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令和に八朔祭は消滅するのか-300年続く祭りを次の世代へ渡す使命-

第4回 祭り地区の人口問題と後継者問題

第2・3回は祭りの形式について掲載しました。
今回は、行政が公表しているデータをもとに「祭り地区の人口」について客観的に分析をすることで、那珂湊の参加者や後継者問題について言及していきます。

 今回のテーマである「祭り地区の人口」について、大きく3つにわけて話をします!1つ目は祭り地区の人口推移、2つ目は人口構成、3つ目は祭り地区の将来人口推計についてです!

1.祭り地区における「人材」


 *「祭り地区の人口推移」における祭り地区の範囲は、海門町1丁目・海門町2丁目・栄町1丁目・栄町2丁目・山ノ上町・釈迦町・湊中央1丁目・湊中央2丁目・湊本町・東本町・富士ノ上・和田町1丁目・和田町2丁目・和田町3丁目・牛久保1丁目・牛久保2丁目・殿山町1丁目・殿山町2丁目・湊泉町・八幡町・洞下町・館山・幸町・相金町・田中後・国神前・峰後・関戸・堀川・富士ノ下・船窪・狢谷津・浅井内・沢メキ・道メキとなります。

①祭り地区の人口推移

出所:「統計ひたちなか」より筆者作成
(https://www.city.hitachinaka.lg.jp/shisei/tokei/1001554/1001611.html)

 このグラフが示すように、祭り地区の人口は右肩下がりしています。これは、誰もが肌で感じていたことだと思います。

 2021年には、初めて1万人台を切り、2021年4月時点で9899人となりました。

 昔は1小で1学年5クラス程度あったのに対して、現在は1学年2クラスしかない現状を踏まえると、年齢構成は高齢の人が占める割合が高く、祭りの後継者にあたる若者の割合は圧倒的に少ないと考えられます。

 また、2000年と2021年を比較すると、約3500人が減少しました。この減少規模としては、2000年の25%以上もの人口が減ったということになります。

 したがって、祭り地区の人口は、急速に減少しており、1万人をきってしまったということです。


②祭り地区における世帯数の推移

出所:「統計ひたちなか」より筆者作成
(https://www.city.hitachinaka.lg.jp/shisei/tokei/1001554/1001611.html)

このグラフが示すように、世帯数は多少の増減をしていますが、相対的に減少していることが読み取れます。

 世帯数の推移は、①祭り地区の人口推移を踏まえて考察したいと思います。

 祭り地区の人口は、一度も増加することなく、顕著に減少しています。それに対して、世帯数は相対的には減少しているものの、多少の増減をしています。
 このことから2つケースを想定しました。
 ①子供が仕事のため那珂湊から転出し、他の家族は那珂湊に残った
 ②子供が親元を離れて単身世帯になった

 他にもケースは考えられると思いますが、大きくはこの2つのケースに分けることができると思います。
 ②のケースの場合は、湊に在住しているケースが多いため、祭りには参加することができていると考えます。
 一方で、①のケースの場合は、継続的な祭り組織・行事に対する参加は難しく、断続的な参加になってしまうと思います。そして、時の経過とともに、祭りから離れていってしまうのではないでしょうか。

 これを改善するためには、「令和に八朔祭は消滅するのかー300年続く祭りを次の世代へ渡す使命ー 特別編 祭りを行う上での形式(体制)について 〜大阪府 岸和田だんじり祭から学ぶこと〜」に記載した、帰属意識が必要になってくると考えます。


 結論として、この2つのデータを参照しながら、祭り地区におけるそもそもの人口と若者の数が減少していることを示しました。人口減少を問題に祭りへの参加が厳しくなってきている町内の現状が、データから読み取ることができたと考えます。

2.人口構成

出所:resas「人口ピラミッド」(https://resas.go.jp)

 この図が示すように、2040年のひたちなか市は現在よりも年少人口(0歳~14歳:以降子ども)と生産年齢人口(15歳~64歳:以降大人)の割合が低くなり、老年人口(65歳以上:以降高齢者)の割合が高くなっていると考えられます。

 ここで、実際に2020年と2040年の人口を数字で比べていくと、高齢者は40,234人から46,812人に、大人は93,439人から70,127人に、子どもは19,610人から14,179人に変化していることが分かります。
 割合で見ると、それぞれ高齢者が25.7%→35.7%、大人が59.67%→53.48%、子どもが12.52%→10.81%となっています。

 このことから、割合では高齢者の増加が顕著になっているが、実際に変化している人数が最も多いのは大人だということが言えます。

 ただし、那珂湊はひたちなか市の全体に比べて、高齢化が進んでいると想定されます。そのため、実際にはこの推計よりも子どもと大人の割合が減少し、高齢者の割合が増加すると考えられます。

3.祭り地区の将来人口推計

①祭り地区における2020年と2050年の人口

祭り地区の大まかな範囲については、以下の赤枠内とします。

祭り地区の大まかな範囲

国土交通省の「メッシュ別将来人口推計(平成30年度推計)」を基に、2020年と2050年のデータから祭り地区の将来人口推計を考えていきます。

2020年の人口メッシュ

まずは、2020年のデータから見ていきます。

2020年のデータからは、黄緑色の場所が1か所と水色の場所が3か所、濃い水色の場所が1か所確認できます。それぞれの中央値をとって計算し、祭り地区の人口を10,950人とします。

2050年の人口メッシュ

つぎに、2050年のデータを見ていきます。

2050年のデータからは、水色の場所が3か所と濃い水色の場所が2か所確認できます。2020年のデータと同じようにそれぞれの中央値をとって計算し、祭り地区の人口を6,650人とします。

②2020年と2050年の比較


 2020の10,950人から2050の、この先30年間で現在の約40%の人口が減少すると推計されます。
 
 ひたちなか市の人口構成で述べたように、那珂湊は他の地域よりも高齢化が進んでいると考えられることから、2050年には人口の約半分が高齢者ということもあり得るのではないでしょうか。

 また、休会になる子供会が出てきているという子どもが減少している現状を踏まえると、2050年には30代から40代の人が居なくなり、必然的にその子どもの世代も居なくなってしまうと考えられます。

 さらに、1の祭り地区の人口推移で示したように、2000年の約13,000人と比較すると、2050年には50%以上の人が減少するということになります。

 結論として、2050年には人口そのものが大きく減少し、さらに大人と子どもの割合も低下すると考えられることから、現行の形式での祭りの開催と継承は困難であると考えます。

★告知

第5回「経済的な問題」の掲載予定は8月中旬です。

★お願い


①祭りに関わる皆さまに、共有・拡散していただけるとありがたいです。

②第1回の報告書に簡単なアンケートがありますので、回答していただけると幸いです。

③自由意見


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