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映画「30S」8月13日トークショー&感想②

「シネ・リーブル池袋」で開催されたトークショー。開場するまでロビーで待っていたら、ロビーを突っ切ってトイレへ向かう真田くんを何度か目撃。

真田P、お腹の調子大丈夫ですか?!

今日は真田くんの出演予定はない。真田くんは、真田Pとして会場に来ているのだ。

プロデューサーとして、映画制作を発案し、皆を熱くグイグイと引っ張って、営業メールからほぼ全ての工程に携わって2年もかけてここまで辿り着いた道。愛情たっぷり苦労して育てた映画は、我が子のように愛おしいだろう。そして8月11日のお披露目を終え、評判はさぞかし気になることでしょう。

真田くんだけでなく、スタッフさん、キャストの方々からの30Sに対する深い愛情は、パンフレットから映画館内から SNSからビシバシと伝わってくる。こちらも自然に盛り上げたい気持ちが沸いてくる。

素敵な作品を制作し私たちに届けてくれて、本当にありがとうございます。


*トークショー

監督によると、ストーリーは3つの軸で構成されているという。カオル、タケル、レンカの3通りである。
今日はそのカオルサイドに登場するメンバー、新田桃子さん、ラブ守永さん、内藤聖羽さんと、佐藤監督が登壇された。

役作りに徹した結果、新田さんは現場でほぼ誰とも会話をしなかったらしい。矢崎事務所でのシーンはお通夜のような空気で、内藤さんが新田さんにやっと話しかけられた言葉が、「眼鏡、似合うね」。優しい真田さんが遠くから「似合うよねー!」と同調してくれたらしい。役者真田から真田Pになる時には衣装を着替えるそうで、着替えてもスターオーラは隠せてないと言うと真田P、「へへへ」と照れ笑いしていた。その「へへへ」をラブさんもやって見せてくれて、開場を和ませてくれる。
内藤さんは十分に不気味な雰囲気を出していた事を褒められ、ラブさんはクセ強の衣装のお話やゲーム喫茶でアイスコーヒーを注文された時のミルクのくだりはアドリブだったお話をしてくれるなど、たくさんの裏話が聞けた。
ゲーム喫茶のシーンは監督もお気に入りで、ここでスピンオフを作りたいくらいと仰っていた。
新田さんはニコニコして本当に美しく、ラブさん、内藤さんお二人の眼鏡姿も素敵でした。

前回たった一度の鑑賞で、"真田くん、真田くん"連発の強烈な熱量の感想を落としてしまったが、落ち着いて鑑賞してみると、見えてくる景色はまた異なる。

パンフレットの佐藤監督と真田くんのインタビューでは、タケル、御手洗、レンカ、カオル、それぞれの視点で4回見て、5回目に見た時にわかるかもなんておっしゃっている。そんな難解な映画なのでしょうか。

私は今日で3回目の鑑賞です。
※以下ネタバレもあり


考察が面白い映画とは、散りばめられた伏線が見事に回収される映画である。それぞれのシーンには確固たる意図があってほしい。その意図をよく考え調べて正解を導く過程が楽しいのである。

*30Sの魅力

パンフレットが秀逸

表紙の3人の後ろ姿に対し、裏表紙のカオルのスッキリとした横顔がいい。インタビューや現場日記など内容も盛りだくさんで、まるで写真集のような真田くんこだわりの逸品。何度も開いて眺めてしまう。

初見よりも2度目3度目の方が面白い

初見ではとっ散らかって見えたストーリーが、見るほどにどのシーンも必然で納得の長さに思えてくるから不思議。

凝った小道具たち

カオルの丸眼鏡、首からぶら下げられたラムネ、そして片手に携えた兄探しノートなど、キャラクターに合わせた小道具がとても凝っていて、スタッフさんの細やかな愛情を感じる。映画館にカオルの衣装を展示して欲しいくらいだ。

タケルの実家もまた味わい深い。あの物の多さ。いまだに旧ビデオテープが山積みなところもいかにも実家実家してる。そういう要らない物たちを捨てないで取っておいてくれたからこそ、10年前のお宝も見つかったのだ。

甲が働いていたオフィス。何か秘密が隠されていそうだとついついじっくり見てしまう。甲の行方を調べる検索エンジンは「Joogle」で、 インスタ風SNSは「Photogram」だった。芸が細かい。

レンカの狭い一人暮らしの部屋の荒れた様子も、リアリティが感じられる。

魅力的な方々

いつも連絡なしに突然帰ってくるタケルに、「ご飯ないよー!」と可愛い声で言うタケル母。タケルがPCでバンド時代の映像を見ていたら後ろでこっそり窺ってるのも可愛い。タケルあんなに身長高いのにお母さんは小さくて可愛い。ご飯はないと言いつつ、あの後有り合わせの物でタケルの好物作っちゃってるんだろうなと想像できて微笑ましい。

興信所のお二人、矢崎事務所で働く方々、出演時間は短いが味わい深い演技が強く印象に残る。
カオルの親友みさきとの遠慮のない掛け合いは、家族のそれで、同じ孤児院育ちなのかと想像した。

群像劇を演じるシリアスな主要キャストに対し、コミカルな演技で脇を支える方々との掛け合いは息抜きタイムで、出番が待ち遠しくなるほどだ。

*キャストの誰が刺さるかな

まず一番ないのがレンカだ。高来さんがあんなに熱心に「守ります」言うてるのに、「私守られなきゃいけないんですか。夢を持ってなきゃいけないんですか。」意味不明にキレるめんどくせー女だ。
20才の蓮香のセリフ「結局、楽しい真実が一番だよね」の意味もよくわからない。楽しい真実ってなんだ。
結局御手洗が忘れられないから現実から逃げてお酒に走り、高来の告白にも答えられない。依存症って怖い。20才の時にビールも飲めなかったあのレンカがね、っていう驚きより、3年前御手洗に振られただけで一気にここまで落ちぶれた事の高低差にドン引く。でも最後には前に進む決心をして良かった。

タケルは元バンドマンで社長令嬢と婚約中。こんな上手い事いってる人生なかなかないのに、俺バンドマンとしての夢持ってたんだっけ、と思い出した途端、このまま30才になっていいのかなとふらつき始めるから意味がわからない。いやいいよ。さっさと過去形にしなよ。もうしばらく演ってないんだから。ちょっと刺さりようがない。

御手洗、孤児院育ちで詐欺して自殺する男。「俺嘘ついた事ないよ」の言葉通り、言った時点では嘘でもそれを本当にしてしまう男。いやそんなバカな。ヤバいのに憎めないお調子者。そんな御手洗の人生は深掘りしたくなる。

カオルが、私には一番しっくりきた。「私って、誰なんですかね」「お兄ちゃんて本当に居るのかな。私も本当に居るのかな。いつか私のこと知ってる人が誰も居なくなる。」この辺の発言には共感できなかったけど、甲が妹が居ると嘘を言ったように、カオルも本当に妹になりたかったその心情は理解できた。

「兄の居場所がわかりました」

カオルは、児童施設時代から甲を知っている。大学時代の甲、宇宙開発事業詐欺の話、20才の誕生日にした10年後の約束の話を聞いて、総合的に考えて甲なら「月に立っている」約束を果たすために何でもやるだろうと思った。そして死ぬとしたらその思い出の場所を選ぶと思い、だから現地に着いてからずっとその痕跡をさがしていたのではないか。タケルとレンカとはずっと別行動で、朝を迎えても2人と共に帰らずその場に残る。
そしてパンフレットを見ていて気付いたが、カオルが矢崎事務所に行く時の服装に注目である。カオル、御手洗のお下がりのポロシャツを着ている!10年も前の年代物を大事に着ている。やっぱり、兄への愛に溢れた妹なのだ。

*御手洗の死亡日

初見では御手洗は誕生日の5日前、メッセージを送った時点で死んだのではないかと思っていた。それ以後メッセージを返信しないからである。その割には、詐欺師仲間である三山との待ち合わせ場所に甲が隠れて現れるし、三山に電話させて携帯を奪い取ったカオルに、2人が探してると聞いて、約束の場所で待ってると伝言を頼んだり、辻褄が合わないと思っていた。3回目にして、誕生日に死んだのかなと思った。タケルの前に現れたのはもちろん幽霊だ。誕生日が命日になるって最悪だ。

*まだまだ不思議なところ

三山と待ち合わせる場面

御手洗に詐欺られた矢崎から三山の連絡先を聞き出し、カオルが親友のみさきに行かせ、待ち合わせしたのは私ではありませんと言いながらも三山をマークして後を追うのは、三山の家を突き止めるためなのかもしれないが。でもあれ普通にカオルが待ち合わせに行って、名乗って良かったんじゃないのかと思った。結局部屋に無理やり踏み込んだし。詐欺師に対峙するのなら、個室より大勢の前のほうが怖くないよね?なんか回りくどく感じた。

焚き火シーン

やっぱり何度見ても訳わかめなのである。
甲「お前このままだと嘘つきになるよ。お前も月に来いよ。一緒に月でライブしよう」
え、タケルを連れて行こうとしてる?甲、死神?
タケル「俺はこっちに残るよ」
言われて甲、残念そうな顔したよね?怖いよ。
甲「お前がこっちに残るなら、俺がお前の嘘を許すよ。大丈夫。」
え、お前が大丈夫?
これがタケルのただの夢と思えば納得なのだが。

最後の蓮香が嘘をついているかどうかが鍵

らしいのだが、その嘘がそもそもどうでもよく感じてしまってしょうがない。

*大人になる、って嘘をつける事なのか

タケルは、売れ残りの中古車を嘘をついてまで売っていいのか曖昧な笑顔で誤魔化している。
蓮香は、誤魔化せないから酒を飲む。
甲は、発言した時点では嘘だったとしても、それを本当にしてしまう男。
大人になる、って器用に嘘をつける事なのか、いや、それとこれとはまた別な話な気がするが。

*カオルのこれから

パンフレットの裏表紙にも載っている、兄探しを終えてスッキリした表情を見せるカオル。ところで御手洗の詐欺被害金返金問題はまだ未解決のままである。カオル、お金あるの?この先、それ相応のダメージがカオルに生じないか、とても心配である。甲、勝手に月に行くのはいいが、ひとに迷惑かけちゃダメだって。


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