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【読書記録】丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」

丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」を買った。
かなり高い国のタバコ一箱ぐらいの値段。

海外の危険地帯ジャーナリストの著者が、タバコに関連した場面について語る。
対応を間違えたら殺される相手とのやりとりの中で、ふっ、とタバコを一本吸って出た言葉。
初めて見る、吸い方のわからないタバコに苦戦していたら通りがかりの男が吸い方を教えてくれて、そのまま持っていかれた話。

ニューヨークやパリの地下都市の話がまるでファンタジーだ。大都市には作りかけで放置された地下鉄の駅があって、その地下空間に生活する人々がいる。
その付近の人に話を聞くと、当たり前のように認識はしているけど、実際に地下世界に通じるマンホールはこれ、と具体的な手段はわからない。
当たり前のように話しているけど、ファンタジーみたいだ。駅が魔法の世界につながるとか、トンネルを抜けたら異世界とか、一見普通の施設が、知らない世界に繋がっている話。実際に踏み入れた地下空間にはホームレスや薬物中毒者や、そこを発見した探索者の喜びが表現されたグラフィティがある。

読むと自分の「当たり前」の外が拡張される。
世界的に禁煙、マリファナへの移行の流れが進んでいくことで、タバコに関するシーンが「二度と見れない光景」になっていることも味わい深い。

読み終わったころに、ちょうどクレイジージャーニーつながりの高野秀行大先生が植村直己賞を受賞していた。正統派になりきれなかった冒険家のイメージの人が!僕でも知っている人の名前が冠された賞を!

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。