語るまでもない。「ベクレてる」の一件以来だ。
福島の風評被害の一端となったことには疑念の余地がない。
震災の被災者を足蹴にするような行為。
許せない。
何をのうのうと喋りに来ているのか。
その日の晩酌の日本酒を買った帰りだったが、瓶を片手に、ひとまず近くに立っていたれいわ新選組のスタッフに聞いてみる。
「あの人は福島に対して暴言を吐いてたわけですが、党としてはそれが公式見解なのですか?」と。
すると、そのスタッフは答えた。
「もう、謝ってる」と。
……え?マジで?
とりあえず「山本太郎 福島」でYouTube検索してくれ、と言われた。
してみる。
「ああ、この動画ですよ」とスタッフは言う。
僕は尋ねる。
「……福島の件で怒ってる人、アンチ呼ばわりしてるんですか?」
「あ、いえ、それは第三者がアップロードした動画でダイジェストですね。公式版はこちらです」
……なるほど?
なるほど。
「……でも40分の動画見ないといけないのはおかしいでしょう、そんなもの支持者しか見ないんですから。僕らの目につくところに無いと……」
「あ、それ本人に言ってください、後で話せるんで」
……
ということで。
本人に直接言うことにした。
演説が終わったタイミングで声をかける。
「2, 3分だけください、聞きたいことあるんで」
写真撮影会の後ならOK、ということになったので待つことにした。
その間に色々調べてみると……見つけた。
私が、「逃げてくれ」って皆んなに言った。逃げてくれっつったって、どこに逃げるんだよって話です。今まで生活してきたところでどうやって逃げろっていうの? 新しい環境用意してくれるの? 新しい仕事でも準備してくれるのか? 簡単に逃げろというけど、家族が移動する交通費しかないんだってことを、原発事故後、何度か通った福島の、ある家族の方から言われたんです。
その時に自分がぶん殴られたような思いになった。自分で移動できる人なんて、ごく僅かですよ。はじめてそこで、1人生きるだけで精一杯、家族生きるだけで精一杯っていう現実、原発問題以外に、地盤沈下した人々の生活もあるんだってことに、初めて気付いたっていう。とんでもない、世間知らずだったんですよね。
恐らく私の発言、これまでの発言によって、多くの福島の方々には、遠くでそんな大きい声出してもこの現実を変えられないということに関して、責任も持たずに発言してきたことに関してそれは深く深くお詫びを申し上げたいです。
……。
謝ってる、な……。
これじゃまだ足りない、とか、厳密に「ベクレてる」発言を指しているわけではない、だとか。
言おうと思えば無限に言える。
けど……事実として。
謝ってる、な……。
振り上げた拳の行き場がなくなった。
なので、こう言った。
「僕、福島の件、滅茶苦茶怒ってたんですよ。謝ったのか、ちゃんとネットに載せてるのかって訊くつもりでした。でも載せてるの今さっき見つけたので、もう質問したいことなくなっちゃったんですが……あれじゃ誰もたどり着けないんで、もうちょっと目立たせた方がいいと思います!」
……
嫌っていた政治家にアドバイスを送るおっさんになってしまった……。
山本氏は言った。
「東電や国の責任を追求していきます!」
僕は「いや、それはまあ色々スタンスあると思いますが……」
と言葉を濁してしまった。
別に原発の責任に対する議論がしたかったわけではないのだ。
ただただ、「ベクレてる」という言葉が許せなかった、それだけなのだ。
……でもまぁ。
その件に関しては、僕の中で一区切りができた。
できてしまった。
もちろん、それでは許さない、という人もいるだろう。
だが僕は人の舌禍は「ごめんなさい」した時点で基本的には赦すべきだ、というスタンスだ。
このあたりに色々と書いている。
一区切り、だった。
山本太郎の演説が終わるまで1時間近く待ったわけだけれど、まぁ……良かった、のかもしれない。
まぁ、それがれいわ新選組支持に繋がるかどうかと言えば全く別の話なんだけれどね。
家に帰って、演説中ずっと片手にぶら下げていた特別純米酒を飲んだ。
酒は少しぬるくなっていた。だが、悪くない味だった。
※ヘッダ画像は公式サイトより