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「ほげますから、よろしくお願いします」を見て

団地の横に、芸術系の大学がある。

そこでは月1回ぐらいで、コンサートや舞台、映画上映会などを市民に開放してる。

今月は、「ほげますから、よろしくお願いします」だった。

87歳で認知症になった妻と、それをささえる95歳の夫のドキュメンタリー、そしてそこにはそれを記録しながら支える娘の姿があった。

ドキュメンタリー映画は大好きだし、近親者が撮影した作品もいくつか見てきたけど、テレビ制作に関わる娘による撮影は、やっぱり親子でないととれないリアリティがあって、本当に素晴らしい映画だった。

認知症と診断された妻は、かかったらといってなにもかも忘れるわけじゃない。直近のことを忘れることからはじまる。なので、本人はその事を自覚していて、他人に迷惑をかけていると自分を責める。そしてその事を理解してくれない周囲を責める。そして責めていたことを忘れる。認知症だけにはなりたくないとはよく言われるけど、だれにでも認知症になる可能性がある。認知症患者を差別することなく、認知症の症状を理解して寄り添うことが必要なのは、他の障害や、人種国籍や、LGBTQ+への態度と全く同じだと気がついた。

男子厨房に入らずだった夫は、95歳にして厨房にはいる。介護保険という制度があるのだから、ヘルパーさんをつかえばいいじゃないという娘に当初は反対して、自分達夫婦のことは自分達で解決しないといけない、まわりに迷惑をかけてはいけないという頑固さは、あの世代特有の感覚なんだろうか。ご飯作り、洗濯から、最後は裁縫まで行う夫に、真の夫婦愛をみた。

最終的には介護ヘルパーさんに週何回かきてもらうようになり、夫婦の生活は少し改善する。娘は仕事をやめて実家にかえろうかというが、父は、自分が成し遂げられなかった夢を実現している娘をほこりにおもっていてかたくなに断るすがたにも親子愛を見た。

夫の年齢、妻の年齢、認知症にかかってからの余命、5年から10年でどちらかが亡くなるのかもしれない。残されたほうはどう暮らしていくのか、娘は実家にもどるのか。まだまだ第二章がきになるエンディングだったが、あの夫婦親子なら乗り越えられると思った。

映画がおわって、大学の教授による解説があった。そこでメモした言葉を最後に記す

  • 老いは美しい、憧れ

  • 人生全てをポジティブに捉える

  • 自分自身が輝く

  • 生活習慣が大切

  • 老いてますます壮んになるべし

  • 老いたる馬は道をわすれず

ぼんやりとした老いという恐怖が少し、消えたような気がする
もう自分もあと数年で高齢者、美しくポジティブに老いたいよね

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