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ほぼ毎日・三題噺

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ほぼ毎日、三題噺の掌編小説などを投稿します。 シュールなものから現代ドラマ風のものまで。
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2018年11月の記事一覧

アーティ・ファーティとレタス王子

 あれは秋のことだったと思う。  恋人と別れた僕は、サークルの仲間に連れられて二丁目のア…

リラコ
5年前
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とある犬の遍歴

 飼い主が死んだ。病に倒れたのだ。  犬は三日三晩、亡き骸のそばにいた。  しかし飼い主…

リラコ
5年前
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頭蓋骨の記念日

 彼以外の生存者とは、すでに五日間会っていない。  だから当然、石段を駆け上がる元気もな…

リラコ
5年前
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女の子は雑巾に似ている。

 東京メトロ渋谷駅の地下通路は、ちょっとしたナンパ道として有名だ。  私と鎌田は、仕事の…

リラコ
5年前
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東大・本郷キャンパスのK教団

 東大には、妙なカルト集団がいる。  仮にK教団としよう。  K教団は洗脳しない。強制もし…

リラコ
5年前
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スターバックス渋谷店の珍客たち

 スターバックス渋谷店には、妙な客が寄ってくる。 妙な客第一号「声がでかい女たち」 「ス…

リラコ
5年前
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人類終焉論者との交渉

 君は言う。  イルカとクジラの間には本質的な差がない、と。体が小さなものをイルカ、大きなものをクジラと呼んでいるにすぎない。それはワシとタカでも同じだ、と。  困惑する僕を見て、君は笑う。そして、無理もない、と君は肩をすくめる。  七億人の運命が、いま君の手中にある。厳密に言うと、アメリカの保有する七千発の核弾頭の発射スイッチを、君が握っている。君の指の動きひとつで、七億人を蒸発させることができるシチュエーションなのだ。  そんな状況では、イルカやクジラの呼び名など瑣末な問