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「Little Women」(邦題「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」)が。


良すぎた。あまりにも。

3ヶ月ぶりに映画館に足を運んで、楽しみにしていた「若草物語」を観ました。エマ・ワトソンとティモシー・シャラメが出ているという時点で期待値大だったのだけど、子供の頃夢中になって読んでいた「若草物語」がモチーフということでとてもどきどきした。大人になってしまった今、ストーリーはおぼろげだったけど自分の記憶を信じて、観れば思いだすだろうと前情報は全く入れずに行った。

そしたら、本当に、出てくるシーンひとつひとつに胸があつくなってしまって、少女だった私のいろんな思いが溢れて止まらなくて、終始泣いていた。びっくりしたのはティモシー・シャラメがスクリーンにうつったその瞬間に涙が流れたこと、あれは何だったんだろう。「この人だ」「ああ、会えた」と思った。4姉妹と交流していく御曹司ローリーという役はこんなにも魅力的で、人間的な色気があって、鮮やかなのかと。憂いを帯びた表情も、恋をしている相手に向ける眼差しも、少年性を孕んだ茶目っ気たっぷりな仕草も、画面の中であまりにも「生きて」いて、映るたびに目で追ってしまった。シャラメ、凄い。凄すぎた。このひとは、映画に愛されている。

4姉妹もみんな素敵だった。しっかりもので社交界への憧れはありつつも慎ましく堅実なくらしをしている長女メグ、物書きの才能を発揮する一方で女であること、女の幸せ(と言われる「結婚」)に不安や迷いを捨てきれずにいる次女ジョー、病弱だけれど誰よりも愛に深く、ときに的確な物言いをする三女ベス、ジョーのように芸術に憧れがあるものの、客観的に自分をみる術も知っている四女エイミー。それぞれに物語があって、魅力があって、本当だったら映画の2時間ちょっとには到底おさまらないのだけど、繰り返される回想と現在を行き来するうちに4人の良さが全部全部出ていて、心臓がぎゅうってなったり、ほっこりしたり、笑ったり、泣いたり。

選べないけど・・・特にベスが素晴らしかったな。主張の強い次女と四女に挟まれた彼女は決して口数が多い方ではないけれど、とても芯の強い女性で、周りの人にたいして愛情がとても大きくて。そしてそれを人に強要したりしない。ピアノを弾かせてくれるローレンスさんに履き物を編んでプレゼントしたら、そのお礼にと可愛らしい素敵なピアノを贈られて、思わずその足でお礼をいうために駆け出す姿には胸がいっぱいになったし、弱ったからだでも姉の不安を鋭く察して、慰めの言葉よりも「私のために書いて」と伝えられるベスは本当に素敵な女性だと思った。


海に遊びにいくシーンがたまらなく良かった。さらりと流れるだけだったけれど、あのシーンにはいろんなものが詰まっていて、みんなが「あの頃は素晴らしかった」と思っている日そのもので、私たちみんなが記憶の中にもっている日だった。きらきらして、まぶしくて、若くて、かわいらしくて、二度と戻らない日。

大事なシーンのひとつ、ジョーとローリーの関係性を決定的に変えてしまう丘のシーンもとてもとても良かった。シャラメのあの揺れる瞳がこぼれ落ちそうなくらい不安定で引き込まれてしまう。ローリーの積み上げてきた思いも、ジョーの不安もわかってしまうから、余計につらかった。お互いに手を差し伸べるには二人ともまだ大人になりきれていない子供で、愛だけど、愛じゃなかった。胸がいたい。このシーンだけであと3回は観たいと思ってしまった。

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4姉妹とお母さんの関係も素敵で、特にジョーとお母さんが2人で話をするシーンは涙が止まらなかった。「でも、愛しているの?」と何度も娘に問いかける母の思いがまっすぐ心に落ちていくようで、自分に言われている気がして。母の包容力、洞察力にはかなわないんだなあ。


音楽も衣装も最高だったな。寝て起きても「ああ、良かったな」と思える作品に出会えること、本当に幸せ。
みんながシャラメをほっとかない理由もよくわかる。次の日「Beautiful Boy」観たもん。「Call Me By Your Name」ももう一度観ようかな。


「若草物語」を読んだ人も、読んでない人にも観て欲しいし、私も友達や家族と一緒にまた観たいです。


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