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涙の訳は、たぶん、愛。

先日、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを推す記事を読みまして。

遅ればせながら得意のNetflixで一気に全話視聴しました。結論から言うと号泣です。作中で手紙を送る人、受け取る人、代筆する人、届ける人、それぞれの想いに心が揺さぶられました。

私の心を動かした何か……それは多分、身近な人に対する愛、なのだと思います。

以下、核心に触れない程度にネタバレあります。

「これは、感情を持たない少女が愛を知るまでの物語」
(公式キャッチコピー)

孤児であり「武器」として生きてきたために感情や言葉さえ持たなかった主人公・ヴァイオレットは、上官・ギルベルトが永別の間際に残した「愛してる」の意味さえわかりませんでした。

「愛してる」が知りたいのです
(ヴァイオレットの台詞、第1話より)

この言葉の意味を知るために、彼女はギルベルトの友人・ホッジンズの会社で「自動手記人形」(手紙の代筆サービス、通称・ドール)として働き始めます。

……というのが冒頭のあらすじですが、初期のヴァイオレット、軍人としては完璧かもしれませんが、社会人としてかなりのポンコツです。身元引受人になってくれたエヴァーガーデン夫人に「私に親の代わりは不要だし、私は貴方の子供の代わりではない(意訳)」と告げたり、泣きながらお詫びの言葉を述べる依頼人に「業務の支障になるから泣くな(意訳)」と言ったり、求婚に対して嬉しいけど少しじらしたい女性の言葉を「立場が相応しくないから出直せ(意訳)」と書いて破談にしてしまったり……

でも全部、悪気がない。彼女の言葉を借りると「わからないのです」

それが、ですよ。

ドール養成学校での同期や先生との出会い、職場での同僚や依頼人との出会いを通して、少しずつ「感情」らしきものを得ていき、やがて相手の気持ちを考えることができるようになっていきます。

ちなみに私はヴァイオレットが劇作家の執筆を助けるべく湖を歩こうとした回で、親の気持ちになって泣きました。一緒にいたかったよなあああああ(´;ω;`)ブワッ
亡くなった依頼人の家族と恋人に手紙を届ける回も、待っている家族の気持ちになっちゃったり、「ありがとう」と言われたヴァイオレットの反応に成長を感じたりしてジワっと泣いてました。
病気のお母さんが娘の相手せずにひたすら手紙を書きまくる回も泣けます。途中でなんとなく展開はわかるんですけど、なんでだろう、映像の美しさだったり、声優さんの演技だったり、想像以上の情熱が、胸に届いた気がします。

↑拙い説明じゃわかりにくいと思うので、どんな話かはぜひ観てください。

あと、外伝(2019公開)は姉妹の話ですがこれもボロボロ泣きました。お姉ちゃんからの手紙を文字の読めない妹が配達人(ヴェネディクト師匠)に読んでもらうシーンと、エンディングテーマで涙腺崩壊。ただ、名前を呼ぶだけのことが、とにかく愛おしい。こちらもぜひご覧いただきたい。(昨年の放火事件の犠牲になった方もクレジットされてるそうで、この作品が本当に誰かの「生きた証」だと思うと何度でも見返したくなります)

ここまで来たら映画も観たくなりますがしかし!ふーちゃん連れては行けないし、夫と相談かな。もし見にいけたら感想を書くかもしれません。

 

「これは、感情を持たない少女が愛を知るまでの物語」

愛さなければ寂しさも知らずに済むかもしれない……何かを得ようとする行為は、時に、何かを失うより辛い経験になるかもしれません。

ヴァイオレットはギルベルトの愛や、自分が彼に抱く感情を理解できないために、途中まで人形のように淡々と、精神的苦痛を一切感じずに生きていましたが、最後は戦時中に自分が命を奪った相手達の家族の気持ちに思いが至り、悩み、苦しみます。

それでも、自分で選んで進み続けた道の先には、希望があると、私は思うのです。

命令された通りに任務を遂行する人形から、「もう命令はいらない」と自分で考えて言える人間になれたヴァイオレットのように、私達だって、人と関わり、失敗して、傷ついて、その傷が癒えるまで待って、また挑戦していけばいい。

傷つかない器用さより、傷ついてもそれを乗り越えていける強さを、私は信じています。

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