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「アストロボット」はタイムマシーン

PSVR専用ゲーム「ASTROBOT アストロボット:レスキューミッション」を一か月ぶりにプレイ。
昔自分が書いた、このゲームの感想も読み返したんだけど、なんかさあ。技術が優れているとか酔い対策ができているとか、やればわかることをごにょごにょ言っていた。

(ごにょごにょ)VRゲーは言葉では伝わらないけど・・・もう評価されて、自分よりうまい書き手がいるし・・・VRゲームの質が底上げされて、数年後にはこれも突出した存在じゃなくなるかもだけど(ごにょごにょ)

こんななの。余計なことを考えず
「うぎゃー!!面白い!俺はこのゲームが好きだー!!」
と叫べずにいる。叫べばええねん。ええねん!むしろあの熱いラスボス戦を終えたあとによく叫ばずにガマンできたな!

質の低いVRゲームは拷問。
質の高いVRゲームは、子供のころに戻るタイムマシンだ。

VRゴーグル持って「これタイムマシンですよ!」って近所に触れ回ったりはしなかったけど、そのことを知ってる。

ミスチルの歌で、桜井さんのオカンが「夏休みのある小学生のころに返りたい」とぼやいたそうだ。子供のころだって、いやなことがたくさんあったはずなのに、疲れた大人はふと「こどものころに戻りたい」と思う。
戻りたい「こどものころ」っていつのことだろう。

子供のころ、ゲームを買ってもらった帰り、車の後部座席で箱の裏とか説明書を読みだした。車酔いするでー、と注意されても聞かない。帰ってクツ脱いでブラウン管の前までダッシュ。宿題も気にしない。連絡をせかす携帯もない。何にも気にしない。
自分が大人になることも知らず、世界に心配事があふれていることも知らず、ただ遊びに夢中になっていると、いつしか親が夕飯ができたことを知らせに来る。そういう、ただただ頭に楽しいことだけ詰まってる時間。頭の片隅にも不安や悩みの存在してない状態。
そのころをPSVRは再現できる。
ヘッドセットをかぶった瞬間、手元のスマホも窓の外の雑音もこれからの予定も気にできなくなる。面白かろうと苦痛だろうと、そのゲームだけと向き合うしかなくなる。

いまどきのゲームはシェア機能があって、いいシーンほど「他の人」が頭をよぎる。自分だけの特別な経験って感じがしなくなるけど、VRなら気にしなくていい。どうせ伝わらない。

VRは目や肩が疲れて、長時間できない。
だけど、あわただしい日々のVRは、余計なことでゴチャゴチャしていた頭がリセットされて疲れが取れた。

ゲームって、没頭するものだった。移動時間にちょっと進めるとか毎日ログインとかじゃない。
こうだった。ゲームってこの感じだった。
1日せいぜい1時間ほど、宿題を終わらせて決められた時間に遊ぶことしか許されないものだった。アストロボット。ゲームする時間が今よりちょっと特別なものだった子供時代を、PSVRを使って人工的に再現したゲーム。

VRは、アストロボットは、タイムマシーンだ。

中断するたびに、子供のころの幸福な時間から退屈な日常に戻ってきてしまったよう。寂しいが、頭はふしぎとすっきりして前向きな気持ちだ。
じゃあ、熱いうちに叫んでおこう。
「うぎゃー!!面白い!俺はこのゲームが好きだー!!」


読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。