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スター発掘番組、R1グランプリはもう「夢がある!」と言わなくていい

正直、びっくりした。
あの、毎年面白い人が軽くすべらされるR1が、ネタ時間1分増と出演者の個性で2024年は見違えるほどいい番組になっていた。

R1の「優勝しても報われない大会」ムードが薄れたのは、YOUTUBEの影響だと思っています。
佐久間信之や、こたけ正義感の逆転裁判実況のおかげ。
こたけの逆転裁判がバズってると聞いたとき、
「あ、その名前どっかで見たことある、R1か」と引っ掛かりができてた。

R1で登場後、バラエティで大活躍とはいかないけど、長く自分の得意分野で活動している人がいる。
YouTubeで活躍したり、役者やクリエイターとしても活躍するほうが、たまにテレビに出て必死に頑張ってる人よりも健全で幸福、ちゃんと金も稼いでるように見える。

だからもう「R1は夢がある!」って反応しないでいい。ていうかウエストランドがそれ言ったの前々回のM1なのに、どれだけ急所やったんや! むしろキングオブコントの下位コンビのほうが見かけなくないか!あっちは夢あるんか!

今大会、最大の功労者が一番手の真輝志さん。なんだこのホストみたいな変換間違えそうな名前。
この人ではじまり、ルシファー吉岡が現場の空気をつかんで、もっとテンションの高い街裏ぴんくに続く流れが、音楽のアルバムの曲順構成みたいだった。一番手でかりんとうの車が湿りだしたら危なかった。

真輝志のネタは、青春マンガで新しい部活がはじまる流れになりそうでならない高校生。M1の令和ロマンと同じで「ベタな漫画あるある」ではじまる。

終盤で、内気だけど美が開花しそうな女の子が出てくるっていう、もうひとつのベタな漫画キャラ要素が出てきて、ふたつのベタが衝突する。

そして最後が前向き。今っぽい。

昔のお笑いはオチで一番ひどい目にあって「ズコーッ! なんでこんな目に!」が定番だったけど、ハッピーエンドのお笑いとか、漫才でコンビが最後にうまくいって仲良くなる終わり方でもいいんだ。
「ファイヤーサンダー」の、サッカー選手のものまね芸人のコントも終わり方がふわっと前向きだったのを思い出した。

サツマカワRPGがカツラをふつうに取って、ネタの一部にしか使ってなかった。だーりんず松本りんすが「史上初のカツラカミングアウト芸人」としてカツラ芸だけで3位になれた時代とは変わった。

松本りんすはサムネの破壊力がネタを完全に上回っている

R1グランプリ3位でも即バイト生活になった一人。夢がない。

出会い、婚活、ネットレビューがテーマの今っぽい題材があって、どくさいスイッチ企画が驚異的に活舌が良くて凝ったネタ。
トンツカタンお抹茶の「あいつ何だったんだ」感もじわじわ思い出すたびに面白い。

全体的に、テレビの大画面よりも夜中にひっそりスマホ検索して見つけたら面白そう。出演者それぞれがネタの本来の尺バージョンを個人チャンネルにあげてるし。

テレビから配信時代になったことで、どの世代にもわかる有名人が少なくなって、本当のモノマネや歌ネタは厳しそう。
自分がもっと若いころはこんなことなかったんだけど、なじみの薄い歌が出てきた時点で
「あ、俺とは違う世代のみんなに向けている、あっちは楽しんでる」って寂しくなる。

(最近ネットでよく目にするのが「ボボボーボ・ボーボボ」「かいけつゾロリ」のふたつ。通ってないものがみんなの当たり前になってて寂しい)

バカリズムも友近もとにかく明るい安村もなかやまきんに君もR1グランプリで優勝していない。
一発でスターを生むイベントじゃなくて、世間に名刺を渡すイベント。

10年たっても、この人たちはしぶとくいろんな所で活動してそう。
一人で失敗してつぶれても立ち上がって何かを始める。
誰かに見せてまたつまんねーと言われてやり方を変えてまた挑む。
ある意味「R1グランプリには夢がない」は合ってるのか。
夢はない。こういう生き方しかできない人たちの怨念がある。


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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。