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小説:無題 2015

地平線の向こうで大きな風船が膨らんでいる。

だんだん大きくなる色を、いつも愛おしく思う。
その先の人影を追い、息苦しくなって目を覚ます。

僕の初恋の相手は風船を膨らませる仕事をしていた。彼女は干渉を嫌い、無限に憧れていた。

いつかひとりでどこかに落ち着いて、無限に膨らむ風船を膨らませ続けたいと言っていた。

あるニュースの話を彼女とした。

無限に広がったアインシュタインの脳内と宇宙、世界は同一になって いたという。

無限に大きくなるものは、無限という新しい要素を持ち、他の無限と同一になることが証明されたらしい。

「干渉から逃れる事と無限に近づく事は相反するみたいだね。」と僕は言う

「干渉と同一になる事は違うわ。同一になるなら、それはとても素敵なことよ。」

白色の風船を膨らませ彼女は言っ た。

彼女との接点がなくなって、部屋に残された風船の空気を抜いた。さっきまで大きかった青色は鼠みたいに部屋の中を暴れ回った。