それでも涙はあふれて
3/14(土)はホワイトデー。と同時に、JR常磐線の全線開通の日でもありました。
賛否両論があるのは知っています。
でも、特急ひたちが、浜通りの駅に停車する姿、仙台に到着する姿を報道で見て、涙目になっている自分がいたことは確かなのです。
ーーーー
何を泣く、なんの涙だろう?
(……とは石川智晶の曲ですが)
NHK6時のニュース。
告げるのは「常磐線9年ぶりの全線開通」
夫の前で「平静を装った」覚えがあります。
別に何とも思ってないフリ。
そうしないと涙がこぼれてしまいそうだった。
懐かしいのか、嬉しいのか、悔しいのか、自分でも説明しにくい感情でした。多分、嬉しかった。
「ああ、特急が仙台に停まってる!」
それだけです。
それだけのことが、私の心を揺さぶりました。
ーーーー
仙台に行くだけなら、新幹線の方が断然速いに決まってます。
でもそうじゃないんです。
特急列車が、常磐線を通って仙台に辿り着いた、そのことに価値が感じられました。
まやかしの復興だろうが何だろうが、その姿を見た瞬間は…嬉しかった。
ーーーー
備忘録的に地元の報道をまとめておきます。(文章は引用したものですが、太字部分は南葦による編集です)
「福島?浜通り?どこそこ?」という方も、このまとめだけでもお目通しいただければ幸いです。
忘れないで、忘れないで。
福島民報
常磐線はかつて通学で利用し、友人との会話など多くの思い出が詰まっている。電車から見た風景は以前とは大きく変わっていたが、「どんな状況でも古里は双葉。昔の活気を取り戻してほしい」と願いを込めた。(地域住民の声、福島民報2020/03/15 09:52)
内堀雅雄知事が全線運転再開による福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の推進や交流人口の拡大などに触れ、「復興を力強く後押ししてくれると確信している」と期待を寄せた。深沢祐二JR東日本社長、伊沢史朗町長、赤羽一嘉国土交通相があいさつした。(福島民報2020/03/15 09:53)
福島民友
双葉駅(双葉町)には午前5時55分ごろ、一番列車が到着。町の職員らが小旗を振って出迎える中、乗客が降車した。
午前11時20分ごろには、特急の一番列車が到着。出迎え式で内堀雅雄知事は「復興がまた一歩進んだことを実感して感慨深い。生活環境の整備や交流人口の拡大などを力強く後押しすると確信している」とあいさつ。地元グループの太鼓の音が鳴り響く中、入線する特急列車を内堀知事ら関係者が出迎えた。(福島民友2020年03月15日 09時25分)
河北新報
JR東の深沢祐二社長は出迎え式であいさつし「(震災で被災した)JR東の線路が9年ぶりに全てつながった記念すべき日。鉄道やさまざまな生活サービス、観光を通して福島の地が復興し、発展するよう汗をかきたい」と述べた。
ひたち3号は午後0時40分ごろ、定刻を10分ほど遅れて仙台駅に到着。大勢の乗客が降り立ち、車体を写真に収めるなどして全線再開の喜びをかみしめた。(河北新報2020年03月16日 月曜日)
ーーーー
一方で、このような意見があることも事実。
東京新聞
JR東日本水戸支社の雨宮慎吾支社長は十三日の定例会見で、車両への放射性物質の付着について「(不通区間の空間線量が避難指示の目安を下回る)毎時二マイクロシーベルトだということから考えて問題ないと思う」と主張した。
動労水戸は十三日、ひたちなか市のJR東日本勝田車両センター前で抗議活動を展開し、約二十人が「会社は車両の線量を測れ」「労働者を被ばくさせるな」「乗客を守れ」などとシュプレヒコールを上げた。
車両センターでフィルターの洗浄作業に携わっている整備員は約五十人。木村郁夫委員長は「毎日のように放射性物質が付着した車両が入ってくるが、現状のままでは労働者が健康を害し、命を失う危険さえある」と警鐘を鳴らす。
牛久市の主婦(62)は全線開通に疑問を抱き、勉強会を開いたり、JRに問い合わせたりしてきた。「JRは観光PRばかりで、帰還困難区域内を通過する点には触れない。車両を測定せず、社員の健康を守ろうとしない姿勢では、乗客の安全も心配だ」と不信感をあらわにする。
ーーーー
揺れる本音
両手を上げて喜ぶばかりじゃないってわかってる、でも。
二両編成の各停列車が停まることさえ、あの地域の人達には、希望の灯火に見えたと思う。(少なくとも私の交友関係の範囲では)
特急列車は東京と浜通りと仙台のつながりも示すから、なおさら。
一方で、オリンピックに間に合わせただけの宣伝道具にされてる自覚もある。国の判断には首を横に振らない知事だと言う評判(経済誌上)も知ってはいる。
揺れている、揺らいでいる。
ひょっとして、翻弄されている?
帰還困難区域は、まだまだ残っている。忘れないで、忘れないで。
ーーーー
あとがき
東京新聞が指摘したようなことも頭におきつつ、本当の本当の本当にみんなが笑顔になれる日を待ち望んでいます。
そして、そのために、自分ができることを探しています。
ーーーー
相変わらず、この話になると、まとまらないなあ…
ーーーー
追記(3/19)
俺たち西遊記・HirokuTSUgeru/文化アディックさんが、本稿をご紹介くださいました。
また、こんな心温まるまとめサイトを見つけました。やっぱり目の奥が熱くなるのは抑えきれません。
応援してくださるそのお気持ちだけで、十分ありがたいのです^_^