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【ゲームレビュー】だるまを片付け母を想う「Hindsight」


ELDEN RINGがグランプリを受賞したゲームアワーズ2022。
GAMES FOR IMPACT部門にひっそりノミネートされたHindsightというゲームをクリアしました。

ひとりの女性が荷物整理をする様子をクリックして、思い出を鑑賞しながら引越し先に持っていくものを選ぶゲームです。

引っ越しあるあるで、アルバムや漫画を見いって時間が経っちゃった、というのがありますがそれをいろんな部屋、いろんなアイテムで繰り返す。そのうちに女性がどんな経歴なのかがわかってくる。

クッキングナイフの向こうに、お母さんに手を添えてもらって料理を教わった日々があり、独立して料理していたときに移り、画面切り替え無しでそのまま現実に戻ってくる。

回想シーンとして区切られて過去の自分がいるんじゃなくて、いろんな時代の自分や亡き家族が、おもいだすことで同じ世界にいることになる。
初めて見た演出なのに、これがリアルなのかもしれないと思った。

タイトルロゴのセンス良い。

ふと昔着ていた服を見て、「これ、あのとき着てた」と思いだし、思い出したことも忘れてまた次のものを引っ張り出す。過去と今が区切られていない。

楽しかったアメリカ人の父との思い出、日本人の母から教えられたちょっと窮屈な日本文化が今の主人公を形作っている。

薄い下書きをなぞって漢字の練習をさせられる場面があるのだけど、海外のユーザーはもちろん日本人でも、アナログスティックで漢字がきれいに書けるわけがない。

「母」という字を書かされるけどきれいに書けない。
書けないと、また「母」と下書きされた紙がでてくる。できないのにやらされる。スティックで書かされるのが気持ちよくないし、海外プレイヤーにとっては「母」なんて謎の模様を繰り返しなぞらされるってしんどいでしょう。
こうして母親から押し付けられた窮屈な記憶をプレイヤーと主人公が共有する。
あえて作業的なミニゲームのようなものが挟まって、そのたびに不思議なことやらされてんなあ…と困惑する。

ゲームにしかできない、でも他のゲームでは見たことがない演出を考えて作られたように感じた。
プレイ時間は映画一本ぶん、じっくりやって二本分くらいかな?大掃除の前にやると味わい深そうな一作。

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

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