旅のしおりを持ちましょう。
僕は旅行に行くとき計画を立てないタイプ。
フィリピンに行ったときも日本でホテルの予約すらしなかった。
着いてから決める。
何をするのも行き当たりばったり。
嫁さんは真逆でしっかりと計画を立てたいタイプ。無駄な時間ができたり、上手くいかなかったら不機嫌になって僕は怒られる。
得意じゃないから仕方ないのに。
これは、旅行に限った話しではない。
僕は自分の人生も行き当たりばったりで生きてきた。
大学に推薦の話が来た、行ってみよう!
プロジム選びはどうしよう、直感だ!
場所は…柏、仕事は…何でもいい!
国際結婚…まぁ出来んだろ!
全部上手くいってる。
そう思えるからそれでいい。
面白ければオールオッケーだ。
でも嫁さんにはよく聞かれる。
「あと、将来何しますか?」
当然、「分からない」
でも、それはその時の自分が決めること。
昔からそうやって生きてきた僕からしてみれば、それが普通。
そうでなければ思い付きで100キロは走らないだろう。
「生きていく為には仕事をして、、」
そう言う人が多いのも分かる。
一つ言えるのは何をするにも綺麗事は抜きにしてお金が必要だ。
だからと言って勉強をしろとか良い大学に行けとは言わない。
そうしてきていない僕が言うと嘘になる。
良い会社に入りたい、は別だけどやりたいことをやるのは技術やアイデアや行動力があればいいと思ってる。
別に僕はお金は無いけどやりたいことをやっているし楽しんでいる。
人生も大きな旅みたいなもの。
僕は計画は立てないけど''旅のしおり''を持っている。
”本”のことだ。
昔から本を読むのが好きだった訳では無い。
小さい頃に母親に絵本の読み聞かせをしてもらった記憶はない。
そんなに育ちの良い家庭ではなかった。
しかし、僕の家の本棚には、何故か「ブリタニカ国際大百科事典」が並べられていた。
まだ実家にあるそうだ。
これだ。
違和感しかなかった。
というか、ふと思い出した。この記事を書くときに「そういえばあんなのあったな、あれなんて名前の本だったっけ。」と。
まぁ僕が18歳で家を出るまで一度も手に取ることも触れることさえ無かったぐらいだから。
今も誰一人触ってすらなさそうだ…。
何故そんな物が家にあったのか。
理由は、母方の家庭は親戚一同、格闘技をやってる自分とは毛並みが少し違ったから。
おじいちゃんとおばあちゃんが家に置いてくれていた。
おじいちゃんは長年役所に勤めた公務員。おばあちゃんは盲学校に勤めていた。
曽祖父と曽祖母が105歳と101歳まで生きていたから高齢になるまで介護をしていた。
徳の高い感じがした。
だからあんな本が置かれていたのだろう。
…それだと聞こえが悪くなってしまう。
でも、父方の”血”のお陰でボクシングと出会えたのだろう。
人間味溢れる家庭的な感じは落ち着くし居心地も良かった。
話を戻そう。多分初めは漫画から本の世界に足を踏み入れたような気がする。
ワンピースは小さい頃から家に置いてあった。
それからスラムダンクやスポーツものに感動を覚えて、バガボンドで悟りを開いた…。
作者の井上雄彦さんのことは勝手に”先生”と呼んでいる。
ボクシングを始めてからはアスリートの自叙伝なんかを読むようになった。
それから自己啓発やビジネス書を読み漁っていた。
読めば読むほど行動が大事だと思ったから今の自分がある。
僕の旅のしおり。
その中にあった一冊、「崖っぷちの覚悟」著・井原慶子さん、は今でも僕のバイブルだ。大学生になってから読んだと思う。すごく印象に残った一冊だ。人間の限界を広げてくれる、当時の自分のちっぽけな限界を取っ払ってくれた。「こんな凄い女性がいるんだ!」ではなく、「こんな凄い人間がいるんだ!」と思った。人間は沢山の知識を身につけて戦うことが出来る、覚悟があればどんなことにも挑戦していけると思った。
僕は尊敬する人はあまり多くはないが、その中の一人だ。
死ぬまでに一度お会いしてみたい。
会ってみたいと思った人なんて初めてだ。
更にもう一冊バイブルのような一冊がある。「天才!」著・マルコム・グラッドウェルだ。
この一冊も大学生の時に出会った。ボクシング部の合宿で、一緒に帯同して参加していたフィジカルトレーナーの脇坂さんがミーティングの時間に紹介してくれた一冊だ。自分と同じ和歌山県出身と聞いて親近感が湧いたのかも知れない。しかし、紹介してくれた本を実際に買って読んだのは部員35人程いてどれくらいいただろうか。
今の自分の習慣や行動にまで確実に影響を与えている一冊だ。自分の中に広がる”哲学”にも影響を与えた。
1万時間の法則を信じている。
ここまでの2冊は、僕という人間を作る上で欠かせなかったと思う。(だから良かったと思う本や漫画は母校の寮に寄付している。)
そして、沢山の本を読んできたと思う。
どの本を読めば良いかは”本”能が教えてくれる。
当然、その時の自分の環境や体調、心情によって変わってくるだろう。
プロボクサーとなり初めての敗北時には、著・千原ジュニアさんの「3月30日」を読み沢山泣いた。壮絶な過去に、当時自分も1R,Ko負け、拳の手術、と上手くいかない時期であったが”上には上がいる”、ではなくて、”下には下がいる”と、まだまだこれからだと思わされた。そして勇気をもらった。もう一冊千原ジュニアさんの本を読ませてもらった。「あながち、便所は宇宙である」が面白かった。
こういう、その時読むから良いみたいな本がある。
それを分かって、「今の彼にはこの本がいいだろう」と本をわざわざ家に送ってくれる人がいる。僕はこの人のファンになった。
この本を送ってくれた。
「お母ちゃんに捧げるチャンピオンベルト」著・川島郭志。
2連続ko負けや、拳の怪我。境遇が重なっていた。本の内容から伝わる人柄まで自分は少し理解出来たからか、この本は凄く自分に響いた。
僕が100キロマラソンに挑戦した時は、村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること」をこれまたエネルギージェルなんかと一緒に送ってくれた。
それに、いつも手紙を添えてくれる。
時間が無さそうだからと、読んで欲しい章もピックアップして教えてくれた。
相手の身になって考えられる本当に優しい人だ。
そんな人がなんと本を出版するのだ。
お店の看板猫であるミケちゃんと店主のやすらぎさんのお話だ。ミケちゃんはTwitterでフォロワー28000人を超えるカリスマ猫ちゃんだ。
やすらぎさんのファンも多い。
サブタイトルには、
「これは、ある町の片隅で出会った優しい猫と優しい人の物語」と書いてあった。
やすらぎさんは何でこんなに僕や人の気持ちが分かったりするんだろうと考えた時があった。
多分''痛み''が分かって、他者愛の強い人だ。
ミケちゃんは後ろの片足が無く3本足。
…「そういう表現をするのは前向きで健気に生きるミケちゃんに対して失礼だと感じた」
と、やすらぎさん。
にごたろ先生もそういうハンディについては強調したくないと。
お涙頂戴、というような作品ではないそうだ。
僕は、「だから優しい猫なんだ」と思った。
''痛み''が分かるのかもしれない…。
社会に出てから思う。
相手の気持ちを考えられたり、気遣いや配慮が絶妙な人。
優しい人間ってカッコいいと。
そしてそういう人は少ないと。
こんな社会に一筋の光を照らす本だったらいいな。
「ミケちゃんとやすらぎさん」
著・やすらぎ
にごたろ
8月18日の発売日が待ち遠しい。
また僕の旅のしおりとなるだろう。
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322010000756/
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とんでもない所を目指しています。
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