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【読書記録】ほたるいしマジカルランド/寺地はるな

寺地さんの作品は、おそらくこれが3作目。
「大人は泣かないと思っていた」
「夜が暗いとは限らない」

私が読んだこれらはどれも、連作短編。
どこかの架空の町で、暮らす人たちのお話。

今回は遊園地で働く人たち。
大阪の北の方、とあるのでひらパーをイメージかなと。
ひらかたパーク。


最近は行ってないけれど、
学生時代に友人が近くに住んでいて
何度か訪れたことがある。
ブラマヨの小杉がひらパー兄さんとして活躍し、
二代目ひらパー兄さんは、
岡田くん。
岡田くんがひらパー兄さんになった時は
あっぱれ、と思ったものだ。

こちら、「ほたるいしマジカルランド」でも
マジカルおばさんなる名物社長がCMに出ている。
テーマパークとは違う、
どこかノスタルジックな空気さえ、漂わす
遊園地。

そして、遊園地で働く人々。
仕方なく遊園地で働いている人もいれば、
好きで働いている人、
目の前のことを淡々とこなすことで、自分の生きている意味を見出している人。
全てを飲み込んで、そこにある遊園地。

当然すぎることだけれど、
世の中にはいろんな人がいて、
いろんな想いを抱えていて、
いろんな人生があることを
改めて感じる。

寺地さんの作品はどこか物哀しい雰囲気があるけれど、
どこか優しい。
優しく、包み込んでくれる。

行き止まりに見える人生を、
いいんだよ、と包み込んでくれる。

華やかじゃない人生も、
積み重ねて生きていくことに意味があり、
明日があり、
時々の楽しいことを糧にして生きることの
大切さを教えてくれる。

今日も仕事の手を抜かなかった。お酒を飲まないという自分との約束を守れた。そういう、ささやかな実績を積み上げていくことでしか自分を肯定することはできない。

「水曜日  篠塚八重子」より

上を見ればキリがないし、
下を見てもキリがない。
時々、他人が羨ましく見えて仕方ない時がある。
今ある幸せを感謝し忘れて、上を見て、
自分の人生を苦く思う時がある。

言葉がすんなりと入ってこないこともある。

でも、あぁ、それぞれいろんな人生があるよなぁということを思い出して、
あぁそうだ目の前のことを積み重ねていくことは悪いことじゃないと自分に言い聞かせる。

遊園地という異空間の中で、
すれ違う人の中で、
それぞれに人生があるんだよなぁと、
思いながら
今日も一所懸命に
自分の人生を生きていく。


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