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「新韓流」「第4次韓流ブーム」の背景にあるNetflixの存在

 안녕하세요(アンニョンハセヨ) 南うさぎです。

【韓国エンタメ成功の秘密】ドラマ編として、今回はNetflixについて書いてみたいと思います。

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公式サイト(www.netflix.com)から。

 韓国ドラマの海外人気の背景には、世界的な定額動画配信サービスであるNetflixの存在は欠かせません。とくに2020年はコロナの影響もあり、おうち時間の充実に一役買った存在になったと思います。

 Netflixは2016年に韓国に進出しました。初期はなかなか会員数を増やせませんでしたが、配信する現地に合わせたサービスを提供する戦略で、韓国の消費者に親しみのあるコンテンツをコツコツと追加していって、少しずつ新規会員を増やしていきます。そして、2017年には全製作費578億ウォンを、ポン・ジュノ監督の映画『オクジャ 옥자』に投資しました。

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公式サイト(www.netflix.com)から。
ポン・ジュノ監督 『オクジャ』2017年
Netflixが全製作費を投資した配信作品
出演:ティルダ・スウィントン、ジェイク・ジレンホール、アン・ソヒョン
監督:ポン・ジュノ

 配信作品として初めてカンヌ国際映画祭に出品された『オクジャ』の広報効果は予想以上に高く、配信開始後は韓国の新規会員が20万人以上に増加しました(配信前は約9万人)。それ以降も会員を増やし、サービス開始から3年で100万人を突破し、2020年9月30日時点で330万人を超えています。また、日本・韓国を中心にしたアジア地域の会員数は46%上昇したと言われます。

 Netflixは動画配信のOTT(オーバー・ザ・トップ=コンテンツのネット配信事業)サービスだけではなく、韓国の映画・ドラマ・バラエティなどに製作費を投資して海外版権を取得しています。2019年には業界一のドラマ制作会社「STUDIO DRAGON」の持ち株4.99%を取得して、2020年から「STUDIO DRAGON」と3年間21作のコンテンツ制作と、グローバル流通のための戦略的なパートナーシップを提携しています。またやはりトップクラスの制作会社「JTBCスタジオ」ともコンテンツ流通の契約をしています。

 Netflixは、進出していた国がコンテンツの競争力が強い場合には、別途法人を設立してコンテンツ投資に集中する戦略です。2020年9月に韓国の「Netflix Services Korea」とは別で、コンテンツ関連業務を支援する新しい法人「Netflix Entertainment Korea」を設立しました。アジアでは韓国が初の別法人となり、注目を集めています。2015年から約700の韓国コンテンツに7700億ウォンを投資していて、2021年はアジアコンテンツ投資費を2倍に増やすと発表しています。アジア市場で人気の高い「K-CONTENTS」は、アジア市場の占有率を高める強い武器になると思います。

 2020年10月20日、第3四半期決算(7~9月)によると全世界の新規会員増加は目標である330万人に至らずおよそ220万人になっています。それはディズニープラスやHBO MAX など他社のOTT市場参加や、北米市場での新規会員増加には限界があるからだ思います。そのため、まだ新規会員増加の可能性が高いアジアは今のNetflixにとって大事な市場であります。

 ただ市場規模はある程度決まっているので、新規会員を増やすのにはいずれ限界がきます。OTT市場の多様化により、消費者側もサービスを選ぶようになり、オリジナルのコンテンツがないとすぐほかのサービスに移ることも予想されます。そのためNetflixは新規会員の増加だけではなく、ドラマや映画の制作に積極的に投資してオリジナルコンテンツ作りに巨大な資金を使っています。世界的に「新韓流」「第4次韓流ブーム」としてNetflixでK-CONTENTSが売れていくと、巨大な資金を投資しているNetflixの利益やアジアOTT市場占有率にも繋がるので、K-CONTENTSへの投資はまだまだ止まらないと思います。

 このようなNetflixの勢いに対して韓国国内では心配の声も多いです。それはドラマ業界だけではなく、映画業界やOTTサービス業界も同様で、韓国国内では大企業から中小企業までパートナーシップを結び共生しようとする動きがあります。

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公式サイト(www.astory.co.kr)から。
『キングダム(シーズン1)』2019年
朝鮮時代を背景にしたゾンビドラマ。ニューヨーク・タイムズの「最高のインターナショナルTVショーTop10」に2年連続で選ばれたNetflixオリジナルシリーズ作品です。

出演:チュ・ジフン、ぺ・ドゥナ、リュ・スンリョン
脚本:キム・ウンヒ
演出:キム・ソンフン
制作費:1話当たり20億ウォン
制作社:A STORY

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公式サイト(www.astory.co.kr)から。
『キングダム シーズン2』2020年
出演:チュ・ジフン、ぺ・ドゥナ、リュ・スンリョン
脚本:キム・ウンヒ
監督:キム・ソンフン、パク・インゼ
制作費:1話当たり20億ウォン
制作社:A STORY

『キングダム』シリーズはNetflixを通じて190ヶ国・27国語で配信され人気を集めました。シーズン2は、アメリカ映画データベースサイトである「IMDB」で平均点8.9を記録し(シーズン1は8.3)、アカデミー賞4部門を受賞した『パラサイト 半地下の家族』の8.6より高得点でした。海外では「Kゾンビ」として話題を呼び、シーズン2は最高のゾンビショーとして高評価されています。シーズン3はチョン・ジヒョンが中心になるという噂で、ファンの間で期待が高まっています。オリジナル作品に限らず『愛の不時着』『梨泰院クラス』『サイコだけど大丈夫』など2020年は多くの韓国ドラマが上位になっています。

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公式サイト(http://www.studiodragon.net)から。
『サイコだけど大丈夫』2020年(tvN)
2020年ニューヨーク・タイムズの「最高のインターナショナルTVショーTop10」に選ばれました。韓国国内での視聴率は高くありませんでしたがNetflix配信で海外では好評です。

視聴率:7.3%
出演:キム・スヒョン、ソ・イェジ、オ・ジョンセ
脚本:チョ・ヨン
演出:ぺ・ソンヘ、ユ・チョルヨン、キム・ジョンミ
共同制作:STORY TV스토리티브 GOLD골드메달리스트

 ほかにも2020年にはNetflixオリジナルドラマが次々と制作され、話題になっています。

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公式サイト(https://www.netflix.com/jp)から。
Netflixオリジナルドラマ
『愛しのホロ』2020年
出演:チュ・ジフン、ぺ・ドゥナ、リュ・スンリョン
脚本:キム・ウンヒ
監督:キム・ジフン

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公式サイト(https://www.netflix.com/jp)から。
Netflixオリジナルドラマ
『保健教師アン・ウニョン』2020年
出演:チョン・ユミ、ナム・ジュヒョク
脚本:チョン・セラン
監督:イ・ギョンミ


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